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第六十二話:ルピコン川渡航!

 航空母艦“瑞鶴”“翔鶴”甲板上では所狭しと艦載機が発動機を回しながら待機していて搭乗員たちは艦内の待機室に寿司詰め状態で整列していて訓令を待っていた。


 現在、南雲機動部隊と栗林・牛島両軍を満載した輸送船団はサンティゴ基地から沖合100海里地点に到達していた。


 各艦艇の艦長から全乗員に対して訓令を言い渡し最後に武運を祈ると言うと共に万歳の声が響き渡る。


「南雲司令、出撃の時間です! 搭乗員たちが愛機に駆けていきます」


 南雲は頷くと参謀達と一緒に艦橋から出て甲板を見下ろす。

 既に“瑞鶴”“翔鶴”は全速力で風下に向かって航行していて二空母からは

 零式艦上戦闘機  :36機

 九九式艦上爆撃機:54機

 九七式艦上攻撃機:54機

 が今まさに発艦しようとしていたのである。


信号が青に変わり出撃許可が出たことを確認した搭乗員たちは額に“必勝”と書いた鉢巻を締めて操縦席に乗り込む。


「腕が鳴るぜ! サンフランシスコは一航戦達に取られたが今度は俺達五航戦の出番だな」


 先ず、ゼロ戦が離艦して次に99式艦上爆撃機・97式艦上攻撃機の全機144機が順次、とびだって行く。


 艦橋や甲板上では整備兵達や各士官達が帽子を振って見送る。


 僅か十数分で全機離艦すると上空に舞い上がりそこで編隊を組んで目的地であるサンティエゴに向かっていく。


「南雲司令、よろしいのですか? 直掩機を残さず全機出撃させて?」


 編隊が見えなくなるまで上空を見守っていた南雲は参謀の質問に頷くと何の心配もいらないし彼らは一機たりとも失わずに帰還すると自信満々に言う。


「第二次攻撃……もしかすると第三次攻撃も必要になるかもな。整備兵たちに帰還したら直ぐに再装填できるように伝えておいてくれ」


 南雲の言葉に未だ疑問であった参謀であったがこれ以上何も言わずに艦橋を出ていく。


「……(頼みましたよ、日下艦長……)」


 南雲は心の中で呟く。

 牛島・栗林軍団を搭載している輸送船甲板からも空母から次々と発艦していくのが見えていた。


「いよいよだな、最も本来なら一年前に実施されている筈だったのだがな?」


 栗林の言葉に牛島も頷くと初めから予定通りだったら石原閣下も戦死しなくてもよかったのだと言う。


 だが、もう既に終わったことであるため、これからの事が大事の為、石原を偲ぶのは全てが終わってからと二人は認識していた。


♦♦


 一方、日本軍の動向には米軍は凄まじい程、神経を尖らせていたが、サンフランシスコを占領された時からより一層、西海岸一帯を監視していた米軍であったが偵察機が出撃するたびに通信途絶で一機たりとも帰還しなかったのである。


 業を煮やした米軍はB―17やB―15の爆撃機も繰り出して高高度から監視しようと試みたがやはり通信途絶してしまい未確認飛行物体UFOの仕業だと噂されていたのである。


 その結果、南雲機動部隊が直ぐ近くまで来ていたが気付くことは出来なかったのであり士気も振るわなかったのである。


 この一連の事は勿論、伊400搭載機“晴嵐”による30ミリレーザービームによって一撃に機体ごと熔解させられて消滅していたのである。


 最大速度マッハ10で操縦士は旧日本海軍撃墜王『岩本徹三』中佐であり最大速度を以てことごとく暴れまわっていたのである。


「おう、やっと出撃したか! 米帝様は亀のように引っ込んでいるがまさかこの日に攻撃を食らう事は思ってもいないだろうな? クリスマスだしな」


 サンティエゴ攻略作戦は正にクリスマスと言うキリスト文化の米国にとっての大事な日であったが勿論、防御は疎かにしていなく各空軍基地には千機単位の航空機が日本軍発見と同時に直ぐに飛び立てるように準備をしていたのである。


「まあ間もなく米帝様も日本機の大編隊に気付くことだろうな? 後は伊400に任せて俺は高みの見物と行くかな」


 操縦桿を思い切り引くと急上昇していく。


 その……サンティエゴ沖合10海里地点水深50メートルに伊400はいたのである。


「艦長、若鳥達が飛び立ちました!」


 橋本先任将校が艦長席に座っている日下に伝えるとじっと瞑想していた日下が目を開けて橋本の方を向いて頷く。


「よし、作戦を開始する! 第一級戦闘配置だ!」


 その瞬間、全区域にベルが鳴り響くと同時に第二級戦闘配置状態であった乗員達はあっというまに配置につく。


「多弾頭MOAB対地ミサイル発射準備!」


 艦首魚雷発射管にMOAB対地ミサイルが装填される。


「目標はサンティエゴ周辺における各空軍基地8か所だ!」

「こちら魚雷管制室です! 各ミサイルに情報入力完了しました」

「艦長、敵航空機の迎撃はなくても地上には結構な対空兵器がハリネズミのように並んでいますが?」


 既に答えは分かっているがあえて橋本は日下に質問する。

 日下は橋本の方を見ると悪い笑みを浮かべると頷いて命令を出す。


「艦首からミサイルを発射した後、浮上する! 50連発ドローンロケットで破壊する」

「艦長、ミサイル発射準備完了! 魚雷発射口、開放しました」


 日下は腕時計を見ながら長針が0に到達したのを見ると命令を下す。

「発射!!」


 CICルームにて徳田大尉がタッチパネルにて発射ボタンのシルエットをタップする。

 艦首口から吐き出されたミサイルは海面に向かって上昇していく。


 そして海面から次々と頭を出したミサイルは一瞬にて点火して一気に音速へと到達するために舞い上がっていく。


 ちなみにこのMOAB対地ミサイルは超小型マイクロ核融合炉が搭載されており最大速度マッハ20まで調整できる際物であるが現時点ではマッハ5に調整されていた。


「全空軍基地破壊まで後、50秒です」


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