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沫土菜園テスト農場(マツドサイエンテストのうじょう)  作者: 楠本 茶茶(クスモト サティ)
13/14

第13部分 第13部分 統一理論  ~ENERGY(エナジー)の本質序論~

第13部分 統一理論  ~ENERGYエナジーの本質序論~ 



前回とかぶってしまうが、重複ちょうふくいとわず再掲しておこう。


ジュールの法則

・位置エナジー(独:エネルギー)による”仕事”は質量と重力加速度と高さの掛け算で示すことができる。つまり…

 仕事〔J〕= m質量〔kg〕 × g重力加速度〔m/s^2〕 × h高さ〔m〕

  ただし”s^2”は ”sの2乗”を示すものとする。

余計な文字を消すと…  

 仕事〔J〕= m〔kg〕×g〔m/s^2〕×h〔m〕 

さらに単位を消すと

 仕事〔J〕= m × g × h = mgh

ということになる。

 

一方アインシュタインの特殊相対性理論は

 エナジーE〔J〕= m質量〔kg〕×c光速〔ⅿ/s〕^2

  ただし”c^2”は ”cの2乗”を示すものとする。

余計な文字を消すと…  

 エナジーE〔J〕= m〔kg〕×c〔ⅿ/s〕^2

さらに単位を消すと

 エナジーE〔J〕= m × c^2 = mc^2

ということになる。



この両者を並べてみると…

 ジュール    : 仕事〔J〕   = m×g×h = mgh         

 アインシュタイン: エナジーE〔J〕= m×c^2 = mc^2  

ということになるが… なにやら気にならないだろうか。  



どちらも左辺の単位は”〔ジュール〕”であり、右辺のm質量は共通している。

これで似ていない、ということは有り得ないだろう、とラクどんが未練たらしくボヤいているのである。



博士がようやく口を開いた。

『さすがは素人しろうとじゃ… これはのう、そもそも扱う世界が違うのじゃ』

「無論そうなんですが… ジュール先生のはいわゆる”主体が日常のニンゲン”から見える古典的なニュートン力学、アインシュタイン先生のは光速は有限で一定値を取るという”相対的な立場”ですよね」

『いや、論点ははなはだ面白いんじゃよ… でもだからと言って左辺が左辺が共通、右辺のmも共通だから約分できそうだからとか… ならば等号=で結んじゃえ… みたいな安易な考えだと、結果的にジュールのgh=アインシュタインのc^2 なんてことになる。gh=c^2 はさすがに有り得んのではないかな?』

「だからこそ気になるんですよ。あれ、そもそも光速が、しかも2乗の形で登場する理由ってなんでしたっけ?? こんがらがっちゃいました」

『やれやれ仕方ないのう…  こういうラクして説明するにはやっぱ動画が一番じゃて… というかな、文章だけでの説明は無理じゃろうて…  えっと検索検索、森田ケンサクは某県知事っと… うむ、このへんが良かろうかのぅ』


https://youtu.be/HLVbzWaM5NM


博士は1本の動画を紹介してくれた。


見た。


ううううん、光速が登場する理由は思い出せたけど、その他はあまりよく分からなかった… 


僕が正直に打ち明けると博士は言った

『そうか… ならば特別講義を一席弁じようかのう』

「は、す、すみません、ボクがボンクラなもんで… よろしくお願いします」

『いやいや無理もない無理もない… 普段考え詰めていても難解なものをな、たまに考えたくらいでわかるようじゃ世界中の物理学者はな、おマンマの食い上げじゃって… まずラクどんが誤解しておるのは〔ジュール〕のとらえ方じゃろな。ジュール先生センセのジュールは御挨拶ボンジュール程度でよろしいがの、アインシュタイン先生センセのジュールとはな、ちょっとたちが異なるんじゃよ』


以下は博士独特な言い回しのオンパレードで、正直僕しか解読できないと思われれるので、適当に意訳しながら書き留めておくことにしよう、意味が通じないところや矛盾したところがあれば、それは僕の誤解か表現力の不足である。



要は…アインシュタインの方のEは”質量エナジー”的なものを意味しており、質量保存の法則は厳密ミクロたんいには成り立たない…ということなのだ。これは具体例を挙げた方がわかりやすいかも知れない。

例えば”核分裂”や”核融合”の際にこうした”質量→エナジー【熱やγ(ガンマ)線】”への変換がわずかに起きるとされているが、そもそも”C”の具体的なあたいは 約3.0×10^8 〔m/秒〕、すなわち 30万km〔/秒〕 という、1秒で”直線と見做みなした場合の地球の赤道上を7周半できるほどの速度の大きさなのだ。公式では ”c^2” であるため、これを計算すると、僅かどころではなく

 3.0×10^8 × 3.0×10^8 = 9.0×10^16 〔m/秒〕^2

という膨大な値になるのはおわかりだろう。


一例として、1グラムの質量がすべてエナジーに変態したものとしてこれを上記の公式に代入すると

 エナジーE〔J〕= m〔kg〕×c〔ⅿ/s〕^2

         = 1/1000 × 9.0×10^16

         = 9.0×10^13〔J〕

        (なお 1/1000 = 10^-3 であり、kgをgに換算するためのもの)


という値が導かれる。この大きさは… ちょっと何言ってるか分からないけど…


ヒロシマに落とされた原爆ゲンバクリトルボーイに搭載されていたウラン64kgキログラムのうち、わずか0.8~1.09kg程度のウラン235の核分裂により、広島型原爆の威力が発生したと言われることからおよそを推察できるかも知れない。無論残りの 64-1.09 = 62.91kg は広島上空で無為に飛散し、核反応で生成した物質と共に周辺のみならず広大な空間および地面海洋を汚染したのである。

理論上1kg程度のウラン235が核分裂しただけでも、その威力はTNTトリニトロトルエン火薬1万5000トン(約15キロトン)に匹敵する破壊力となるという。これって爆弾何発分だ?? まあ爆弾にもいろいろあるし、お読みいただいている方も私も、各々が実際爆弾の洗礼を浴びた経験のある方など皆無だろうし…


ならば視点を変えてこっちの方が良いかな…? 1〔g〕のウラン235が核分裂すると、その 約0.09 %、すなわち 0.0009 g だから 0.9 ミリg の質量欠損エナジーにへんかんが生じると言われているが、それによって放出されるエナジーは、石炭なら約3トン、石油なら約2,000リットルに相当するという。残りの 0.9991g はそのまま、または何らかの反応物となり飛散して放射能汚染の元凶にもなるのだ。

質量欠損0.09gで石炭なら約3トン、石油なら約2,000リットルというなら、質量欠損1gならどうなるか。

0.09gを約0.10gと見做みなすならば、計算上は約10倍、すなわち石炭なら約30トン、石油なら約20,000リットルのエナジーに化けるというのだ。


えっと… すごいですね。



つまりアインシュタインの特殊相対性理論の世界では単純な質量保存の法則は成り立たずエナジー保存の法則も成り立たないこと、および”質量”とは、原子核が分裂したり融合するの伴い"減って熱エナジーを放出する"ような”いわば質量エナジー”であるものらしい、と解釈できた。

ややこしいようだけど、その代わりに”質量とエナジーの総計”については保存則が成り立つのである。


これをさらに言い換えると、質量なんてものをエナジーと切り離して独自に考えるからややこしいワケで、はじめから”質量はエナジーが取り得る形態のひとつである”と言う方が適切だし、極論すれば原子や素粒子レベルにおいて”質量はエナジーの1種である”と考えるのが妥当… それがアインシュタインの意図した”エネルギーは質量と等価へんかんかのう”という意味であり、ジュールという単位で表現しうる”ということなのだ。


そうだったのか…

ぐぅのも出なかった。


こうしてラクどんのジュールとアインシュタインをいっぺんに凌駕りょうがしてやろうという野望は完膚かんぷ無きまでに打ちのめされついえたのだった。

まあ、そんなもんだよね。

ド素人が物理学者になる道程みちのりがそう簡単なものであるはずがない。



…かに思えたが、彼はまだ他の議論のネタを持ち合わせていたのである。

「博士、ついでにもう1個問答もんどうを吹っ掛けたいのですが… よろしいですか?」

私を論破して博士はすこぶる機嫌がよろしいようだ。

『この際じゃ、いろいろ懸案は解決しておいた方がよろしいな、続けたまえ…』

椅子に深々と腰掛け直しながら低く私をうながした。


「ではお言葉に甘えまして… 実は大学時代にですね、深夜なんかにいろいろと友人と議論をしていて… まあときどき徹夜になっちゃったりしたんですけどね…」

『ほうほう、そんな時代はワシにもあったけどな、うん…』

「そんなワケでネタも不正確かもだし、すでに時代にってなかったりするかもしれないですが…」

『ああ、構わんよ』

「例の素粒子とか統一理論とかの話しなんです」

『ふむ… そりゃまた厄介な… 理論だけは日進月歩じゃからのう…』

博士がまるで何かを振り返るかのようにちょっと遠い目をして視線を外した。




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