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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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カップをソーサーに戻した。

そこに右に立ってる男が先ほどまでメモしていた紙を隊長に渡す。


「ふぅ」

「お疲れのご様子、僕達は失礼した方が」

「誰のせいだと思ってる!」

「隊長を補佐しきれていない部下の・・・ですか?」

「きっ、貴様!」

「レネ!全く、お前は短気が過ぎる」

「し、しかし」

「レネ様は短気過ぎますよ」

「きっ、貴様!」

「レネ!」

「・・・は」


「貴族を前にしても物怖じしないその度胸がアンデッド退治の秘訣かな?」

「アンデッドより貴族様の方が何倍も恐ろしいですよ、閣下。現に今も噛みつかれそうです。おぉ、怖い」

「はっはっは。レネに関しては済まないな。見込みは有るのだが若くて経験が少なくてね」

「ファ、ファーダネ様!」

「さて、本題に入ろうか。実は君達にお願いが有るのだがね」

「恐縮でございますがお断りさせていただきます」

「む」

「きっ、貴様!」

「レネ!まだ話も聞いていないのにかい?」

「あのオヤ・・・ギルド長の手紙で使えそうな奴らだと思い、討伐隊に組み入れようと?」

「む」

「恐縮でございますがお断りさせていただきます」

「きっ、貴様!」

「理由を聞いてもいいかな?」

「寧ろこちらがお聞きしたいくらいで。幹部以上はまだ生きているとはいえ、かなりの盗賊を減らしたと伺っています。現状戦力でも大丈夫なのでは?」

「うむ・・・これから話すことは他言無用に願いたい」

「ファ、ファーダネ様!」

「実はその幹部以上に非常に手こずっているのだ。その幹部が魔術士なんだがかなりの使い手だ」

「軍であれば犠牲を覚悟して殲滅すればいいのでは?」

「軍だからこそ盗賊如きに犠牲は払えんのだ。我々は国内の安定は勿論だが国外への圧力も兼ねている」

「被害が長引けば他国からも侮られましょう」

「そこで君達の出番という訳だ」

「僕達は魔法使いではありません」

「マジックアイテムは持っているのだろう?それに相手はゴーストではなく人間だ。マジックアイテムが無くても殺せる」

「失礼ですがそのお言葉はそのままお返しさせていただきます」

「貴様!なんたる「レネ!」ぐぅぅぅ・・・」

「ふふふ。耳が痛いな」

「僕達は街の人々の困った案件を解決して報酬をもらい旅をしている者です」

「盗賊も困っている案件だと思うが」

「大き過ぎます。やはりそれは軍の案件でしょう。僕達はもっと小さな、人々に寄り添って人々の役に立ちたいのです」

「むぅ。その心掛けは立派だ、だからこそやはり引き受けて欲しい!」

「いや、しかし」

「この盗賊団はまさに鬼畜でな。盗む殺す犯すは当たり前。消えた村も多々ある。村が消えれば君達も旅に支障が出るだろう。それは他の者にも言えることだ。それに報酬も考えている」

「いえやはり僕達で・・・は・・・一応報酬をお聞きしましょうか」

「うむ。1人の幹部殺害で10万エナ。捕縛で30万エナだ。雑魚に関してはその10分の1だ。更にアジトの特定などの有用な情報の提供にも報奨金を作っている」

「有用な情報の提供での値段は?」

「今の所最高100万エナがあるが私の一存でもっと高くも出来る。つまり奴らを壊滅させるのに十分な情報を、という訳だ」

「なるほど。場所は分かっていないのですか」

「いや、分かっている」

「「「?」」」

「非常に攻めづらい所に立て籠もっていてな。しかし近々攻撃をする計画なのだ。それに参加して欲しい」

「僕達は攻撃というよりも支援系なのですが」

「結構だ。今までも攻撃したのだが拮抗していてな。君達の支援で状況が有利になるなら願ったりだ」

「何故そこまで買い被るのか分かりませんね」

「タルバ殿の推薦だからだ。あの御仁は先のギルド戦争でも信用出来るお方だった。その推薦なれば間違いないだろう」

「あっのクソオヤジ・・・」

「貴様!」

「レネ!」

「ぐぅ」

「仲間と相談したいのですが」

「結構だ」


(どうする?)

(うーん。難しい所ですね)

(サーヤ君?)

(は、はい。盗賊なんて、心情的にブッ殺してやりたいです)

(いいぞ!その調子だ)

(はい!)

(いや、今それどころじゃないでしょ)

(軍が出張ってるんだ、解決は時間の問題だろう)

(受ける意味は?)

(僕達は今まで魔物と、人間とは少人数との戦闘経験しかない)

(大人数での戦闘経験が出来ると)

(あぁ。しまも官軍だ、勝ちはほぼ確定。死ぬ危険も小さいだろう)

((なるほど))

(人を殺しての罪悪感も盗賊相手なら小さいだろう)

((なるほど))

(この先この世界を生きていく上で戦争を知るには絶好の機会だと思う)

((なるほど))

(雑魚を殺しても1万エナだ)

(人を殺してお金を得るのに抵抗が無くはないですけど・・・相手がね)

(ブッ殺してやりたいです!)

(いいぞ!その意気だ)

(じゃぁ、受けますか?)

(いいかな?)

((はい))


「閣下。しかしアンデッド討伐後の僕達にはやはり・・・」

「しかも君達の滞在中に払う金は半額負担しよう」

「やはり難しいかと思ったのですが。王国の為、人々の為!疲れたこの身に鞭打ち粉骨砕身!依頼を達成したいと思います」

「おぉ!受けてくれるか!」

「はい!謹んでお受けいたします。王国の為、王国民の為。身を賭して依頼に当たる所存です」

「うむ!期待している。詳細は追って知らせる。先ずは旅の疲れを癒すがいい。おい!たれかある!」


外から1人の騎士が部屋の前に現れる。


「この者達をホテルに案内してやってくれ。あぁ、勿論我々が半分負担するから心配するな」

「ありがとうございます」

「案内する故こちらへ」

「よろしくおねがいします。それでは失礼します」

「うむ。頼むぞ!あぁ、そうだ。依頼票は明日渡そう、出頭してくれ」




3人が部屋から出て行った。


「閣下!ファーダネ様!何故にあのような輩に依頼を?」

「冒険者が必要なのは分かっていたと思うが」

「えぇ!しかしあの者達は別です!栄光ある王国軍の名を汚します!」

「王国軍の名を汚すのはこの問題を早期に解決出来ない現状にある」

「そっ、それは!」

「現状を打破する一助になるのならあの者達の力も借りる。それだけだ」

「し、しかし!」

「クルトはどう見る?」

「・・・はぁ。まぁタルバ殿の見る目を信じる他ないかと・・・この実力ですと」

「うーむ。そこに秘密があると思うのだが。レネも見るか?」

「は?はい・・・こっ、これは!?こんなので?これでゴーストを?」

「やはりマジックアイテムの力か」

「そうに決まってます!この程度の実力で!しかも今回は我々でも攻めあぐねている盗賊ですよ!魔術士の私達ですら!」

「そう興奮するな、レネ。3人加わっただけだろう?何にそういきり立っているのだ?」

「うぅ・・・」

「・・・閣下。彼らは攻撃ではなく支援系だと言っていました。そのように配置されますか?」

「そうだな、クルト。攻撃的な冒険者に付けさせよう。配置は任せる」

「・・・はい、了解しました」

「さて。それでは再攻撃計画を詰めるとするか」

「「はっ」」


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