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ep.9

「渚!!!!!」

俺が目を覚ますと、悠貴の眼からは大粒の涙が止まることを知らないまま落ちていっていた。

「ゆう、き」

俺はそう言うと、口から血を吐きだした。あぁ、もう、ダメか。俺は悠貴を俺の傍に寄せ、ゆっくりと話す。きっとこれが、俺と悠紀の最後の会話になるんだろう。


「渚?」

「あぁ、聞こえているさ、悠貴、」

「ねぇ、大丈夫なの?」

「見てわかる、だろ?」

「——————————うん、わかるよ。渚。」

「お前を、この世界に、一人置いていきたくはない。」

「うん。」

「お前は、どうしたい? 俺は、持ってあと十分だ。」

「何で、言ってくれなかったの?」

「言った所で、何か変わるわけじゃなかったからな。」

「でも、」

「いいか、悠貴。」

「………、なに。」

「俺には、癌がある。もう、進行しきっていて、俺が持っているのは人間二人分の致死量のモルヒネだけだ。」

「……」

「お前に、人類最期の人間だとかいうレッテルは貼りたくない。」

「うん。」




「俺と、一緒に、逝ってくれないか———————。」




俺は目をつぶった。悠貴は、俺の胸に手をあてているのか分からないが、胸の辺りがぶるぶると震えている。


「そんなこと言われたら、断れないよ。僕だって一人はもう嫌だよ。

 僕と、渚の関係は、『代替(Non)不可能な(-fungible)』ものなんだからさ、責任取ってよね。最期くらい。」


俺たちは、そう言って互いに薬を打って眠りについた。


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