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トウキョウ・天使の歌

作者: 博士だお

○東京タワーの天辺てっぺん


 東京タワーの天辺に座っている制服姿の友里香。

 まるで世界の終りのような、広大な夕焼けが広がっている。


【友里香】「夕焼け……きれいだな」


○新宿(東口)


 翌日。

 友里香が街を歩いていると、天使のおぢさんに声をかけられる。


【天使】「こんばんは」

【友里香】「あ、こんばんは」

【天使】「どうやらお嬢さんは、私の仲間のようだね」

【友里香】「おぢさんも幽霊なの?」

【天使】「幽霊というよりは天使かな」

【友里香】「天使?」

【天使】「大きな戦争が二度と起きないように世界を見張るのが天使の役目なんだ」

【友里香】「役目?」

【天使】「第二次世界大戦以前はずっと大きな戦争が起きていた……」

【天使】「それは……戦争の歴史だったといってもいい」

【天使】「人類の歴史は、戦争の歴史だったんだ……」

【友里香】「………」

【天使】「ここ数十年の平和を、永遠に続けるために、天使たちは見張っているんだよ」

【天使】「お嬢さんはどうして、この世界を彷徨っているのかな?」

【友里香】「私にもまだ、その理由が分からなくて……」

【天使】「急ぐことはないよ。いつかその理由わけが分かるといいね」

【友里香】「……私、同じ3日間を繰り返し生きているんです」

【天使】「それには何か、大きな意味があるのかもしれないね……」

【友里香】「正直不安だったんで、少し元気が出ました」

【天使】「それはよかった」

【友里香】「じゃあ、私、散歩に行きますから」

【天使】「別の私に会ったら、よろしく頼む」

【友里香】「はい」


○アルタ前


 お昼頃。

 友里香がアルタ前を歩いていると、健太郎からナンパされる。


【健太郎】「おーい、そこの彼女」

【友里香】「………」

【健太郎】「ね、君だよ、君」

【友里香】「え、私のことが見えるの?」

【健太郎】「う、うん?」

【友里香】「………」

【健太郎】「ね、俺とデートしない?」

【友里香】「……嫌」

【健太郎】「そんなこと言わずにさ、ね?」

【友里香】「嫌」

【健太郎】「……クスンッ」

【友里香】「何で私とデートしたいの?」

【健太郎】「男の子は可愛い女の子とデートしたいもんなんだよ」

【友里香】「わ、私、か、かーいくなんかないよ」

【健太郎】「ね、ね、デートしよ?」

【友里香】「………」

【健太郎】「一生のお願い」

【友里香】「……じゃあ、ちょっとだけだよ」

【健太郎】「やったー!」

【健太郎】「そういえばさ、名前、何て呼んだらいい?」

【友里香】「私は、今川友里香」

【健太郎】「俺は、有馬健太郎」

【友里香】「よろしくね」


○映画館の前


 映画館の前に立つ、健太郎と友里香。


【健太郎】「この映画、やっと観られるよ」

【友里香】「やっと?」

【健太郎】「やっぱ、こういうラブロマンスは、彼女と観ないといけないだろ」

【友里香】「そういうもんかな?」

【健太郎】「男はそういうもんなの」


 映画を観終わり、映画館の外に出た健太郎と友里香。


【健太郎】「……グスンッ」

【友里香】「男らしくないなあ」

【健太郎】「なんだよお」

【友里香】「だって、健太郎くん、映画の中盤からずっと泣いてるんだもん……」


喫茶店カフェの中


 テーブルの上に二つのティカップ。

 健太郎はコーヒー。友里香はミルクティ。

 友里香は幽霊なので飲まない。


【健太郎】「俺、そんなに軽い男じゃないんだぜ」

【健太郎】「ナンパだって、じつは、今日が初めてだったんだ……」

【友里香】「え、そうなんだ~」

【健太郎】「何、にやけてるんだ?」

【友里香】「べ、別に、にやけてなんかないも~ん」

【健太郎】「ね、友里香ちゃんは、どんな男の人がタイプなの?」

【友里香】「私が好きなのは、人の痛みが分かる優しい人かな」

【友里香】「あとは、どんなに悲しいことがあっても、元気で明るくて何でも食べる男の人」

【健太郎】「何でも食べられる方がいいんだ?」

【友里香】「うん、好き嫌いがない方が、料理の作りがいがあるもん」

【健太郎】「料理が得意なんだ?」

【友里香】「うん。私、卵焼きが上手に作れるんだよ」

【健太郎】「へ~そうなんだ」

【友里香】「オムライスも作れるよ」

【健太郎】「いいね」

【友里香】「目玉焼きだって作れるんだから」

【健太郎】「全部、卵料理じゃないか!」

【友里香】「フフッ」


○遊園地


 遊園地に来た健太郎と友里香。


【健太郎】「遊園地といえばジェットコースターだな」


 ジェットコースターに乗る健太郎と友里香。


【友里香】「わー、高い」


 友里香が言う。

 ジェットコースターが動き出し勢いよく下っていく。


【友里香】「キャー!」


 ジェットコースターが終わり、遊園地内で会話する健太郎と友里香。


【健太郎】「……怖がりだなあ」

【友里香】「女の子はそれでいいんだよ」

【健太郎】「そういうもんかな?」

【友里香】「そういうもんだよ~」


【健太郎】「次は観覧車に乗ろうぜ」


 観覧車に乗る健太郎と友里香。


【友里香】「綺麗な景色」


 大きな窓から外の風景を見て友里香が言う。


【健太郎】「………」

【友里香】「………」


 見つめ合う二人。


【友里香】「こうやって、二人で向かい合って乗ってると照れるね……」

【健太郎】「う、うん……」


 外は真っ暗。

 もうすぐ、花火の時間。


【健太郎】「もうすぐ打ち上がるぞ」

【健太郎】「あ……」


 ドーンと、夜空に花火が上がる。


【友里香】「わあ、大きな花火……綺麗」


 花火に見入る二人。


○アルタ前


 アルタ前に立つ健太郎と友里香。


【友里香】「……今日は楽しかった」

【健太郎】「ね、友里香ちゃん、明日も会おうよ?」

【友里香】「うん」

【友里香】「あ……」

【友里香】「明日は……会えないかもしれない」

【健太郎】「俺、明日もここに来るから」

【友里香】「………」

【健太郎】「待ってるから」

【友里香】「………」

【健太郎】「もうこんな時間か……」

【友里香】「私、もう帰らないと……」

【健太郎】「……じゃあ、気を付けて帰るんだぞ」

【友里香】「……うん」

【友里香】「ねえ……健太郎くん」

【健太郎】「何、友里香ちゃん?」

【友里香】「えっと、何でもない……」

【健太郎】「?」

【友里香】「……健太郎くん、バイバイ」


 別れる二人。


○街角


 街の片隅にいる友里香。

 具合が悪そうに、胸を抑えて、膝を落とす。


【友里香】(健太郎くん、ありがとう。そして、ごめんね……)


 消える友里香。


○アルタ前


 先日、友里香と会った場所に健太郎がいる。


【健太郎】「……やっぱ、来るわけないよな」

【健太郎】「………」


 時間が経つ。


【健太郎】「………」

【健太郎】「くしゅん」

【健太郎】「………」


 数ヶ月後。


 モノローグ。


【健太郎】(今日、あの娘のいる住所が分かった……)

【健太郎】(俺は、思い切って、あの娘の家に行くことにした)


○友里香の家の前


 友里香の家の前に立つ健太郎。

 インターホンを押す。

 ピンポーン。

 ドアが開き、友里香の母が出てくる。


【健太郎】「こんばんは」

【母】「……はい」

【健太郎】「あの、友里香ちゃん……じゃなかった、友里香さんは?」

【母】「友里香?」

【母】「………」

【母】「友里香なら亡くなったわ……」

【健太郎】「!?」

【健太郎】「そ、そんな……ウソ……だろ」


○健太郎の部屋の中


 ベッドに突っ伏す健太郎。


【健太郎】「友里香ちゃんが死んだなんてウソだ……」

【健太郎】「俺は……俺は絶対に信じないからな」

【健太郎】「……デートしたんだ」

【健太郎】「……友里香ちゃんは、俺なんかに笑ってくれたんだ」

【健太郎】「あんないい子が、死ぬはずないじゃないか……」

【健太郎】「……涙が止まらないや」


 時間が経つ。


【健太郎】「どれだけ泣いただろう……」

【健太郎】「……そういえば友里香ちゃん」


 回想。


【健太郎】【ね、友里香ちゃんは、どんな男の人がタイプなの?】

【友里香】【私が好きなのは、人の痛みが分かる優しい人かな】

【友里香】【あとは、どんなに悲しいことがあっても、元気で明るくて何でも食べる男の人】


【健太郎】「………」


【健太郎】「……そうだよな」

【健太郎】「天国にいる友里香ちゃんを悲しませるわけにはいかない……よな」

【健太郎】「俺、明るくて元気な健太郎でいるから……」

【健太郎】「……グスンッ」


 上を見上げる。


【健太郎】「さよなら、友里香ちゃん」

【健太郎】「……本当に好きだった人」


-完-


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― 新着の感想 ―
最後に友里香ちゃんが消えていくシーンの儚い感じが堪らなく切なかったです。 台本形式の小説を初めて読みましたが、派手な話ではないのにとても引き込まれるお話で、良かったです。 しんみりと進んでいくお話は台…
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