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HappyHunting♡  作者: 六郎
第17章 虹の根元 (ウォーカー、ハンナ、ローラ、ヤヤ、セルラ)
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⑰-42-622

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「これで私達があなた達と交渉する事になる」

「お前等の都合だ、どうでもいい事だ」

「少なくとも衛兵は勝手に手出し出来なくなったわ、そこは評価してくれても良いのじゃなくて?」

「・・・」

「私はあなたと1度交渉をしてお互い納得した取引が出来ていた、違うかしら」

「今この時の為に引き下がっただけだった、違うのか?」

「・・・捻くれてるわね」

「お前等に言われたくねぇよ」

「5人全員無事に城を出たくないの?」

「出す気が無かった奴が言うなと言ってんだ、分かんねぇのか?」

「はっきりさせておくわね。私とグァランチュアラは本当に知らなかったのよ。女王は褒賞授与だけを命じて捕縛は命じていなかった」

「証拠は」

「無いわね」

「信じろと」

「はっきり言えば、私達が捕縛命令を受けていたなら人質を取られるようなヘマはしないわ。元老院の邪魔が有ったから今の事態に陥っている」

「・・・確かに」

「信じてくれるの?」

「最初俺達を殺そうとしてたあんたなら確かにこんなヘマはしないだろう」

「ありがとう」

「やっぱりあん時殺す気だったんだな」

「あらやだ、おほほほ」

『・・・』


「ここに居る中で私が1番信用が高い、私があなたと交渉する、良いかしら?」

「良いだろう」

「私達は元老院から命令を受けていない、女王からしか受けていない。そしてその命令は褒賞授与だけ。あなた達の捕縛はしない、どう?」

「人質を取った事に対しては」

「ハプニングは付きものよ。儀式の最中にハプニングが起こったが滞りなく式は終わる」

「そして俺達は城を出て国からも出る」

「それは出来ないわ。あなた達は式が終われば私と北部戦線に向かう、それは変わらない」

「冗談だろ、お前に背中預けて戦えと?まだここで戦った方が生き残れる可能性がある」

「あの時契約を結んだわよね、戦争に行くと。約束は守ってもらわないと」

「騙し討ちをして来たお前等を信用して戦争なんか出来るか」

「いいえ、あなたは出来る」

「?」

「もしあなたがその気なら私と取り敢えずこの場凌ぎで式を終わらせ、この場を離れた隙に逃げ出す事も出来る。約束を破棄してね。スパイならそうするわ。しかしあなたは約束を破る性根は無い・・・あまり無い。心の底では契約を守るという責任感があるからこの場凌ぎの嘘を言わずに私を信用出来ないと言うのよ」

「・・・」

『・・・』


「質問がある」

「全てに答えられるかは分からない」

「構わない」

「どうぞ」

「こいつは褒賞金200万エナだと言った。あんたはそれを知っていたのか?」

「・・・いいえ」

「つまり、知っていて黙っていた訳だな」

「・・・正直に言うとそうなるわね」

「答えられるのか?」

「・・・その額を聞いた時に元老院が勝手をやったのは気付いたわ」

「そして元老院の思惑も、だな?」

「・・・えぇ」

『?』

「何故だ?」

「私達への命令は儀式の滞り無い進行、見届け」

「つまり、何事も起きなければ関係無いと」

「今は戦争中。悪戯に事を荒立てる事は避けたいのよ」

「・・・正直な感想だな」

「えぇ、正直な気持ちよ」

「しかしそれは後々爆弾としてあんた等にとって危険な事になる、そう思わなかったのか?」

「・・・」

「ウォ兄ぃ。どういう事?」

「ヤヤ。200万って聞いてどう思った」

「安いなって。海亀を救ったのにこれだけかって」

『海亀を救った?』


ざわざわざわ


「衛兵にもまだ知られていなかったんだな」

「・・・」

「しかしお前等の所為でその努力も無駄になる」

「・・・」

「俺達が海亀様をバウガルディ・シンファン連合軍から守った時、王国軍は1人も居なかったんだよ」


ざわざわざわ


「だから王国はその事実を隠す為に俺達を軍の所属にしてその事を隠そうとした。俺達を捕まえようとするのも口封じも兼ねているからだ」


ざわざわざわ


「そして軍所属にしたのはその為だけじゃぁない。赤の騎士殿、教えてやれよ」

「・・・」

「赤の騎士殿。女王陛下から褒賞の儀式を命令されたんだよな」

「・・・えぇ」

「褒賞金は幾らだったんだ?」

「止めろ!」

「てめぇは黙ってろ」サクッ

「ぎゃぁあああ!」

「・・・」

「幾らだ?」

「・・・2000万エナよ」


ざわざわざわ


「えっ、どういう事?」

「ヤヤ。2000万だったのが200万だった。その差はどうなったと思う?」

「う~ん」

「女王は2000万と言ったが途中横槍を入れてきた奴等が居て200万になった」

「あっ!元老院!」

「・・・」

「そうだ。その差額、どこに行ったか、分かるな?」


ざわざわざわ


「元老院が取ったの!」

「女王から命令された。つまり褒賞金は予算で既に処理されているはずだ。つまり王国として2000万を200万にしたのではなく、王国は実際に2000万払っているんだ。その払い先がどこになるかは問題じゃぁないって事だ」

「あったま来るね!」


ざわざわざわ


「止めろぉ・・・」

「こいつもそのお零れに与る元老院の下っ端って事だ」

「下っ端じゃない!」

「何も知らずにノコノコ損な役回りをやらされてるのが下っ端なんだよ」

「なん!?」

「安い金額に怒った冒険者に殺される。現に今そういう状態だろ。そんなリスクは下っ端にやらせりゃ良いって事だよ」

「!?」

「もし俺達がその額を受け取れば軍の所属だからその安い額も軍の褒賞として処理され殆どの奴は気付かない。軍の褒賞は安いからな」

『・・・』

「仮にスパイ容疑が晴れて俺達を戦争に連れて行くって言っても実際に連れて行くのは赤の騎士、あんただ。俺達という不満分子のリスクは元老院じゃなくあんたが負う事になっていた」

「・・・」


ざわざわざわ


「爆弾ってあたし達だったの」

「お前等衛兵の取り分はどれ位有ったんだ?『レインボー・シックス』2人掛かりの相手を捕まえる命の対価は幾らだったんだ?元老院から幾らもらえるって聞かされてたんだ?」


ざわざわざわ


「止めろぉ・・・」

「ウォーカー・・・」

「勿論あんた等2人は貰う予定じゃなかった。そりゃ分かってるさ。こいつとの話は半ば本気だったんだろ?何で1エナの価値も無い事に命を懸けられるかってな。しかも自分達を蚊帳の外にしておいてな」

「「・・・」」


さぁ、どう出る。

ファナキア、どう出るんだ。

恐らく衛兵は何も聞かされていなかった。

当然金を貰う予定も無かった。

ここで命を懸けられるか?

今までは国の為って思ってたのが元老院の私欲の為って聞かされて、命を張れるか?

それは2人の騎士にも言える。

それでも交渉をしようってんなら信用出来る・・・一応な。

元老院からハブられてた2人は最悪俺達を殺す手に出るかもしれん。

しかし衛兵に迷いが生じた今、最悪2人だけでってなる。

俺の中の約束への責任感を話していたが逆に言えばこの女も同じものを持っているからこそそう言って来たんじゃないか?

確かにこの女の言う通り、口約束だけして城から出たらトンズラすれば良いだけだ。

しかしここまで内情を暴露して面子も潰された。

頭の悪い奴なら直情で殺しに来てもいい。

しかしここまでして猶、交渉しようって言うのなら一応信用は・・・



「ウォーカー・・・」

「・・・」

「スパイじゃないと言うのにスパイみたいな事をするのね」

「2000万が200万だぜ?俺の気にもなれよ」

「・・・金の為にしたという気を見せてスパイじゃなく冒険者だぞって言ってるように聞こえるわ」

「薬代だけで2000万だぞ。その薬もまだもらっていない」

「今は戦争中よ。薬は戦争が優先される」

「俺達を殺してしまえば払う必要は無くなるな」

「どうあっても信用出来ないって事かしら」

「スパイが居るのなら、俺達をスパイに仕立て上げ始末すれば本当のスパイは安全になる」

『・・・』

「あなた達を殺そうとする事がスパイを利する事だと」

「仮にもじゃなく事実として海亀様をお助けしてるんだ。どっちがスパイなのかは自ずと分かるんじゃねぇか?」

「・・・それは非常に危険な考え且つ確率的には低いわよ」

「俺達の方が高いのか?」

「ウォーカー・・・だったかしら。本当の名前は?」

「冒険者は登録する時に見栄を張るもんなんだよ。田舎育ちの野暮ったい名前は捨ててな」

「《鑑定》を受けて照会させてくれない?」

「あんた等のも見せて貰えるのならな」

「「・・・」」


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