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HappyHunting♡  作者: 六郎
第5章 異世界・オブ・ザ・デッド (フォセン:エチル、マイン、ターニャ)
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⑤-03-79

⑤-03-79




その夜は野宿をしたがゾンビが現れることはなかった。


明くる日。

昨日少し時間を食ったので少し早く歩く。

そしてフォセンから1日の距離にある村が見えてきた。


「今日はあの村に泊めてもらいましょう」


しかし村の様子がおかしい。

村の周りに近づいても生活音が聞こえず、夕方だというのに炊事の煙もない。

勿論人の気配なんかも無い。


「様子がおかしいな」

「そうですね」

「何かあったんでしょうか?」

「僕が先頭で入って《魔力感知》で探索する。君等は僕の後に付いて来てくれ」

「「了解」」


出入り口用の木柵を抜け、村の中を一通り歩き回る。

弓を構えつつ彼女たちは後ろから来る。

村内全ての施設の魔力反応を調べた。


「魔力反応はない。人も魔物もアンデッドもいないな」

「どうしたんでしょう」

「今日はここで泊まるのでしょうか?」

「あぁ。何が有るか分からんがとりあえず防御に適した家に今日は泊まろう」

「「分かりました」」


そこは村内で1番大きな家だった。


「やっぱり村長の家かしら」

「だと思います」

「もう直ぐ陽も沈む。宅内にバリケードを築いて夜に備えよう」


家の中は昨日今日人がいなくなった感じではなかった。

大分前に何かがあっていなくなった。

一体何が?

家の竈で火を熾し食事を作る。

明日にはフォセンに着く。

保存食の消費の為に結構な量を使う。当然水もだ。荷物が軽くなる。


食事を終え家の中を調べることにした。


「少なくともいきなり消えた訳じゃなさそうですね。貴重品などは持ち去ったようです」

「盗賊ですかね」

「村内に死体は見当たらなかったが・・・魔物に食われりゃ残らんか」

「骨とかは残りそうですけどね」

「うん。見なかったな」

「1人も居ないって言うのは・・・」

「・・・ゾンビにされた?」

「うーん」

「先輩!これ!」

「なんだ?・・・日記か?」

「日記?」




〇月5日 晴れ

今日、2人組み猟師の1人、ルードが死んだ。

殺されたという。

殺したのは人間だったと言っていた。

盗賊か冒険者か、厄介な事になった。


〇月6日 曇り

村の男共で捜索した。

ルードが襲われたところに死体はあった。

魔物に食われたのだろう。損傷が有った。

ルードの死体の他にも死体が有った。

その死体はワシらを見て動き出したのだ。

ゾンビだ。

村長になって初めて見る。

というか生まれて初めて見る。

ゾンビ。

恐ろしい。

あの目。

あの濁った目にワシらが見えているんじゃろか。

ルードも動き出した。

あぁ、神よ。死んでも救われないのですか。

ルードは真面目な男。

盗賊なんかと違う。

人殺しが呪われてゾンビになるんなら分かる。

何故ルードが。

ワシらは一旦村に帰った。


〇月7日 曇り

村人たちと話し合う。

皆もゾンビは初めてだ。

爺さんや婆さんは昔に会ったことが有ると言う。

ゾンビなら燃やすと良いらしい。

後、頭の破壊だそうな。

とりあえず木柵を強化し村ン中に入れさせんことになった。


〇月8日 曇り

ゾンビ共が村までやって来た。

柵に取り付いて喚いておった。

ルードもおった。

神よ。何故ルードにワシらを襲わせるのか。

これが試練というやつか。

なら早くワシらを助ける騎士とやらを送ってくだせぇ。

八聖の誰でもえぇから送ってくだせぇ。

誰も助けてくれん。

結局ワシらでやるしかないんじゃ。

ワシらで頭ブッ刺して殺した。


〇月9日 晴れ

ゾンビは見なくなった。

畑も手を入れにゃならん。

狩りは出来んじゃろ。しばらく様子見じゃ。

フォセンへ報告に行くことになった。

ゾンビの証拠を持って行きゃ少しは補助が出るとえぇんじゃが。

ゾンビは燃やした。



〇月12日 雨

街へ使いに出したヤツが帰って来た。

なんでも街の周囲にもゾンビが出とるそうな。

それだけじゃのーてゴーストも出とると。

領主の使いも来て街へ避難せぇ言うとる。

ゾンビなら冒険者でなんとかなるがゴーストは魔法が要るんじゃと。

この村にゃ魔法使いもマジックアイテムも無いし避難するしかなかろ。

村民全員で街へ避難することに決めた。




「どうやら街へ避難したらしい」

「良かったですね」

「だが街の周辺もゾンビと・・・ゴーストがいるらしいぞ。ゴーストが」

「ど、ど、どーします?」

「お2人共どうされたのですか?」

「サーヤ君。僕達の故郷にはゴーストは存在しなかった。いや、存在してるかしてないか分からない。そんな存在だからこそ逆に怖いっていうのがあるんだよ」

「それがはっきり存在してるってなると・・・少し・・・ね」

「でも魔法で倒せるんじゃ?」

「き、気持ちの問題さ」

「そ、そうよ。分かってるけど・・・いざとなるとね」


「あとサーヤ君。八聖ってなんだ?」

「八聖は八神教の8人の聖人のことです。人々を悪から守ると言われる」

「八神教か。マイナーなのかな?」

「いえ。結構な地域で信じられてます」

「グンナーで葬儀に出席したろ。あの時の・・・」

「はい、そうです。あれが八神教です」

「8人の聖人っていうのは天使なのか?」

「8聖人は昔の実在した人間で聖人に祀り上げられた人です」

「つまり今は実在はしてないと」

「私は信じてませんね。この村長のようには」

「最後は村長も怪しかったが。とまれ、僕等も明日はフォセンに向かおう」

「そうですね。私達も早く街へ避難した方がいいでしょう」

「今夜は僕が寝ずの番につく」

「え、でもそれじゃ」

「ゾンビはまだしも、ゴーストは・・・だが魔力体なら《魔力感知》に反応するだろう。僕は先に寝るから真夜中に起こしてくれ。それ以降は僕が番をする」

「・・・分かりました。それじゃ、もう寝てください」

「あぁ。明日の日中は任せるぞ。寝不足で判断力が鈍ってるだろうから」

「分かりました。サーヤ、先ずは2人で番よ」

「はい!」


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