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HappyHunting♡  作者: 六郎
第18章 魚の丘、羊の谷
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街に帰ってオランドさんと話し合いだ。


「魔導具図鑑、ですか」

「えぇ」

「似たような物は有りますが、恐らく皆さんが望んでいるような物ではないと思いますね」

「というと」

「あらゆる魔導具を網羅したものを想像されているのでは?」

「はい」

「魔導具には種類が沢山ありまして、とても全てを載せる事は出来ないでしょう。ですので我々の間では分類に分けて整理しています」

『ほぉほぉ』

「先ず汎用的な物。これは魔導ランプや魔導水晶、魔導ペンとインクなど。これらは人々の生活に密着した道具で相場も大体安定しており価格は何処に行ってもそう変わりはありません」

『ふむふむ』

「次に武器防具類。これらも大概性能で種類が分けられます。切れ味が増すもの、重量が軽くなるもの。それらは程度の差が値段の差になっており、物そのものよりも性能で価値が決まったりします。ですので性能を知っていたら良いだけだったりしますので態々載せたりはしないでしょう」

『なるほど』

「しかし中にはそれらの性能を持ちながら更に独自の性能を持つ「ユニーク」をいう物もありまして」

『ユニーク』

「はい。その名の通り他に類を見ない独特な性能を持つユニークアイテムです。これらは図鑑というよりもユニーク集に載せるべきものでしょうね」

『なるほど』

「一般的な物と分けて考えた方が良いという事ですね」

「はい。価値も、ある人間にはとても有用だが別の人間には全く意味の無いものも有ると聞きます。ですので値段も一般的には決められず時価になるでしょう。高い物を掴まされたと文句を言ってもそれは自己責任になりますね」


俺達は目を見合わせた。

俺達に必要な情報、銃に関する情報は一般的な魔導具の中には無いだろう。

一般的な魔導具の中に有ったらそれこそ今の世に流通しているだろうからな。

あるとしたらユニークの中からか。

しかしだとしたら当初の懸念である銃の大量流通というのは、銃がユニークアイテムという時点で薄れてしまっている。希少であるが故に大量殺戮には向かないだろうからだ。


「その、ユニークアイテム集、みたいなものは有りますかね?」

「う~ん。売っているとすれば魔導士ギルドですかね。過去にどのようなユニークが有ったかという研究もしていると聞きます」

「ユニーク集を買ったりはしないんですか?」

「う~ん。大体性能で価値が決まりますからね、冒険者が買う物は。勿論収集目的で買う者も居るでしょうがどちらにせよ性能が価格に影響を与えるので、物を知っている事よりも性能がどれだけの価値が有るかを知っていれば良いだけなので」

『なるほどねー』

「しかしどんな性能が有るかを知らなければ意味が無いので、知る為にも皆さんが買う価値はあるとは思いますよ」

「俺達は魔道具に関しては全くの素人だからな」

「買う価値はあるわね」

「オランドさん、汎用的な魔導具の図鑑とかってありますか?」

「カヤさん。図鑑、ではないですけどリスト的な物ならありますよ」

「それを頂く事は出来ますか?」

「えぇ、大丈夫です。特に秘密にしている物ではないので」

「そうなんですか?」

「魔導具を製作したりするのに職人ギルドや冒険者ギルド、更に魔導士ギルドと連携して作りますからある種共有事項はあるんですよ」

『なるほどねー』

「更にダンジョン産となりますと各ギルドと連携しなければ値段を決めたり捌いたりは出来ませんからね」

「ダンジョン産、か。ダンジョン産の方が価値が上なんですよね」

「えぇ。魔石を必要としない物が殆どで使い心地も格段に違ってきます」

「確かに。魔導ペンはダンジョン産の方が軽くて使い易い」

「ダンジョン産の魔導ランプなども燃料として魔石を必要としますがね、まぁ、だとしてもダンジョン産の方が質が良いですよ」

「人間が作るものよりも?」

「えぇ。人が作るものはピンキリですから」

「なるほど(人の手だから品質を一定に保てない訳か。だったらランプ程度、それほど

金額に差が無いのなら多少高かろうが安心品質のダンジョン産を買うわな)」

「しかしこの街には魔導士ギルドは在りませんので、ユニーク集を買うならばギルドが在る街に行きませんと」

「ふーむ。将来的にもこの街の発展を考える場合、魔術師ギルドは必要か」

「魔法使いを呼ぶのなら必要ね」

「ふーむ。街主様と協議した方が良さそうだな」

「しかし辺境であり終戦直後の街に誘致するのは難しいでしょうな」

「ふーむ。まぁ今じゃなく近い将来に呼べればいいですから、話すだけ話してみますよ」

「そうですな」

「あっ、そうそう」

「はい?」

「キルカ商会に鳩を飛ばしたいのですが」

「大丈夫ですよ。ここの商会でも鳩小屋は作っていますので」

「さっすが」

「伝言を聞いておきましょうか」

「キルカ商会も農地の取得と、カツールク商会に海藻を集めて干しておくようにと」

「海藻?」




伝言をオランドさんに託し街主様の所に来た。

もうすっかり日は落ちてしまっていたが門番には俺達の事は通達されていたらしく、何の問題も無く街主様への取次ぎを頼む事が出来、今、私室に居る。


「魔導具図鑑、ですか?」

「うん。俺達は行商人なんで、有ればこれからの旅で役立つだろうと思ってね」

「有ります。ただ、機密扱いの情報も有り全部という訳には・・・」

「いやいや。行商人だから一般的な物が載ってるので良いんだよ、魔導ランプとか魔導ペンとか」

「それでしたら図鑑ではないですがリストみたいなもので宜しければ」

「それで構わないよ」

「閣下の望まれるのは価格情報、ですか?」

「それも有る。が、一応冒険者もやってるんで「ユニークアイテム」も興味がある。強いマジックアイテムがあれば危険も軽減出来るだろうから」

「確かにデッドマンズカンパニーにユニークアイテムが加われば更なる高みに行けますね。しかし機密情報は・・・」

「性能をリスト化し、性能別の料金表なんかを作りたいんだよね。例えば旅先でマジックアイテムを入手して、俺達が使わなくてもこの街に持って来て卸せば魔法使いの誘致の材料にはなるだろう?」

「そうですね」

「軍隊ではマジックアイテムを支給するって事は無いのかい?」

「ありませんね。支給するのは最低限の装備だけで、もし持っている者が居るのなら自分で手に入れた物でしょう」

「ほほぉ」

「一般的にダンジョン産のような質の良い装備は一般兵士には渡りません。将校に渡す事はありますが」

「なるほどねぇ、まぁ、そんなもんだよね」

「洗濯機や石鹸を作ったり、閣下は職人でもありますね」

「ま、まぁね」

「行商人もすると。凄いですね」

「自由だからさ。縛られていないから、自由に動けるから自由に発想できる。宮仕えだと難しいだろうね」

「そうですか・・・」

「洗濯機の評判は上々らしいと聞いたよ?」

「はい!女達は勿論ですが、男達も最初は懐疑的でしたが汗まみれの下着で寝るよりも明らかに睡眠の質が上がった事を実感するものが多く、ニーズは高まっています」

「うんうん。サウナはどうかな?」

「これも上々です。寒くなれば風呂水の温度を上げるのに時間と燃料が掛かるのですが、サウナであれば石を焼けば良いだけですので、消費する水と燃料は格段に減り経費削減にも寄与し、大臣にも導入を上申しようかと考えている所です」

「うんうん。俺達もこれからの季節は野外キャンプの時はサウナにするか?冬だと湧くまで時間掛かるし燃料も結構要るし。風呂に入ったら入ったで、入ってる時は気持ち良いけど出る時クッソ寒いんだよな」

「寒いわね」

「テントの中で入れないもんねぇ」

「サウナならテントの中ですから、脱衣所もテント内に作れば良いですし」

「その方が良いかもしれんな」

「なるほど。収納袋を持っているから風呂も入れたのですね、羨ましいです」

「そうなんだよ。だから塩もいっぱいかっぱらっ・・・持ってこれたんだよ」

「な、なるほど」

「しかしそうだなぁ。将来的に魔法使いを誘致するにしても、この街に魔法使いギルドがあった方が良いんじゃないかな?」

「魔導士ギルドですか・・・確かにあるに越した事はないですが・・・誘致は非常に難しいですね。先ず当然ですが魔導士が居ませんと。ギルドなので魔導士が居なければ意味がありません」

「むむむ、確かに」

「これから集まるであろう魔導士を当てにして、というのは難しいかと思います」

「う~ん、そうかぁ」

「閣下はユニークアイテムの情報をお知りになりたいのですよね?」

「んー。商売上、どんな魔導具がどの位の価格で取引されてるのか。また、ユニークと言われるアイテムの相場はどの位なのか、って感じかな」

「それでしたら私よりも大臣に相談した方が宜しいかと思います」

「・・・大臣に?」

「はい」

「んー」

「何故悩むのです?閣下ほどの方であれば大臣もお会いになると思われるのですが」

「この人はね、別れる時に吐いたセリフを気にしてるのよ」

「吐いたセリフ?・・・あ、あぁ。もう会う事はない、的な事を言ってましたね」

「んー」

「今更じゃない?16世の遺族の商会にも関わって、この街の復興にも関わってるんだし」

「そうだよ。ウリク商会を通して街主様とも取引をするんだから今更だよ」

「そう言えば前にも同じような事有りましたね」

「だな。今更という訳だ、気にする必要は無かろう」

「むむむ。分かった、そうするか。その方が早そうだしな」

「大臣はルンバキア公国を訪れた後、ソルトレイク王国に行く予定です。塩会議もそろそろですし、早く行かれた方が宜しいかと思います」

「そうだな。大臣は塩会議が終わったらこの街に寄って帰るんだろ?」

「はい。ですのでここでお待ち頂いても構いませんが当分先になろうかと」

「・・・本格的に寒くなる前に話を付けた方が良いな。よし、行くか」


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