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HappyHunting♡  作者: 六郎
第17章 虹の根元 (ウォーカー、ハンナ、ローラ、ヤヤ、セルラ)
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「行きます!」

「大丈夫だ!お前ならやれる!」

「はい!」


バッ


飛び出して直ぐに開傘した。

凄い勢いで後ろに飛んで行った。

土埃の中に消えてゆく。




「きゃあああああ!」


土埃の嵐の中を猛烈な速度で飛んでいく。

台地の上は乾いた空気でここ数日雨も無かったのが幸いだったのだろう。

海亀の起こす土埃は上昇し、

甲羅の上を走る風は強かった。

その2つの風流が重なって海亀の後方は強い上昇気流が起きていた。

サーヤはその風に勢いよく乗って大分後方に流され気付いた時には土埃は晴れ、ゆっくりと下降していた。


バサァ


ジェットパックで噴射して着地、

直ぐにパラシュートの紐を外し身軽になる。

パラシュートはそのまま捨て置き海亀に向かって走る。


「きゃあああああ!」

「ミキさあああああん!」

「サーヤああああ!」


バフッ


着地点に先回りして後ろを向いてミキに噴射。


バサァ


「オナラした?」

「もう!」

「マヌイが来るわ!」

「はい!」




ビョオオオォォォ


「良し!ミキも着地した!最後だケセラ!」

「分かった!先に待ってる!」

「あぁ!シャワー浴びて眠ろうぜ!」

「ふっ!家族みんなでな!」

「地上で待ってろ!」


バッ


最後のケセラが飛んだ。

良し、後は俺だけか。


「じゃぁクイ、行く・・・か」


その背には捕虜が乗っていた。


「しまった!」


あの気流をこいつを背負って飛べるか!?

いや、無理だろ!ただでさえ俺だけでもバランス取るの難しいのに!

こいつ背負って飛ぶ!?

・・・無理だな。

土埃で先は見えない中クイールには酷だ。

それに正味女1人分、つまり俺と合わせて2人分の体重をクイールが耐えられるか!?

・・・捨てて行くか。

いやしかし。

シンファンのクソ野郎共と戦争させるにはこいつが必要だし。

そうだ!収納袋にパラシュートが!?

無い!

全部サーヤの持ってる方だった!

これからは予備を入れとかなきゃ駄目だな、ってこれからじゃない!今だ!

問題は今だ!

今有るので使えそうなのはぁ~・・・グライダー!

セーラちゃんの時に河を渡った奴だ!

よし!これで行こう!


「クイ!お前は達磨背負って行け!」

「クィィィ!」

「俺は大丈夫だ!その馬鹿はお前の仲間を殺した奴の仲間だ!そいつが必要になる!そいつを運んでくれ!」

「・・・クィイ!」

「頼んだぞ!」

「クィ!」


バッ


「後は俺だな・・・」




ボフッ


「クイールだわ!」

「遅かったね!」

「何か有ったのかしら!」

「走るぞ!」


土煙の中から現れたクイールにミキ達が走って向かう。


「クイィイ!」


ザサササァァァドドッドドッドドッ


「クイ!」

「クィ!」

「あれ!?カズヒコは!?」

「クィィィ!」

「乗らなかった!?何で!?」

「クィックィッ」

「えっ!?こいつ!?」

「クィ!」

「こいつの所為で乗れなかったんですわ!」

「この野郎!」

「待って!飛んだわよ!」

「「「えぇ!?」」」

「行くわよ!」

「「「おぉ!」」」

「クィー!」




バタタタタタタタ


「うおおお!」


駄目だ!

コントロールが効かん!

逆方向から風を受けている為に全くバランスが取れん!

翼の意味が無い!


バリッバリッバリッ


土が当たって翼に穴が開いている!

このままでは土埃を過ぎたら途端に墜落する!


「《土想造コントロールアース》!」


グライダーの尻に流れて来る土を集めた。


ユラッ


重みでグライダーが直立する。

良いぞ!

自然と俺も直立した格好となっている。

このままグライダーの背に土を集めて風を受ける壁を作る。


ビョオオオォォォ


良し!

このまま風を受け続けてビョオオオォォォ


グルグルグルー


「うおあああ!」




ドッドッドッドッドッドッ


「くっ、来るわよ!来るけど何か変!」

「何かって!?」

「何かよ!」

「分かりませんよ!」

「分かんないんだもん!」

「兎に角走るしかない!」

「クィ!」


ボフッ


『カズヒコ(兄ぃ)(様)!?』

「クィ!?」




ビョオオオォォォ

ボフッ


「抜けたっ!?」


フイィィィィィ


「落ちるぅぅぅぅぅ!」


土!

土を解除!


バララララ


グライダー!

グライダーで風に乗るんだ!


バキッ


おっは!?

穴だらけで抵抗に耐えられずに壊れた!


ヒュオオオォォォ


あぁぁぁぁぁこんな事なら低空用の野衾スーツを作るんだった!

みんなすまん!


ダブン!

ブクブクブク


ブオッ!


バフン!


「・・・いちちち。な、何だ、何が起こった?」

「カズヒコ!?」

「カズ兄ぃ!?」

「カズヒコ様!?」

「大丈夫か!カズヒコ!」

「俺生きてるのか?」

『はぁ~』

「クィ~」

「最初にマヌイが水の塊を作ってそこを抜けたのよ」

「ん、水の抵抗で」

「その後にサーヤが噴射したの」

「ん、風の抵抗で」

「最後に積み重なったマットレスの上に落ちた訳」

「ん・・・これはマットレスか」

「怪我は無い?」

「怖かったよぉぉぉ!」

「はいはいはい。大丈夫そうね」

「何でクイールに乗らなかったの?」

「シンファンの奴等許せねぇじゃん」

「もう!達磨なんて捨ててしまえばよかったのですよ!」

「そうだ!引き渡しても戦争するとは限らないだろ!」

「だってぇー」

『だってじゃない!』

「クィ!」

「あっ!」

「どうしたの!?」

「援軍だ!グンタリがこっちに来てるぞ!」

「えっ!?」

「あそこ!手を振ってるな!おーい!」

「本当だ!手を振ってるわね!おーい!」

「無事で喜んでくれてるのかなぁ!」

「こちらも無事ですよー!」

「5人全員無事だー!」

「なんか・・・手を振るって言うよりか・・・」

「・・・そうね・・・こっちに来いって言ってるような・・・」

「どうしてだろ」

「もう終わりましたよね」

「終わった・・・ってないぞ!」

『!?』




ザッバアアアァァァン


海亀が塩湖に飛び込んだ。

その巨大さ故に水飛沫もまた巨大なものだった。

海亀はそのままクラゲに近付いて食らい付く。


ガブゥゥゥ


〈ポワンポワポワポワポワポワ・・・〉

ババババリッ


クラゲが雷を放った。


〈ゴァアアアアア!〉

〈ポワワワワァァァン〉


ガブリ

ザブゥゥゥゥゥゥ


海亀がクラゲにかぶり付いたまま湖中に引き摺ってゆく。




ザッバアアアァァァン


『えっ!?』


津波が俺達に押し寄せてきた。


『ほんげぇ~!!?』


ゴロゴロゴロ~




波は岸から数百mにも達したらしい。

海亀の塩湖突入時の波の存在を知らなかったシンファン・バウガルディ連合軍1000人はカズヒコ達と同じ様に流されていた。

その波の範囲外で待っていたソルトレイク王国ベラム守備隊は大した犠牲も無く捕縛したという。




ピチャピチャ・・・


『・・・』


全員ずぶ濡れになって寝ていた。


「マヌイ~」

「・・・」


ミキの問いに手を挙げて応えたマヌイ。


「サーヤぁ~」

「生きてま~す」

「ケセラぁ~」

「なんとか~」

「カズヒコぉ~?」

「ピュ~」


カズヒコは大の字になって口から水を噴水の様に出していた。


「全員無事の様ね・・・」

「クイールは?」

「全力で逃げて無事だよ・・・」

「飛んで逃げて行くのを見たな」

「逞しいですわ」

「今こっちに来てる」

「クィー!」


向こうからクイが走って来る。

それを首だけ上げて5人全員が確認した。

確認して首を落とす。


『はぁ~!疲れたぁ!』


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