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HappyHunting♡  作者: 六郎
第5章 異世界・オブ・ザ・デッド (フォセン:エチル、マイン、ターニャ)
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「ふぁっ、おはよう。いやこんばんはか?」


朝に寝て、その日の夕方に起きた。


「その日の最初の挨拶が”おはよう”ならそれで良いんでしょうけど・・・」

「おはようございます、カズヒコさん」


宿舎に話を通してあったので早めの食事を取った。

護衛を伴い冒険者ギルド本館へ赴く。


「こんにちは、シレナさん」

「こんにちは、エチルさん、マインさん、ターニャさん」

「うん。似合ってますよシレナさん。そのままのあなたで良いんです、そのままのあなたで」

「え、エチルさん・・・」

「ちょい!」


服の指摘をして何故か菊池君に怒られる。


「今日はゴーストじゃなくゾンビを狩ります。毎日だと疲弊しますので。ただ野営で夜型に慣らしていきます」

「はい、伺っています。お気を付けて」

「ありがとう。それでは」


ギルド本館を出て西門まで向かい、護衛とはそこで別れる。




「あの、カズヒコさん・・・」

「ん?どうしたサーヤ君」

「昨日、ギルド長とは結構強気の話し合いだったじゃないですか・・・」

「そうだね」

「その・・・一冒険者のカズヒコさんが・・・その」

「あぁ。なんであそこ迄強気なのに要求が通ったのかって?」

「はい」

「仮に街から冒険者が居なくなったとしよう、その代わりは誰がやる?」

「・・・衛兵でしょうか」

「そうだね。領軍の兵士がやるだろう。しかし今ある仕事もやらなきゃいけない、でも人は居ない。どうする?」

「募集して増やす?」

「そうだね。先ず集めるのに金と時間となにより人が必要だ」

「手間なんですね」

「あぁ。次に集まったとして装備を与えなきゃいけない、住むところも、場合によっては食事も。つまり維持費だ」

「維持費」

「更に給料を払わなきゃいけない。次にもし魔物を殺すんであれば報酬を出さないといけない、強い魔物であれば高くなるだろう。報酬が無ければもっと安全な仕事に回りたいって思うだろ?」

「はい、街の警護や門衛が良いです」

「そうだ、危険手当ってやつだな。その他にも色々金が掛かる。つまり軍隊ってのは存在するだけで莫大な金が掛かるんだよ」

「なるほど。冒険者を雇った方が安くなるって事ですか」

「その通りだ。すばらしいサーヤ君」

「いえ、そんな・・・」

「冒険者ギルドはある種独立した組織なんだ」

「?」

「領主の部下ではないって事ね」

「なんでもその国の平和の為の組織らしい。国直属って聞いたな」

「昔のギルドウォーで領主とつるんだギルドもあったらしいんだけど、国直属にすることで領主との癒着を止めさせようとしたんだって」

「ギルドウォー・・・」

「国境を越えた戦争になって魔物が間引かれなくなってスタンピードが起きた地域も有るらしいわ。それで各国で話し合って冒険者ギルドの統一性をある程度決めたって話よ」

「だから違う国に行っても仕組みはあまり変わらないんだってさ」

「なるほど」

「でだ、ギルドには国や領主から補助が出るらしいんだけど、それが報酬に加算される訳だ。同じ依頼で高い報酬と低い報酬、受けるなら・・・」

「勿論高い方です」

「だよね。そうすると低い方の街は冒険者が居なくなる。この街の冒険者は・・・」

「なんでも国内を荒らしまわってる大盗賊団討伐に行ってるらしいです」

「魔法使いが1人もいないのはそういうことか」

「そっちのが報酬が良いのでしょうか?」

「だろうね。だから多少こっちが強気に出ても要求は通るだろうと」


「冒険者の不文律っていうのは・・・」

「冒険者は金の為に戦ってる訳だ、そのやり方を公開させるようならその街に冒険者は訪れなくなる。今回の僕達みたいに出て行こうってなるんだ」

「愛国心でタダで教えろとか、倒せとか言われたら。どうぞどうぞ自分達で、ってな訳よ」

「なるほど」

「冒険者が訪れないって事は護衛されないから商人も来ない。街の発展は難しいな」

「つまり冒険者ギルドが無くなったら街はやっていけないってことね」

「ではなんで統治官は強硬手段に?」

「想像だが、この街出身じゃないらしいし任期でも有るんじゃないか?今回のアンデッド騒動が自分の経歴に傷をつけると思って強硬手段に及んだ・・・みたいな」

「官僚っぽいですね」

「もう来ませんかね」

「・・・当分は来ないんじゃないかな」

「当分は?」

「その間に策を練る・・・みたいな」

「「えー」」

「こっちも何か考えておくか」




今夜はゾンビだけを狩るつもりだ。

夜は昼よりも活発になる。

街の周りは他の冒険者が狩っているがそれは日中だ。

夜になればまた何処からともなく現れる。

それを狩っていくのだった。


「しかしこの世界は火葬だろ?ゾンビになるって事は・・・」

「意図的に、そしてその後は死霊魔法で、ってこと?」

「もしくは事故か何かで処分されなかったか・・・」

「事故?」

「疫病・・・とか?」

「疫病!?私達大丈夫なの!?」

「ゾンビは生命活動ないから大丈夫だろう」

「だといいけど」

「というよりゾンビも魔物だよな」

「?」

「”ゾンビ”として生まれてくるって訳じゃないよな?」

「人が死んでゾンビになるんじゃなくて、ゾンビという魔物が生まれる、と?」

「あぁ」

「いやぁー、流石にそれは。一応人間ですし」

「服も着てますから・・・服ごと生まれてはこないでしょうし」

「それはそうだな。となると何処かで死んでる訳だ」


「そうなるとゴーストはどうやって生まれるんでしょう」

「それは・・・ゾンビがいるってことは・・・なぁ?」

「はい。人の魂が魔力と結びついて生まれるって聞きました」

「っていうことは、このゾンビ達の魂が・・・?」

「そういうことだろうな」

「浮かばれないー!え?ゾンビに魂ないの?」

「死んでるからないだろ?」

「いえ、あるそうです」

「「は?」」

「生前の行動を取ったりするゾンビも居るらしいですし。結びつきが弱いながらも魂は有るんじゃないかと言われてます」

「っていうことはゴーストは?」

「ふーむ。全部ゾンビになる訳じゃないって言うからもしかして・・・?」

「どっちにしろ浮かばれないー!」


「サーヤ君。スケルトンって存在するのかな?」

「はい。聞いたこと有ります」

「どうしたんですか?」

「ゾンビが腐った結果、スケルトンになるんじゃないかと思って」

「ほほー」

「いえ、スケルトンはゾンビからの進化じゃないそうです」

「進化?」

「上位種です」

「あぁ、上位アンデッド」

「はい」

「そうなのか?腐って肉が剥がれ落ちた結果、スケルトンになると思ってたが」

「ゾンビは腐る者と腐らない者がいるそうです」

「「え?」」

「死霊魔法でゾンビになった者は腐らないそうです」

「魔法で腐らないって訳か・・・」

「腐るゾンビはどうなるの?」

「ある程度で死ぬ・・・動かなくなるそうです」

「期限があるのか、自然死かよアンデッドのくせに」

「今回のゾンビは・・・」

「臭いが有るから多分腐るな」

「じゃぁ、ほっとけば?」

「自然死か。そう言った理由も有ってフォセンは後回しにされてるのかもな」

「「なるほど」」


「魔物がどうやって生まれるか、謎だらけだな」

「ですねー。分かれば防止出来てこの世界もより安全になるのに」

「ゴブリンもまだ分からんし。知ってるかサーヤ君、ゴブリンは生殖器官が無いんだぞ」

「え?」

「あいつら子供出来ないのよ」

「え!じゃぁ、どうやって!?」

「まさしくそれだ!おちんち「オラァ!」んぐぁはっ!」

「わざわざその単語言わなくていいでしょ」

「おふぅ・・・雄雌の区別が無いんだよ。連中。全く謎だ」




その夜、ゾンビはそんなに居なかった。

今までの掃討で結構数が減っていたみたいだ。

明日の夜にはゴースト狩りの再開だ。


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