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第四話:別展開?

投稿します

 

昭和十六年十二月五日、真珠湾にて偵察行動をしていたドローンが異変をキャッチして映像受信を送ってくる。


その時、伊400では食堂で日下艦長と橋本先任将校が将棋を指していた所で橋本が王手飛車を宣言した時に通信士が飛び込んできて真珠湾で大きな動きが見えたと報告してくる。


「……もしかしてもしかするが歴史が変わったのか?」

「とにかく行きますか、艦長。 この勝負は私の勝利でよろしいですね?」


 橋本の笑みに日下は拗ねた表情をして頷く。

「今回は私のミスだよ、さあ行こうか」


 二人が発令所に入ってきたとき、西島航海長がドローンから送ってくる映像をスクリーンに映し出す。


「これは……」


何と正規空母“エンタープライズ”“サラトガ”が出航していくと同時に太平洋艦隊が続々と錨を上げて出港しようとしていたのである。


 この映像を見た日下は自分が思っている事を話す。


「恐らくキンメル大将か上級幕僚の誰かが前世を思い出したのかもな! ま、これも山本閣下と石原閣下も承知であるが……問題は南雲機動部隊だな」


「艦長、もう少し様子を見たほうがいいのかもしれませんね? どの方角に向かうのか? もし、機動部隊方面に向かえば間違いなく前世を知っている者がいると」


 橋本の言葉に日下は頷くと特殊長距離周波数で山本長官が乗船する戦艦“長門”に送る。


 送信して僅か一分で到達すると言う未来の技術周波数であった。


「さて、いずれは南雲機動部隊にも行くと思うが……どんな反応を示すのだろうか?」


♦♦


 一方、真珠湾を出撃した正規空母“エンタープライズ”“サラトガ”は真珠湾口を出てその後から続く駆逐艦二隻を待つ。


 “エンタープライズ”艦橋では『ウイリアム・ハルゼー』中将が参謀長に艦載機の搭載状況を尋ねる。


「オアフ島各地に配備されている航空機を搭載しました。現在、布哇諸島には四〇〇機が配備されていますがその内、二隻で百四十機を積み込みました。発艦は可能ですが着艦は難しいとの事です」


 参謀の報告にハルゼーは頷くとそれでいいと答える。


「攻撃した後は陸地に向かえばいいだけだ! それよりもジャップがハワイを攻撃するとは……信じられないな、物まねしかできない黄色い猿がな」


 だが、直ぐにハルゼーはその思いを打ち消す。


 キンメル大将からは絶対に日本を舐めるな! 超一流の敵として……ドイツよりも精強だと思って迎撃するのだと訓令を賜っている。


「……まあ、油断大敵だな! そろそろキンメル艦隊も出撃する時間だな」


 ハルゼーの言う通り、キンメル大将が乗船している戦艦“ウエストバージニア”に続いて“オクラホマ”“メリーランド”“アリゾナ”“テネシー”“カリフォルニア”“ペンシルバニア”に重巡洋艦二隻、軽巡洋艦六隻、駆逐艦三十隻という太平洋艦隊全てが錨を上げて出港していく。


 “ウエストバージニア”艦橋ではキンメル大将が不倶戴天の決意を以て日本機動部隊を迎撃して叩きつぶす事を決意する。


「……出来れば大西洋艦隊の“ホーネット”“レキシントン”ラングレー“”ワスプ“も欲しかったが……」


 真珠湾を出た太平洋艦隊は二つの陣形に分かれる。

 空母二隻、戦艦二隻、重巡一隻、駆逐艦十隻を一群とする。


「先ずは先制攻撃としてハルゼー艦隊から航空機部隊を出撃させて日本の機動部隊に奇襲攻撃を掛ける! その後、混乱状況に陥っている所に戦艦部隊で殴り込みをかけて殲滅だ!」


 凄まじい炎の闘志を燃やしながらキンメルは前世で無能の烙印を押されて名誉も挽回する事も出来なくて亡くなったことを思い出す。


「汚名返上だ! 日本機動部隊……南雲機動部隊、覚悟するのだ」


♦♦


 この一連の行動は伊400のドローンによって一部始終、映像として記録されておりその都度、山本長官や石原莞爾及び南雲機動部隊の空母六隻に送っている。


「……徳田? このままいけば南雲機動部隊とハルゼー艦隊との邂逅日時分かるか?」

「はい、明後日の早朝ですね? 丁度、第一次攻撃隊が発艦するタイミングです」


 日下はじっとスクリーンを見ながら宣戦布告の件は大丈夫なのだろうか? と独り言を言うと橋本も心配そうに頷く。


 実際、二人は大使館のメンバーを信用していなかったのである。


「艦長、伊400に搭載している“五十式誘導魚雷”の残り本数は十本しかありません。山本長官の援助で酸素魚雷を三十本積んでいますが?」


 “五十式誘導魚雷”は伊400の必中必殺武器で時速七百キロの速度を誇り航続距離は実に千キロである。


 日下は宣戦布告がきちんと間に合えば伊400で攻撃を仕掛けようと思っていて主目標は巡洋艦や駆逐艦と言った防衛艦隊を血祭りにあげる予定をしていたのである。


 その時、戦艦“長門”から極秘周波数が伊400の受信機に飛び込んできてその内容が全員が「はあ???」 という内容であった。


「……日本大使館がハル国防長官を通じて宣戦布告の書類を届けたとの事だが史実

と違って未だ二日間あるが? 現在、米国本土は大騒ぎでルーズベルトが会見をする

という事だが?」


「一体、何が起きたのでしょうか?」


 実は宣戦布告に関する通信文を受信したと同時に宮内庁から直々に電話がかかってきて裕仁陛下自ら叱咤激励したとのこと。


 その効果は覿面で僅か数時間で解読して纏める事に成功したのである。


 日下が電文を持ちながら茫然としていた時に徳田が南雲機動部隊上に展開しているドローンから変化ありと大声で知らせる。


 我に返った日下が何が起きた? と聞くと南雲機動部隊の各空母上に艦載機が所狭しと並ばれていると共にプロペラが轟々と回っていて発艦準備をしているということを報告してくる。


 それを聞いた日下は暫く目を瞑っていたがポツリと口を開く。

「どうやら俺達が知っている真珠湾攻撃とは全く違う展開が行われるという


これより全く別展開の真珠湾攻撃が始まりますが次話は南雲機動部隊に舞台を移して発艦迄の出来事を記したいと思います。

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