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ep.6
「ここは?」
悠貴がそう言って俺に聞く。
「ここは、俺の頭の中だ。俺の、記憶が全てここに入っている。」
悠貴は不思議そうにあたりを見つめる。
「でも、見た感じ『0』と『1』しか見えないよ?」
「そうだ。それを説明する前に、話さなきゃいけない事がある。」
俺はそう言って、深呼吸をする。
「俺は、遺伝子操作をした受精卵から生まれた、
ゲノム編集ベビーだ。」
悠貴は目をかっぴらいて俺の事を見る。が、すぐにいつもの悠貴へと戻った。
「そっか。」
思っていたよりも、反応が薄かった。きっと、俺を思っての事なんだろう。そう考えていると、悠貴が口を開いた。
「だから、実験体としてデータが必要だった。人間の記憶は時間が経つにつれて、記憶が都合のいいように変えられていってしまう。だから、そうなることの無いように、記憶媒体が必要だった。でも、記憶媒体を埋め込むのはリスクがあるから、渚さんの身体に記憶を全て記録するプログラムを埋め込んだ。そして今、僕たちが見えている世界が電子世界と同じように0と1で表記されているってこと?」
「流石、呑み込みが早いな。」
俺はそう言うと、悠貴を引き連れて、奥へ、奥へと進んでいった。




