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HappyHunting♡  作者: 六郎
第4章 サーヤ (グンナー:エタル、マキロン)
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翌朝も昨日の続きをしようと思ったが奥さんのブリトラさんと話があると言って待ってもらった。


「少し落ち着かれましたかね?」

「え、えぇ。お陰様で。昨日はありがとうございました」

「いえ。それで今後の事なのですが」

「はい」

「商会はどうされるのですか?畳まれる?続けられるので?」

「続けようかと。夫とここまで大きくしましたし、惜しい気もしますから」

「・・・そうですか」

「何か?」

「であれば、ですが」

「はぁ・・・」

「お金も必要でしょう」

「・・・そうですね」

「ただの憶測なのですが」

「・・・はい」

「旦那さんは愛人を買うことをあらかじめ計画してたんですよね?」

「えぇ。通常の取引用のお金とは別に用意していましたから」

「買って帰ってどこに住まわせるつもりだったのでしょう?」

「・・・あ」

「恐らくこの街のどこか・・・すいませんこの街って人口はどれほど?」

「7000人はいます」

「大きいですね。であればこの街のどこかというのも可能ですかね?」

「ですね。もうどこかに住居を用意していたと?」

「えぇ。憶測ですが」

「それは・・・そうじゃないと」

「宿に泊まらせるというのも噂になりやすいでしょうし。別の街に用意してるかも知れませんし」

「えぇ」

「住居を用意するのはここらでは安く出来るのですか?」

「いえ。借りるのも買うのもかなり用意しないといけません」

「南の街は馴染みの取引で?」

「はい」

「ではそこに買うか借りるのがいいんでしょうが、連れ帰ったとなると・・・」

「この街で・・・」

「えぇ」

「・・・」

「この街の不動産屋・・・仲良くしてる不動産屋から当たってみては?幾らか帰って来るかも知れませんよ?」

「そう・・・ですね。そうしてみます」

「それがいいでしょう。これから娘さんと2人で生きていかなくてはいけないのですから」

「!」

「娘さんも頼りにしてると思いますよ」

「・・・はい」

「それでは」


俺は部屋を出たがしばらく部屋からはすすり泣く声が聞こえた。




サーヤ君は解体ナイフで魔幼虫を殺すまでに成長していた。


ぷぎゅうぅぅぅ


「ボルトじゃ駄目かね?」

「急所が小さくて何本も撃ち込まないと・・・ナイフの方が良いです」

「うーん。ショートソードは大きいしな」

「ショートなのに」

「でっかい解体ナイフ探すか」

「ですね」

「菊池君の方はどうだ?」

「ん~、感覚器官を探したり感覚を理解しようとしてるんですが・・・」

「幼虫の身になって考えるのが良いかもね。僕はそうやってたけど」

「幼虫の気持ち・・・オエ」

「おい!」

「でも《魔力感知》って凄いですね!すぐ見つけられて」

「あぁ。こんな地を這ってる幼虫は見つけ辛いからね」

「早くほしー!」

「サーヤ君も幼虫を殺すことには慣れて来たな」

「はい。でも犬はまだ・・・」

「まぁ、そうだろう。身近な動物だしな。だから人型のゴブリンはきついんだが」

「人型・・・」

「まぁ、そんなに気を張ることは無いよ。あいつに復讐出来たんだ。いずれ出来るようになるさ」

「・・・はい。がんばります」

「サーヤ君には《解体》を習得してもらうかな?」

「そうですね。先輩がもう何も習得出来ませんからね」

「ぐすん」

「はい。がんばります!」

「菊池君に教えてもらいながらだと習得しやすいと思うから」

「そうね。ジャンジャン解体するわよ!」

「はい!」




今日は魔幼虫をメインに魔犬も時々狩りながら終えた。

稼ぎとしては全くだが宿代が掛からないのは助かる。

食事は流石に気が引けるので外で食べるとブリトラさんには伝えてあった。

風呂だけ頂いて部屋に帰る。


「でも綺麗にスリーセブンだな、サーヤ君は」

「スリーセブン?」

「《頑健》《病気耐性》《吸精》。全部Lv7だろ。777。スリーセブン」

「Lvは7までしか上がらないんです」

「「なんだって!?」」

「Lvの上限は7。そういうこと?」

「はい」

「マジかよ」

「だから私も早く他のスキルが欲しいです!」

「いーなー。未来のある若者は」


「でもカズヒコさん凄いですね!冒険者になって7ヶ月ほどで6個も習得してLvもかなり上がって!」

「そうなのよね。すこし異常だわ」

「う~ん。僕も思うところがあってね」

「何に?」

「《魔力検知》《魔力操作》。この2つが関係してるんじゃないかと思うんだ」

「どういう事ですか?その2つが有るから上がりやすいと?」

「あぁ。多分だけどね」

「そういえば《魔力検知》はLv5ですよね。《隠蔽》よりも習得遅かったのに」

「そうなんだよね。《魔力検知》で自分の魔力を知り、《魔力操作》で操作する。だからそれらを使いながら他のスキルを使うと上がりやすいのかな、って」

「ちょ!それ凄いじゃないですか!大発見ですよ!?」

「役に立たないから検証されなかったんじゃないかな。魔法図鑑にも散々に書かれてたし。あと年取ってからじゃないと取れないらしいし」

「私にも教えてくださいよ!」

「ま、待て菊池君。まだ確定した訳じゃないんだ。早まるな」

「う~ん。もどかしい!早く検証してくださいよ」

「そんな殺生な」


「私に教えてください!」

「サーヤ君?」

「私に教えてください!」

「いや、早まるな。俺が検証終えるまで待て。一生の問題だぞ」

「2人居た方が検証も捗るでしょう?お願いします!」

「いやしかし」

「私もパーティメンバーです!役に立ちたいんです!お世話になってばかりじゃ嫌なんです!」

「うーん。世話してるって気は無かったんだが、君はそう感じてたのか」

「気にするなって、言ってもするわよね」

「・・・はい」

「言っとくがクソスキルって言われてるんだぞ?」

「はい。知ってます。私のスキルが役に立つのも重要ですが、私が役に立つことがもっと重要なんです。《頑健》や《病気耐性》や《吸精》があるからパーティに入れてくれたんじゃないですよね?《吸精》は教えてませんでしたから。私だから入れてくれたんでしょ?」

「・・・君は居場所を作るのに必死なだけだ。新しい自分の居場所を・・・俺達と一緒だな」

「えっ?」

「俺達は遠い、遠い所から来た。自分の未来を求めてね・・・いいだろう。教えてやる!後悔するがいい!」

「はい!」


「先ず上着を脱げ!」

「ちょっと!?」

「はい!」

「手を前に出すんだ」

「はい!」

「何をする気ですか?」

「サーヤ君は魔族だ。魔力が他よりも強い。もしかしたら他の種族より魔力の扱いに長けた種族だったのかも知れない」


俺はサーヤ君の両手の平を組む。


「今から《魔力検知》《魔力操作》を発動させる。俺の中で魔力を大きく強く循環させる。それを感じ取るんだ!」

「分かりました!」


2つを発動し、自分の中に集中する。

Lv5にもなると認識する力も大きくなったみたいで広い範囲で観察出来る様になっていた。

特に両手の平に魔力が集中するように流す。

俺の魔力じゃなく純粋な魔力を流す。

いや待て。

俺の魔力を感じさせた方が良いのか?

今まで《吸精》を使ってきたからなんとなく自分の魔力を感じていたはずだ。

であれば他人の魔力を先ず感じさせて、それが出来るようになってから純粋な魔力を感じさせた方がいいんじゃないか?

よし、とりあえずそうしよう。

俺の魔力を両手の平に集中する。




「今日はそこまでにしましょう」

「ん?」

「結構な時間やってましたよ」

「どのくらい?」

「30分くらい?」

「そんなに!?」

「サーヤも辛そうだったし」

「言ってくれればいいのに」

「い、いえ・・・」

「どうだった?」

「なんか熱いような熱くないような・・・」

「ふむ。まだまだだな。これを繰り返してみよう」

「はい・・・よろしくお願いします」

「よし!じゃぁ寝るか。因みに僕は今みたいなの毎日やって寝てるんだよ」

「「えー!?」」

「歯磨きは終わってたんだっけ?」

「はい、さきほど」

「よーし。じゃぁ、あ~んしてみなさい」

「えっ?」

「あ~んって。あ~、ぐほぁ」

「口開けないで出来てたでしょ!」


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