表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/19

第1話② 初恋(女の子)

 小学四年生の夏。

 初めて恋をした。

 完全な私の惚れ負け。


「大丈夫か、秋月‼」


 プール溺れかけた私。

 苦しくて。苦しくて。

 どうしようもなくて。

 気づいたら、お姫様抱っこされていた。

 春からずっと気になっていた男の子に。

 私はまた……助けられちゃった。


   ***


「ハル‼」


 ビクッ‼

 あれから私は変だ。

 名前を聞くだけで胸が苦しくなる。

 一学期は席が隣同士だった男の子。

 そんな彼とは、今離れ離れで。

 それなのに無意識で眺めてる。

 サラサラな短い黒い髪。

 いつもキラキラとした目。

 私よりも少しだけ背が低くて。

 笑った声は誰よりも楽しそう。


「どうしたの、フユちゃん。顔が赤いけど」

「な、なんでもないよ‼ それより次の授業って――」


 お友達に呼びかけられて、慌てて視線を逸らした。

 視線の先を知られるのが、すごく恥ずかしかったから。


 しばらくして、先生が来て今年三度目の席替え。

 四月に一回。

 六月に一回。

 そして今日――八月に一回。

 皆が番号の書かれたクジを引く中。

 私はずっとドキドキしていた。

 特定の誰かの隣になりたくて。

 でもなれるはずないよね。

 四月に一回、隣の席になったんだし。


 遂に私の順番が来た時、教室の中ですれ違った。

 私が隣に座りたい男の子、夏陽ハル君と。

 でも私は思わず顔を逸らす。

 真っ赤な顔を見られたくて。

 だって、すれ違うだけでも恥ずかしかったから。


 胸に手を当てて黒板の前に立つ。

 黒板にチョークで書かれた座席表。

 そこには埋まった席に名前が書かれてた。

 夏陽くんの席は今と同じ、廊下から三列目の一番後ろ。

 できればそのお隣を引きたいけど、もう埋まってるし。

 だったらせめてその前の席を。

 恋の神様、お願い!


「えいッ‼」


 私は手作りの箱に手を入れて、迷わずに一枚の紙を掴み取った。

 そして不安になりながら開くと――


「はい、秋月さんは三番ね」


 先生が元気な声と一緒に黒板へ書き込む。

 ……私、黒板の一番前の左側。

 それも夏陽くんからすごく遠い。

 私、恋の神様に見捨てられちゃったよ~。

 心の中で泣きながら、自分の席へトボトボ戻る。

 今の席は、廊下側から二列目の前から三番目。

 こっちの方がまだ近いのに。


 皆がクジを引き終わった頃。

 私が机に突っ伏していた時。



「――先生!」



 誰かが大きな声で先生を呼んだ。

 それはすごく元気な男の子の声。

 皆がいつも聞いてる、元気な声。

 それが先生のことを呼び止めた。


「俺、また同じ席だから変わってもいい?」


 私はその声に思わず後ろを向く。

 一番後ろに立つ男の子を。


「最近目が悪いから」


 男の子は右手でクジを摘まんで。

 それから反対の指で指差した。


「四番の席が良いんだけど」


ブックマークと評価お願いします。作者の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ