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第三十二話:攻撃!!

投稿します。

 各空母から発艦した日本軍機の大編隊は一路、北の方角に驀進していた。

 そして……“瑞鶴”所属のゼロ戦21型を操縦している『山崎順二』少尉は遥か海面に白くて長い航跡を視認する。


「……空母か? よし、確認する」


 操縦桿を華麗に操りながら高度を落とすと正に米空母が輪形陣のど真ん中に三隻が航行していた。


「よっしゃ!!! やったぜ!」


 山崎少尉はガッツポーズをすると風防を開けて信号弾を二発撃つ。

 信号弾を視認した各機はそれぞれ打合せした通りに一瞬で各編隊を組んで攻撃態勢に移行していく。


 その最中、米空母直掩機数十機が舞い上がってくると共に空母を護衛している巡洋艦や駆逐艦から対空機銃の弾幕を張るために撃ち始めて来る。


 だが、不幸なことに無線等使えないので意思疎通が完全に働かなかったので各艦バラバラであった。


「回避運動をとれ!!」


 旗艦“ヨークタウン”艦橋でスプルアーンスが檄を飛ばす。

 先手を取られた事に彼は上空を睨みながら臍を噛むが直に的確な指示を出すと参謀達がそれに応えて命令を伝えていく。


「ああっ!! 味方機が!」


 誰かの声にスプルアーンス達は双眼鏡で確認すると味方機が次々と火達磨となって撃墜されていくのを確認する。


 現時点で世界一熟練度が高い日本機動部隊航空隊の手に掛かり上空直掩機は全機撃墜される。


「よっしゃ! 邪魔者は始末したぞ、艦爆隊は巡洋艦や駆逐艦の対空兵器を黙らせてくれ!」


 無線が使えないため、彼の声は聞こえない筈だったが以心伝心で各機の搭乗員に伝わったのである。


 この時の米機動部隊は練度が低く統制による対空態勢が全く取れなく各艦勝手に機関銃を撃っていたのである。


 それと長期間の北方航路による疲労も蓄積されていたのであった。

 99式艦爆が上空から三十度の角度で急降下していく。

 この角度こそが理想的で命中すれば破壊力がMAXになる。


 この時既に米空母の上空には米軍機は無く、日の丸をつけた日本軍機のみが我が物顔に上空を舞っていたのである。


 無数の99式艦爆が急降下して二百五十キロ爆弾を投下していく。

 命中率実に九十六%という信じられない命中を叩きだしたのである。


 次々と大爆発音と共に黒煙を上げて炎上する巡洋艦や駆逐艦は甲板上の構造物が無茶苦茶に破壊されたが沈没は免れていた。


「ダメコンチーム急げ!!! 消火を早くしろ!」


 各巡洋艦や駆逐艦甲板上で消化チームがホースを伸ばしながら放水していく。


 消火に重点を置くことになったので対空砲火がかなり劣って来たのを確認すると雷撃機である九十七式艦攻全機が巡洋艦や駆逐艦の上空を通過していく。


「くそったれ!! ジャップめ、ファック!」


 甲板上で中指を立てながら喚く水兵たちを嘲笑うように日本軍機が空母に向かって突き進んでいく。


 空母“ヨークタウン”に十五機の九十七式艦攻が突っ込んでいく。


「距離七百メートルで魚雷を発射だ!」

 山崎の檄に後部座席の補助員がはいと大きな声を出して返答する。

 後部座席搭乗員が距離を測っていく。

 そして絶好のタイミングの計算が出来たので大声で怒鳴る。


「七秒後に投下してください!」

「よっしゃ! 任せろ」


 七秒後、山崎は魚雷発射レバーを引くと同時に機体がふわりと浮上する。

 目の前に空母の高角砲を視認したので機関銃を放つと共に機体を引き上げて上空に離脱していく。


 その数秒後、“ヨークタウン”の右舷に轟音と共に十本の水柱が立ったのである。


 魚雷は兵員室・機関室・後部兵員室・そして……ガソリン格納庫で爆発したのである。

 凄まじい衝撃と爆風及び熱風が空母艦内を駆け巡る。

 絶叫と悲鳴が艦内に響き渡るが直にそれも沈黙していく……。


 “ヨークタウン”は黒煙を吐きながら急速に右舷方向に傾いていくと転覆して赤い船底を曝け出した瞬間に閃光が閃いて船体が真っ二つに折れて火柱を上げて轟沈したのである。


 スプルアーンス中将も艦と共に冷たい海の底に沈んでいったのである。


 練習軽空母“ラングレー”では“ヨークタウン”が火柱を上げて轟沈していく様子を茫然として見つめていた。


「き……旗艦が……轟沈……」


 “ヨークタウン”が轟沈した同時刻、“ワスプ”も又……魚雷と爆弾の雨を受けて大爆発して轟沈したのであった。


 未だ魚雷や爆弾が余っていた機は残存艦船に襲いかかり次々と餌食にしていく。


 真二つに折れて沈んでいく巡洋艦や駆逐艦……。


 空母“ラングレー”も又、魚雷数本を食らって海の底に沈んでいったのである。

 残り数隻程度までになったとき、驚いたことに艦が停止して白旗がマストに掲げられていくのを確認する。


「降伏か……? 正しい判断だが……」


 白旗を掲げたのを視認したゼロ戦数機が母艦に連絡する為に発光信号で伝えて機首を翻して戦場を離脱していく。


「降伏したのは巡洋艦三隻・駆逐艦四隻か……完勝だな」


 日本軍の損害はゼロ戦三機・九九式艦爆四機・九七式艦攻十機だったが搭乗員の半数は脱出に成功して海面に不時着したのである。


 かくしてこの現時点で太平洋・大西洋には米空母は一隻も存在していなかったのである。


 ちなみに米空母から発艦した艦載機の運命は? 


次話もなるべく早めに投稿したいと思っています。

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