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HappyHunting♡  作者: 六郎
第17章 虹の根元 (ウォーカー、ハンナ、ローラ、ヤヤ、セルラ)
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フゥウウウウウン


「大丈夫だよぉ。何も心配いらないからねぇ」

「クィ」


狭い部屋で5人と1匹が寛いでいた。


「8人用で作っておいて良かったわね」

「積載重量危なかったですわね」

「クィ!」

「あっ、お前が重いって言ってるんじゃないよ」

「クィー」

「2人は?」

「良く寝てるよ」

「逆によく寝れるわね、ドラゴンレディの中で、この子も居るのに」

「戦争に慣れちゃったからねぇ」

「悲しい慣れね」

「どこでも寝られないと、困りますものね」

「だからお前も寝てた方が良いよ」

「クィ」




フゥウウウウウン


「よぉーし、みんな起きたか」

『うん』

「クィ」

「よしよし」

「数時間だけど寝られたのは良かったわね」

「うん。海亀は寝ないで移動してるもんね」

「あいつ等は寝ずに付いて行ってるのでしょう。有利ですわ」

「そうだな。僅かな休憩とは言え、有利になっただろう」

「いや、僕等はあいつ等の本隊、海亀に乗ってる奴等を叩く。つまり今寝てる奴等を潰しに行く。夜明けには起きて来るだろうから暗い今から叩く」

『了解!』

「クィ!」

「ケセラ、尾行はどうだ?」

「大丈夫だ。動く火ほど目立つものは無い。無事に跡をつけている」

「よし。クイ、寒くないか」

「クィ」

「毛布重ねてるから大丈夫だって」

「上空で夜だしね」

「クィ」

「あの子達大丈夫かなぁ」

「クイール達も街に帰れるように訓練されてるから大丈夫だ」

「だとさ」

「うん。馬もクイールに付いて行ったしね」

「だとも」

「うん」


「作戦を繰り返すぞ。俺とクイが降下、その後君等がドラゴンレディごと着陸。甲羅に湖が有るのは月の反射で確認済みだ。そこに水面着陸後に陰から俺を援護してくれ」

『了解』

「クィ!」

「カズヒコ!」

「ん?」

「ベラムの灯だ!」

「見えたか。いいか、兎に角数を減らせ。海亀を殺すには人数が必要なはずだ。今回の場合普通の兵士が重要なはずだ。士官より兵士を優先しろ」

『了解!』

「ケセラ!高度100まで降下する。ミキがナビゲートしろ」

「「了解!」」

「カズヒコさん、パラシュートを着けて下さい」

「駄目だ。こいつも着けない以上俺も着ける訳にはいかない」

「クィィ」

「構わん。俺達は一心同体だ。お前に空を飛ばせてやる。お前は思いっきり楽しめばいいんだ」

「クィ!」

「よし」


ゴーグルとマスクを装着した。


「予定通りの角度から侵入するわ!」

「了解!」

「マヌイ。後部ハッチ開口」

「ハッチ開口!」


ゴロンゴロンゴロン


「カウントダウン5!」


ミキを見た。


「「「4!」」」


ケセラを見た。運転しているので後ろ姿だ。


「「「3!」」」


サーヤを見た。


「「「2!」」」


マヌイを見た。


「「「1!」」」


クイールと目が合った。


「「「ゴー!」」」


バッ

ハッチから出ると同時にクイールに騎乗した。

ハッチから出た一瞬はゆっくりだったが、


ドシュウウウウウゥゥゥ


急降下に変わった。


「旋回!」

「クィ!」


旋回する時に翼を広げ滑空の姿勢に移る。


「見えたぞ!あの明かりだ!」

「クィー!」




パチパチパチッ


篝火が弾けた。


「夜番御苦労」

「将軍。よろしいのですか、眠らずに」

「眠れないのだ。ヤマート1と言われたワシが亀の上に乗っているだけなどと」

「剣豪のあなた様を遊ばせておくなど、見る目が無い連中ですな」

「仕方ないのだ。シンファン連合は貧乏所帯、バウガルディの援助が無ければ今回の作戦も無かった」

「その所為でおいしい所はバウガルディが持って行くのでしょう?」

「まぁな。今回の騎馬にしても大半がバウガルディからの金銭援助が無ければ実現しなかった。投資した分に見合った見返りが無ければ投資しようとは思わんさ」

「我が国は貧乏なままですか」

「これから変わる。今回を契機に変えるのだ。子供たちが飢えに苦しむ様も、老人を捨てる様も、金が入れば変わってゆくだろう」

「そう願いたいものです」

「願うだけでは変わらないのだ!自分達で!自分達の力で変えてゆかねば世の中は変わらないのだ!」

「将軍・・・」

「ソルトレイクを崩す事で変わってゆく事だろう!皆が笑顔に暮らせる世の中をこれから「バキッ!」」


ベシャッ

ドゴッドンッドンッドンッドンッズザザザザザァァァ


「しょっ、将軍!?」


ピクピクピク・・・


「将軍!将軍ーん!」

「あー!怖っ寒っ怖っ寒っ怖っ寒っ怖っ寒っ怖っ寒っ怖っ寒っ怖っ寒っ怖っ寒っ」

「なっなっなっなっなっなん・・・!?」

「クイー!」

「もー1回!?ぜってぇーヤダっ!じょーだんじゃねぇわっ!2度と御免だ!」

「クィィィ!」

「うるせぇ!死ぬかと思ったわ!」

「クイ!」

「一心同体!?俺は寒いの苦手なの!無理なのは無理!はぁー!手がかじかんで感触が無ぇわ。はぁ~はぁ~摩り摩り」

「なん!なん!なんだ貴様は!」

「ん?何か上から魔力が大きい奴目掛けて降下したら上手い具合に轢き殺したみたいだな。やったな、お前が1番槍だ」

「クィ!」

「きっきっきっ貴様!ピー!ピー!ピー!」

「あっ!てめぇ!訊ねて来たから答えてやってたのに!ずりぃぞ!」ドスッ

「ぐふっ!?」


ざわざわざわ・・・


「くそっ、起き出したか。仕方ねぇ、やるぞクイ」

「クィ!」




ワァー!ワァー!ワァー!


「何だ何事だ!」

「閣下!」

「説明しろ!何が起こっている!」

「襲撃です!」

「襲撃!?馬鹿な!敵が海亀に乗って来れる訳が無かろうが!反乱ではないのか!?貴様等シンファンは蝙蝠外交であろうが!」

「何を言われる!この作戦は連合を懸けた予算と人員を投入しており申す!成功目前になって鞍替えなどありえぬ!」

「はっ!どうだかな!いつも土壇場で意見を変える貴様等を何度も見て来ておるのだ!」

「侮辱だ!我が連合に対する侮辱だ!」

「喧しい!だったら何が起きているのか説明せんか!」

「だから襲撃だと申しておる!」

「だからどうやって海亀に登って来たんだ!?」

「知らん!だが現に襲撃者があそこで暴れておろうが!」

「どこだ!」

「あそこだ!」


ワァー!ワァー!ワァー!


ビシュッ


「ぐおっ!?」

「くそっ!何だあのクロスボウは!?」

「装填が早ぇ!?」

「クイールあんなに機動力あんのかよ!」

「馬とは違う!馬よりすばしっこいぞ!」

「それにこの足場だ!」

「凸凹してんな!」

「甲羅の上に海の堆積物が重なって一種の森になってやがる!」


バササササァー


「ぎゃあー!?」

「滑空突撃だ!?」

「くそっ!高低差があるこの森は奴等に有利過ぎる!」

「固まれ!固まって奴が襲って来る所を狙うんだ!」


「何だあいつは!?」

「だから襲撃者だと言っておろうが!」

「我が連合にクイール乗りはおらん!」

「格好からしてソルトレイク軍ではない!」

「冒険者だ!冒険者だ!」

「落ち着けぇ!奴はたった1人だ!パニックにならず冷静に「バシャアアア!」何だ!?」

「背後の湖からだ!?」

「魔物か!?」

「粗方片付けたのではなかったのか!」

「湖の中までは無理に決まっておろうが!」

「貴様!大将はワシだぞ!誰に物申しておる!」

「金と大将しか出さなんだ連中が!大部分は連合の兵士だ!」

「貴様!今の言は後日責任を取らせるからな!後悔するが良い!」

「ふん!利益だけを追求する!血を吸うお前等が蝙蝠だ!」

「貴様!」

「止めろ!こんな時に何をしている!作戦完了は目前だぞ!」

「目の前の敵を倒してからにしろ!」

「先ずはあいつを囲んで圧殺しろ!1人だけの相手に臆するなぁあぎゃっ!?」

『!?』

「矢だ!矢が刺さっておる!」

「背後から別部隊だ!」

「1人のあいつは囮だ!背後に兵を回せぇ!」




ワァー!ワァー!ワァー!


「ドラゴンレディ収納しました」

「お疲れ様」

「戦況は?」

「見ての通り、大混乱よ」

「木に隠れて移動しつつ撃つのよ」

「はい」

「でも不思議だねぇ。海に木が有るなんて」

「湖にも森が有るって言っていたな」

「まぁそのお陰で私達には有利だからね」

「相手の篝火であたし達は狙い易いけど」

「相手は私達を狙いにくいしな」

「数を減らすのよ」

「海亀を殺されたら経済が大混乱になりますから」

「大丈夫。相手は50人程よ。確実に仕留めて行けば私達の勝ちよ」

「「「了解!」」」


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