⑤-01-77
⑤-01-77
「はぁ」
「さぁ。いつまでも湿っぽくても始まらない。菊池君!次はどこに向かうのかな?」
「はぁ。同じソルスキア王国の辺境の街、フォセンです」
「北西ですね」
「あぁ。南に行っても良いんだが、これからの季節、南は暑くなるんだろ?」
「はい。結構暑いらしいです」
「だったらわざわざ熱い所行かなくても、涼しい北部に行こうじゃないか。冬に南に行けばいい」
「そうですね。ここから北西は山を越えることになるので涼しいでしょう」
「山か。鍛えるにはもってこいだな」
「乗合馬車に乗りませんでしたしね。そう言えばスキルってどんな感じです?」
「僕はこんな感じ」
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頑健Lv2、病気耐性Lv2、殺菌Lv4、隠蔽Lv5、魔力感知Lv5
魔力検知Lv6、魔力操作Lv5、カウンターLv3、罠Lv4
雷魔法Lv2
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「はー!やっぱ上がるの早くないですか?」
「そうなのかな?菊池君は?」
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頑健Lv2、病気耐性Lv2、掃除好きLv3、解体Lv3、弓術Lv3
魔力感知Lv2
風魔法Lv4
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「順調に上がってるな。魔法が上がってるのが良い」
「サーヤはどうなの?」
「は、はい」
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頑健Lv7、病気耐性Lv7、吸精Lv7、魔力検知Lv3、魔力操作Lv2
解体Lv1、弓術Lv1
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「・・・早くないか?」
「・・・早いですね」
「・・・早いんですか?」
「これはやはり魔族というのはあるんだろうな」
「えぇ。そう言わざるを得ませんね」
「なにか、すいません」
「謝る必要はないんだ!というか簡単に謝るな!」
「そうよ。むしろスキル上がり易いなら今までの分を取り戻せるじゃない!」
「そ、そうですね。がんばります!」
「そうだ。その意気だ」
「とはいえ、先輩も上がり過ぎですよ」
「そうかな。《殺菌》はヴィヴィエントのマクロン一味を20人近く殺したからな。それでだろう。ほかにマイタケって冒険者ギルドではDランクだったし、実際の経験値もそれくらいだったんじゃないかな」
「《魔力検知》と《魔力操作》同時発動でスキル使ったら上がり易いって言うの、やっぱり有るんじゃないですか?」
「うーん」
「やっぱり私も覚えます!」
「ちょ、ちょっと待て!スキル枠を2つ使うのが他のスキルLv上げる為だけのスキルって!」
「うーん、そうかー」
「もうちょい考えよう。突発的に決めないでさ。一生モノだし」
「そう・・・ですね」
昼も過ぎ、丘陵が見えてくる。
これからは山あり谷ありの旅になる。
「サーヤ君すまんな。1番重い荷物持ってもらって」
「いえ!これが私にも出来る仕事ですから!」
「バックパック作れないから街で大きなバッグ買ったのよね」
「あぁ、だから僕達のより機能性が低いから余計重いだろう」
「いえ、お気になさらず!これが私の仕事ですから!」
「そう言えば、なんでエタルだったんです?」
「ん?名前かい?・・・エタノールからだ」
「・・・思いっきり釣られてんじゃん!」
街を2つほど経て目的地のフォセンまで後数日と言う所まで来た。
途中の街にはあまり僕達向きの魔物はいなかった。
野営地でテントから少し離れた所で火を熾し食事をする。
風で火がテントに移らないようにだ。
「しかし夏とは言え夜は冷えるね」
「そうですね、寒暖差がありますから。とはいえ、この大熊の毛皮の敷物と毛布は良いですね!」
「はい!温かいです!」
「毛布は流石に暑いが。直に地面に寝ちゃだめだぞ。体温が奪われるからね」
「「はーい」」
サーヤ君も野宿に慣れだした頃、それに遭遇した。
それはグンナーを発って何箇所目かの山を越えた昼過ぎ。
「あれは魔犬・・・か?」
「・・・魔犬にしては大きいような」
「!狼か?」
「「狼!」」
「初めて見るな」
「初めて見ますね」
「か、感慨深そうですね」
「あぁ。僕達の故郷では絶滅してしまっててね」
「そうですね。剥製でも見ませんもんね」
「僕達の世界だと3体くらいしかないらしい」
「そんだけ!?」
「ニホンオオカミはな。しかしあの狼は毛色も大きさも違うから」
「って・・・増えてません?」
「・・・うむ。増えてるな。こっち見てるし」
「あ、あの。やばいんじゃ?」
「うん。一応戦闘態勢」
「「了解」」
荷物を降ろして2人は射撃の準備に、俺は盾位置に。
「来るぞ!」
「「はい!」」
狼は近づいて俺達を囲むように広がり始める。
全部で10匹ほどだろうか。
アオォーン!
1匹が俺に飛び掛かってくる。
俺は左に躱し様に斬りつけようとするが《魔力感知》が反応する。
「うお!」
躱したところにもう1匹の狼が攻撃してきた。
慌てて避ける。
「連携してくるぞ!」
「どうします!?」
「風魔法は見えないから積極的に狙ってくれ!」
「はい!」
「弓は着地を狙うんだ!」
「「はい!」」
菊池君の風魔法で着実に1匹1匹減らしていく。
俺は相手を誘って飛びつかせ、着地を2人に弓で狙わせるようにした。
5匹ほど殺しただろうか。
アオォーン!
狼は引き上げていった。
「なんとか撃退しましたね」
「あぁ。緊張したな。流石に魔犬とは違った」
「怖かったです」
「連携は厄介ですね」
「しかもリーダーは離れた所に居たみたいだな」
「あっ、さっきの遠吠え?」
「多分な」
「近くにまだ居るんでしょうか」
「うーん。とりあえずしばらくは要注意だね」
「ですね」
「はい」
魔石を取って先を急ぐ。
「それにしてもミキさんの《クリーンアップ》は便利ですね」
「でしょ!」
「解体で汚れても水で洗い流さなくても綺麗になるからな」
「それに臭いも!」
「でしょでしょ!」
「でも汗とかは無くならないんですね」
「そうなのよねー。なんでだろ?」
「汗も滴る良い女ですよ、お2人共」
「先を急ぐわよ、サーヤ」
「はい。ふふふ」
「ちょ、待てって。討伐部位・・・」
その夜、警戒していたが狼の襲撃は無かった。
明くる昼。
「あれ?こんなとこに村なんてあったっけ?」
「どうした?」
「いや、あれ。村人ですよね?」
「うーん。荷物は持ってないから旅人ではないな」
「何かフラフラしていませんか?」
「そう言えばそうね」
「脱水症状か?」
「助けますか?」
「近づいてみよう」
道から少し外れた所に人を発見し、様子がおかしかったので探りに向かう。
「うお!?」
「「きゃっ!?」」
その顔は一部皮が無く、肉、いや骨・・・歯が見えている。
「「「ゾンビ!?」」」