第八十五話
心中…一緒に死ぬこと。
ポラリス…日本の漢字表現は心中らしいけど...。北極星のほうが良かったかな?
珠洲の使ってる弓は、ポラリスです。
私「さて、此処から先もこんなアホと戦うのが面倒くさい。」
珠「どうするの?」
私「こいつの話が本当ならさっき切り離したこいつの首を持っていくだけで万事解決だ。」
珠「そうなると良いんだけど。」
私「邪念を持つのは良くないよ。」
珠「邪念ではないんじゃないかな?」
私「みだらな感情や怠惰のことを邪念と言うが、明日やその先の未来を疑うのは自信のない現れ。自信が持てないのは、手を抜いてしまったなどと思っているから。手を抜くつまり怠惰。極論だが同じことではないか?」
珠「本当に極論だけどそうなんだろうね。」
私「さて、先に進もうか。」
珠「はいはい。」
私「最近、肌の感想がひどくてさぁ…」
珠「そんな事ないと思うけど。」
私「お前にゃ一生わかんねーよ。」
珠「拗ねないでごめんね。」
私「それよりこの先どっちに曲がるの?」
珠「真っすぐ進んで近くにいたやつに聞くのが手っ取り早いのでは?」
私「まあそうするか。でもこのまま真っ直ぐ進むと入るんだよな、大きいヘビが。」
珠「大きいヘビ?」
私「因みに右はサイ、左はカバ。」
珠「ヘビが大きく口を開けてたら気づかなそうだね。」
私「そんな事ないでしょ。何訳の分からないこと言ってるの。」
珠「ちょっとふざけただけじゃん。」
私「樹のほうが百倍面白いよ。」
珠「ごめんって。」
私「とりあえずヘビに話しかけてみるか。」
珠「言葉わかるの?」
私「さっきのモグラにも通じてたからいけるよ。」
珠「まあそうか。」
私「さてあまり気は進まないけどやるしかないか。十五王家って何処にいるの?」
ヘビ「知らん。」
私「残念。それで本当は何処にいるの?」
ヘビ「ところでその手に持っているのは何だ。」
私「穴から出てきたモグラ。」
ヘビ「ほう、アヤツを倒したか。となると勝てんな。」
私「それで、何処にいるの?」
ヘビ「いや、本当に居ない。」
私「しょうがない、右左前.前だね有り難う。
ヘビ「な、なんで…」
私「そこどいてくれるかな?」
ヘビ「いや、ばれたのならここを通すわけには行かない。」
私「無駄に忠誠心が高いな。ライトニング」
ヘビ「そんな低位の魔法とはなめられたものだな。」
私「動けなくなっちゃった?」
珠「これどうするの?」
私「放置でいいんじゃない。」
珠「わかった。」
体もついでに小さくなってくれたから道が通りやすくなった。五分ほど進むと壁に大きな石造りの扉が出てきた。奥にはかなり大きい扉があった。
私「どうやらもう門番みたいなのは居ないみたいだね。」
珠「そうみたいだね。さっきのヘビが最後だったのかな?」
私「かもしれないね。」
珠「てことは何かいるの?」
私「目で見たものが全てとは限らないよ。うわさ話だって全て本当ではないだろう。」
珠「そうだね。」
私「だから私はこの眼で見るまでは信じないしこの眼で感じてようやく真実だと思う。この眼で感じたものだけが私の中では真実だから。」
珠「成る程。眼で感じたものだけが真実ね。アクアウォール」
水の薄い膜で見ているものと違うものがないか調べているらしい。
珠「いた。これ、カメレオンかな。」
私「いや、同じ色のヤモリやイモリの可能性もあるよ。」
珠「そこはどうでもいい。」
私「ところで今君が行ったことだけどテンペストを超弱く発動してミスト状にしたやつじゃだめなの?」
珠「ああ、その手があったか。でもそれだと気付かれやすくなるんじゃない?」
私「気付かれやすくなる可能性はあるが、不意打ちにも対処しやすくなるだろうし鍵穴から中に向けて少量流し込み続ければ中の情報を探ることだって可能になるかもしれない。」
珠「ところで、あれはどうするの?」
私「今面倒くさいって感じたでしょ。まあいいや。適当に射抜いといて。」
珠「わかった。」
天弓心中を構えて矢を放つ。一撃で相手の腹を射抜いた。
私「流石だね。それじゃあ中には入ろうか。」
珠「分かった。気を付けてね。」
私「先に入ったら?」
珠「いや、君が先に入りなよ。」
私「まあいいや。先にあれ試してみなよ。さっき言ったやつ。」
珠「ああ‹テンペストを超弱く発動してミスト状にしたやつじゃだめなの›って言ってたやつね。」
私「よくもまあ一言一句覚えられるよね。」
珠「君がそれを言うと嫌味にしか聞こえないよ。」
私「それはないでしょう。英語が少しづつ出来るようになったやつに十分に語学力が高いことを証明してみせたりしている訳じゃないんだから。」
珠「いやまあそうなんだけど。」
私「じゃあ文句ないね。さあやってやって。」
珠「ねぇ、もしかしてさぁ、なにか気付いてるの?もしくは何か企んでる?」
私「ソンナコトナイヨ。」
珠「企んでるんだね。まぁ君が僕達をわざと危険にさらすような真似はしないって知ってるから良いけど。ところで、なんで高屋敷と付き合わないの?」
私「何故付き合うの?」
珠「学力的にも能力的にも僕らより良いと思うんだけど。」
私「ついてないからね。」
珠「何が?」
私「それに前にも言ったけど下手をすれば政略結婚になるような交際はしたくないんだよ。それが、それだけが唯一守り抜いてきた本家のルールだからね。」
珠「まあいいや。なんとなくだけど分かったよ。君の家が男しか跡継ぎを許していない理由も。ところで、十三代目キツネって君のことなんだろう。」
私「いつの話だ。それになんでその事を知っている?」
珠「昔助けられたからね。公園で遊んでいたときに。」
私「もしかして、あの時の子だったのかい?」
珠「君、本当は何歳なんだい。」
私「いや、君たちと同年代だよ。」
珠「出会ったのは僕らが四歳の頃だ。仮に君が今二十歳だったら高額の整形手術を受ければごまかせる年だと思うんだけど。」
私「誰に似たんだろうね君は。まあ、一部正解とだけ言っておこう。但し他言無用だ。もう少し後に話そうと思ってたんだけど。まあ少なくとも田中魔裟斗は君たちと同年代だ。」
珠「いつか話してよ。」
私「ああきっとね。」
珠「ところで、中に誰もいないみたいだけど?」




