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第五十話:反撃へのビジョン

 アメリカ合衆国オレゴン州都“デンバー市”陸軍最高司令部の大会議室にて数十名にも及ぶ将官たちが勢ぞろいしていた。


 それぞれ机と椅子が当てがわれていて思い思いのまま座りある人物の入室を待っていた所である。


「聞いたか? ジャップがサンフランシスコ市を制圧したらしいぞ?」


「ああ、ゴールデン・ブリッジを始めとする殆どの橋が破壊されたとの事」


「防衛していた奴は誰だ? 腰抜け揃いじゃないか! おめおめと逃げたのか」


「何でも上陸する前に戦艦の主砲で陣地がことごとく破壊されたようだぞ?」


 お互い会話の内容は全てが日本に関する事でこのまま指をくわえてだまっているのか? 等の内容がほとんどであった。


 その時、会議室の扉が開いて元帥の徽章を付けた一人の男性が入ってくると全員が一斉に起立して不動の体制をとる。


「アイゼンハワー元帥に対し敬礼!!」

 号令の下、一糸乱れない動作でアイゼンハワーに敬礼すると彼も又、答礼をする。


「着席!」

 全員が椅子に着席するとアイゼンハワーは口を開く。


「諸君、忙しいところこうして集まってくれたこと、感謝の極み! このアイゼンハワー心より礼を申す」


 そういうと横にいる参謀に目で合図すると彼は西海岸からここオレゴン州までの地図を巨大な黒板に貼り付ける。


「さて、皆も知っての通り、米国建国始まって以来、外敵から直接領土を侵されたことなかったが遂にそれが破られた」


 アイゼンハワーはそこで言葉を止めて部屋の隅々を眺めると誰一人、悲観はしておらず侵略者を必ず倒して見せるという気概を汲み取る。


「しかもそれがナチスではなく極東の島国に住む黄色い猿の軍団だと言うが私も未だ信じられない。だが、その黄色い猿の軍団が西海岸でも大都市のひとつであるサンフランシスコ一帯を無血占領したという間違いのない事実だ! それ故、私は考えを改めることにするが諸君たちも意識を変えて頂きたい!」


 アイゼンハワーが言った内容はこれより大反攻作戦を実施するがけっして甘く見るな! ナチスドイツと匹敵する強さを誇る精強の国家と戦う気概を持てとドスノ聞いた声で言うと皆も力強く頷くと共にOKと叫ぶ。


「敵はどうやら南に下り、ロスアンジェルスを目指す算段とみられる」


 アイゼンハワーは黒板に張られている地図を指揮棒でロスアンジェルスの地点をコンコンと叩く。


 その時、一人の将が手を上げて立ち上がる。


 口にパイプコーンを咥えて黒のサングラスをかけた大将の徽章を付けている。


「ダグラス・マッカーサー将軍、残念だったな? フィリピンを取られて単独で逃走に等しい帰国、さぞ無念だろう」


 アイゼンハワーの言葉にマッカーサーは腸が煮えくりそうになったが事実は事実なのでぐっと我慢する。


 二人は犬猿の仲で欧州のアイク、アジアのマッカーサーと呼ばれナチスドイツと戦う彼を国民は真の英雄と讃えていたのである。


 反対にどこぞの極東の端にある小さな島に住む黄色い猿の相手をするという事で人気は殆どなかったのである。


 しかもその極東の国に負けて這う這うの体で逃げてきたのだから。


「最高司令官であるアイゼンハワー元帥閣下に具申したい事があります」

 マッカーサーの内容は二手に分かれて自分がフィリピン奪回の為に別行動をして日本を牽制する役目を引き受けたいという。


「現在の日本の陸海軍の主力は西海岸に集結していてフィリピン方面は完全に手薄となっているが奴らは油断していること間違いないので軍を貸していただきフィリピンを奪回する。すると日本は本土が攻撃されると思い大部分を反転させると思うのだがいかがかな?」


 アイゼンハワーはマッカーサーの言葉に一応は理解を示すが直ぐに拒否する。


「いや、それは時期早々だな。今は我が国の領土から完全に日本を駆逐することが必須だ! 海外にある我が基地をすべて失ったとしてもだ。それに日本も馬鹿ではないだろう。それなりに軍を残していると聞く」


 マッカーサーが何かを言おうとしたが先手先手でアイゼンハワーに発言が阻止されてしまう。


「(ふん、まあいいだろう! 手酷い損害を受ければ気が変わろう。何か得体のしれない存在が日本を助けていると聞く)」


 マッカーサーが諦めたようで席に座るのを確認するとアイゼンハワーは再び喋り始めて作戦を話す。


「建設途中のペンタゴンに協力を要請して日本の将軍たちの情報を徹底的に調査をしてもらった結果、付け入る隙を見つけた」


 アイゼンハワーの説明によると偽の情報を流してロスアンジェルスではなくこのデンバーに進撃させること。


 ロッキー山脈を越えての艦砲射撃援護は無理なので補給線が伸びきった時に一斉に攻撃を仕掛けることを説明する。


「敵の大将は親の七光りで単細胞だという。とびきりの極上の餌を撒いて侵略者共を太平洋に追い落とす! 現在、着々と戦力増強が行われているが日本がロッキー山脈を越えて麓に降りてきたころには70個師団が配備されていて戦車を始めとする戦闘車両8万輌に航空機4万機が配備される予定だ。しかも試作機だがB-29という超巨大爆撃機が配備される。日本がのこのことこのデンバーに来た時こそ、包囲殲滅を以てこの世界から消滅させる」


 アイゼンハワーの言葉に室内の将軍たちの歓声が沸き起こる。

 だが、アイゼンハワーの心の中ではある不安が胸中に巣食っていた。


「(戦争初期にサンティアゴを壊滅させたという謎の潜水艦……だが大陸中央に干渉するのは流石に不可能だと思うが……)」


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