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HappyHunting♡  作者: 六郎
第5章 異世界・オブ・ザ・デッド (フォセン:エチル、マイン、ターニャ)
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⑤-04-80

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翌朝。

眠い目を瞬かせ出発の準備をする。

夜は何事もなく過ぎた。

日中はゴーストは出ないらしい。

一安心から欠伸も出る。


「ふわぁ~。若いっていいねぇ。前だと徹夜はもう出来なかったろう」

「?」

「無理はしないで下さいね」

「分かってるよ。拾った命・・・拾われた?大切にするよ」


菊池君を先頭に、僕はそれに続く。

《魔力感知》で探索だけやってリーダーは菊池君に任せた。


昼休憩は1時間ほど昼寝した。

そのお陰か、午前中よりも大分マシだ。

そうやって夕方ごろ街壁が見えてきた。

フォセンの街だ。




遠くからでも物見櫓が分かる。

扉は閉じられ、街壁には衛兵が矢を番えてこちらを待ち構えていた。

壁の高さは5mはあるだろうか。

手を振りゾンビではないアピールをしつつ門に近づく。


「何者だ!」

「旅の冒険者です!」

「何しに来た!」

「補給に!」

「ゾンビには遭わなかったのか!」

「遭いました!20匹以上!」

「全部倒したのか!」

「えぇ!魔石も有ります!」


衛兵らは話し合っているようだ。


「どうします?」

「どちらにせよ、補給をしないと旅は続けられない。入れてもらおう」

「分かりました」


「責任者に言付けた!しばしそこで待て!」

「はーい!」


「ここで待てって・・・」

「まぁ・・・ゾンビが来たら衛兵も弓で助けてくれるだろ」

「・・・そうか」

「荷物を置いて休むか。サーヤ君も休めよ」

「はい」


腰を降ろし水を飲んで一息入れていると、


「周りにゾンビはいるか!」

「・・・いません!」

「街に入れるようにと命令だ!すばやく行動せよ!」

「分かりました!」


急いで荷物を片付けて待つ。


ギイィ


木製に金属枠の扉が重々しく開く。

全開ではなく僅かに開いた隙間から、


「早く入れ!」

「分かりました!」


僕達はフォセンの街へと入ることが出来た。




入ることは出来たのだが衛兵に囲まれている。


「今、街は非常事態宣言が出ている」

「「「非常事態宣言!?」」」

「一応検査を受けてもらう。女には女の検査官が付くから安心していい」

「分かりました。入街税は?」

「今は徴収していない。冒険者が来るのは歓迎なのだ。扱いが悪いのは許して欲しい。君達も分かっているだろうがゾンビが出てな。それに夜にはゴーストも出てる。噛まれてたりしてないか調べる必要が有るのだ」

「ゾンビに噛まれると?」

「ゾンビになる。しかし世の中にはならない者もいる。今回はゾンビになるようだ、詳しくは分かっていない」

「なるほど」

「何度も言うが冒険者は歓迎なのだ。人手は足りていない。君達も他の街に行くにせよ、補給は必要だろう。その為にはこの街を平穏にしなきゃならん。その一助になって欲しい」

「分かりました。お役に立てるようがんばってみます!」

「うむ!期待している!では別室で検査を受けてくれ」


別室での検査を終え、僕らは集合して宿を探そうかと思ったが、


「冒険者ギルドに行ってくれ」


そう言われ有無を言わさずギルドに連れていかれた。

検査を終えたからだろう、僕達に付く衛兵は1人だけだ。

連れていかれる間に街の様子を見てみるが人通りには誰も居ない。

薄暮とは言え早すぎるのではないか?


(先輩が、お役に立てるように、って珍しいですね)

(《隠蔽》Lv上げの好機は逃さんよ)

(やっぱりな!)

(街に入った以上拘束されるんだ、ああ言っておけば印象は悪くないだろう)

(でも何かやらされるんじゃないですか?)

(アンデッド退治は確定だろう。冒険者は歓迎だって言ってたしな)

(それもそうか)


やがてギルドに到着し本館に入る。

中は閑散としていた。

コローやコンテやグンナーの本館と似た作りだ。

衛兵はカウンターの受付嬢に話しかけた。


「ではシレナ、あとは頼んだ」

「分かりました。ご苦労様です」

「では、君達。失礼する」

「「「どーも」」」


衛兵は去っていったので僕達もそれに続こうとする。


「ちょいちょいちょい!あなた方は行かなくて良いのです!」

「あ、どーも。初めまして」

「初めまして、シレナと言います。街外から来られたのですか?」

「はい。ですので何が起こってるのか詳しいことを聞かせてくれませんか」

「そうですか。街外からは珍しいので・・・分かりました。

先ずは数か月前、近隣の村でゾンビの報告が有りました。それで調べてみると他の村にも出没していたのです。冒険者を派遣してゾンビを始末していたのですがゴーストも出るようになりまして。近隣の村民をこの街へ避難させ、アンデッド退治の為に領軍、王軍を待っている所です」

「領軍!王軍!」

「えぇ。しかし魔法使いは他に大きな王命が有るとかで出張って来られず、冒険者による殲滅をしていますが倒せるのはゾンビばかり。ゴーストまでは倒せない状況なのです。冒険者の魔法使いも王命の方が報酬は良いので・・・」

「なるほど」

「あなた方に魔法使いは?」

「「いません!」」

「そうですか・・・」

「街の中も人がいないようですが」

「街外の畑には行けないので食料の調達が出来ません、村からも当然ありません。魔物を狩ろうにもアンデッドで魔物も離れていってしまいました」

「アンデッドは魔物も襲うんですか?」

「はい。アンデッドは生きとし生けるものを憎んでいます。人間だろうが魔物だろうがお構いありません」

「なるほど。それで経済が停滞しているのですね」

「そうです。領軍からの補給は来ているのですが・・・」

「この時間ギルドが閑散してるのも・・・」

「えぇ。冒険者は別の街へ行ってしまいました」

「そうですか。では僕達はこれで・・・」

「ちょい!お待ちになって!」

「は、放してくれます?」

「冒険者登録はしませんの?」

「今日は宿でゆっくりしようと」

「街の宿は今ものすごい高いですわよ。ギルドの宿を紹介しますわ」

「いえ、結構。では・・・ぐっ」

「お待ちあそばせ!街の食事も高騰しています。でもギルドであれば通常価格で提供しております」

「その見返りは?」

「アンデッド退治・・・ってちょい待ち!放しませんよ!えぇ、放しませんとも!何年冒険者の受付やってると思ってるの!」

「ぐぅ、流石冒険者ギルドの受付嬢。普通の女ではない・・・」

「さぁ、登録していきましょう。ここに記入していくのです!」

「宿代は・・・」

「安くなりますわ!」

「街の宿で良いです」

「わーかーりーまーしーたー!タダでいいですよ、タダで」

「ホントにぃ?」

「ホント!食事も通常価格!もう決めるっきゃない!」

「うーん、シレナさんだけにぃ、ウソかもシレナい。なんつって」

「ぶっころ・・・」

「えっ?」

「宿もタダ!食事も安く!かなりぶっこんでるんだから決めましょ!ねっ!」

「うーん」

「お姉さんの、お・ね・「決めます」が、って途中よ!そこは最後まで聞きなさいよ!ホントに?ありがとー!」


「それじゃー冒険者登録して行って、え?新規?まぁいいわ!」


もう手慣れた新規登録をしていく。


「えっと、エチルさん、マインさん、ターニャさんね。これギルドからの紹介状。これ持って行くと無料になるから、宿は地図に書いておいたからそれを見て」

「「「ありがとうございました」」」

「いーえー、じゃぁまたねー」




「ふぅ」

「あんなガキにも気を使わなきゃいけないなんてね、シレナ」

「仕方がないわよ。人手不足だもの」

「それにしても何時まで続くのかしら」

「ゴーストが居なくなるまででしょう?」

「それが何時までかってことよ!」

「魔法使いが出張ってくれれば良いんでしょうけど」

「今は国内を荒らしまわってる大盗賊団の相手でそれどころじゃないでしょうね」

「全く、アンデッドが徘徊してるってのに・・・人間で争うなんて!」

「折角夏になろうっていうのに、あぁ、もう!」

「あの子達も少しは役に立ってくれればいいんだけど・・・」

「望み薄かなー。魔法使えないし。男リーダーに女2人。大方良いカッコ見せたい田舎の坊ちゃんってところでしょ」

「魔法使いが来るまでもってくれればいいんだけど」



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