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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雑多な小噺

 前略、私は死にました。


 …

 やっぱ話そ。これ短編小説化されるらしいし。


 私は友達が居ない事を除き極普通の高校生だった。その日は偶々寄り道で普段歩かない道を歩いていた。

 ちょっとした高台みたいな場所を見つけて。フェンスの上に座って休んでたんだよね。

 そしたら、急に地震が起きて。いや、急じゃない地震なんて無いか。

 まぁ、何にせよ。

 そこで私はバランスを崩して。高台の下にわぁ〜〜〜って落ちて。

 ぐしゃり。

 幸い、胴体から落ちたからか頭部は無事だった。吐きそうなくらい激痛で気持ち悪かったけど。尚、即死である。多分。

 というのも、どうやら死後暫くの間は元の肉体の感覚がある程度共有されているらしい。左腕を持ち上げられると此方にもその感覚が伝わるのはちょっと面白かった。

 あと何故か自殺だと思われてた。なにゆえ。


 ところで、私にはやり残した事がいっぱいある。両親に恩返し出来なかったし、推し活だってまだまだ出来てないし、あと…あと何かあったっけ?まぁいいや。

 後悔先に立たずって、こういう事だったのかな。なんて考えながら、私は自分の葬式を眺める。参列者は両親と親戚と近所のそこそこ仲良かった人たちと…何故かクラスで1番のイケメンと言われている奴。どうやら私の事が好きだったらしい。申し訳ないけど、タイプじゃない。ごめんね

 あと、両親が私の為に泣いてくれたのは、ちょっと嬉しかった。日頃から2人の愛情と言うか、そういうのは感じていたけど、改めて言われると、落下の衝撃で弾け飛んだ胸に込み上げてくる何かがある。

 …けど、さぁ。流石に「『わぁ〜〜〜』だと自殺と勘違いされやすいから『死にたくない〜〜〜!』とかにしろ!」は、ちょっと無いわー。いや私もちょっと思ったけどさぁ。


 …さて。これからどうしよう。

 魂のみの現状では、特に移動に関する制約が無い。美味しいもの食べれないのは痛いけど、基本的に自由だ。

 行きたかった場所とか、いっぱいある。空飛べるし飛行速度に制限は無いから、行き先を調べた上で飛行機や船舶を追いかければ、外国にだって行けそうだ。ちょっと怖いけど。

 それに、ライブとかも無料で観覧出来てしまう。ちょっと気に食わないが、料金を支払う方法が存在しないから仕方が無い。それに、推しの活動を好きなだけ見られるのは嬉しいし。

 本当に、自由。何をしてもいいし、物理に干渉しない範囲で何でも出来る。

 折角だし、行き損ねた修学旅行にはついて行こう。


 …ただ。強いて言うなら。

 全裸だけは、どうにかしたかった。

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