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プロローグ

 もうすぐ日が落ちる。今夜のねぐらを探しているのだろうか、遠くで鳥たちが鳴いていた。

(いいな、鳥はどこにでも行けて)

 今日はどんな空を飛んだのだろう。明日はどんな空を飛ぶのだろう。そんなことをぼんやり考えていると手に持っていた箸がぽろりと落ちた。

「ああ、小夜(さよ)! まったくあんたは愚図だねぇ。早く飯食って寝ちまいな。夏休みだからって毎日寝坊して」

 小夜と呼ばれたおかっぱ頭の少女は仏頂面で頷く。隣では兄弟たちが無言で飯をかきこんでいた。小夜は四人兄弟の末っ子。兄が二人と姉が一人いる。

――面白くない。

 小学四年生になる小夜にとって山深いこの村での生活はとてもつまらないものだった。小さく貧しい村では毎日同じことの繰り返し。服は全部姉からのお下がりで、髪を切るのは母親。もっとかわいい髪型にしてと言っているのにいつもまるで鍋を被って切ったようなおかっぱ頭にされる。この小夜って名前もいかにも田舎娘という感じで気に入らない。

――ホント、面白くない。

「ああそうだ、明日は雨が降るよ。しかも大雨だ。シゲ婆が言ってたからね、間違いない」

 シゲ婆は天気を当てることができると評判だ。今まで一度も外れたことがないらしいが実のところ小夜はそんなはずあるまいと疑っている。

――つまんない、つまんない。

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