⑥-01-95
⑥-01-95
フォセンの街を出て1日目は北西の村に泊まった。
僕達が掃討した村だ。
村の男達が戻っていた。
女子供年寄りはもっと時間が経てば呼び戻すらしい。
護衛の冒険者も何人か見た。
冒険者に聞くとゴーストは出ていないらしい。
空いてる家を借りてそこに泊まった。
明くる日、村を出発し2日目は野宿。
3日目。
僕等は川に架かる橋を見ていた。
河原で休憩するため、橋から少し離れた位置にいた。
「こっちに来てから川なんて初めてだな」
「そうですね!なんかテンション上がります!」
「魚とかいるんじゃね!」
「川幅ありますもんね。10mくらいですか?」
「《魔力反応》にも反応あるぞ!って魔物か?これ」
「えぇ!?」
バチャッ
川の水面が水飛沫を上げる。
「何だ!?」
「魚ですか?」
「分からんが水音があった方に反応があるぞ」
「魔物ですか!?」
バチャッ
何かが川面から飛び出しこちらに飛んで来る。
「何だ!?」
3人共飛来物を避けるとそれは大きな、50cmはあるヒキガエルだった。
「グエエェェ・・・」
「蛙・・・か?」
「・・・羽が生えてますね」
「2人共!これは川の魔物、ウォーターリーパーよ!」
「「ウォーターリーパー!」」
「確かに鋭い鰭が付いてるが・・・手足が鰭になってるな」
「はい。お尻にも尾鰭が」
「グエエェェ・・・」
「陸上では動けんようだが・・・おっ、動くぞ!」
手の位置についてる鰭を交互に動かし進んでいるが苦しそうだ。
「陸に上がった河童ならぬ、ウォーターリーパーか」
「なんか可哀そうですね」
「生態はどうなんだい?」
「そのするどい鰭で獲物を斬り裂いて仕留め、丸呑みにします」
「「こわっ!」」
「っつうか、なんで僕達を呑もうとする?明らかに入らんだろ?」
「頭を落として・・・」
「「こわっ!」」
「ってか、川に反応集まってる!来るぞ!」
川面に多数の水飛沫が上がる。
バチャバチャバチャッ
多数のウォーターリーパーが飛来・・・滑空してくる!
マチェーテで迫りくるウォーターリーパーを斬り捨てていく。
「きゃあぁぁ!」
「俺の後ろに付け!」
「「はい!」」
滑空は直線コースなので《見切り》でコースは読める。
あとはタイミングを合わせて斬っていくだけだった。
「なんとか凌いだな」
「うえぇぇぇ。動いてますよ~」
「ひえぇぇぇ」
「グエエェェェ・・・」
「まだ反応があるぞ。サーヤ君、メイスで撃ち落とせるか?」
「えっ!?やっ、やってみます!」
「よし!君の所に1匹ずつ通すようにする。任せたぞ!」
「はい!」
バチャバチャバチャッ
俺は多数飛来するウォーターリーパーを斬り捨てながらサーヤ君のコースの1匹は通すようにする。
べちゃっ
斜め後ろでサーヤ君がメイスを振るっている。
魔力反応が彼女しかないのでうまく撃ち落としているようだ。
しばらくしてどうやら治まったようだった。
「凄いじゃないか、サーヤ君!」
「ホントね!結構撃ち落としてたわよ!」
「は、はい!楽しかったです!」
「そ、そうか。それは良かった」
「《槌術》も習得出来ました!」
「「なっ、なんだってー!?」」
「凄いじゃないか!サーヤ君!」
「はい!ありがとうございます!」
「適性があったんじゃない?楽しいって言ってたし」
「はい!」
「何はともあれ、結構な速さを叩き落とせるんだ。自信も付いただろう」
「はい!これからもっとブッ殺していきます!」
「お、おう。期待してますよサーヤさん」
「腰引けてるよ」
「ちょっと川岸から離れるか」
「そうですね」
「しかしなんで襲って来た?自分より大きな物に向かうかね?」
「魔幼虫とか魔犬はそうですよ。魔物って人間見ると襲って来ますから」
「そ、そうだったな。しかし最初の攻撃がカラぶったら殺してくれ状態な訳じゃない?」
「あの、アンデッドで付近の動物や魔物が居ないからでしょうか」
「そうか!なるほどな。僕達以外に獲物がいなかったからか」
「もしウォーターリーパーの存在知らない旅人が河原で休憩してたらスッパリいかれてますね」
「「こわっ」」
「まぁアンデッドもいなくなったんだ。生態系も元に戻るだろう」
「そう願いたいですね」
休憩を終えて歩を早め橋を渡る。
少し時間を食ってしまった。
今日泊まる予定の村に着く。
ここら辺になるとアンデッド騒動は及んでいなかったみたいだ。
被害はフォセンが中心なのだろう。
4日目街に着いた。
宿でゆっくりした翌日、街を出て針路を北に取る。
ここから3日目に目的地の領都ロムスコに着くはずだ。
2つの村を泊まり歩いて無事3日目に街が見え始めた。