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HappyHunting♡  作者: 六郎
第17章 虹の根元 (ウォーカー、ハンナ、ローラ、ヤヤ、セルラ)
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⑰-21-601

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その日は紹介された宿に部屋を取って明日の準備をしていたところ、


ドンドンドン


ドアを叩く音がした。


「誰だ?」

「ソルティドッグのギルド員だ。グンタリからギルドに案内するようにと言われてる」

「・・・分かった。ちょっと待ってくれ」

「あぁ」


「何だろう」

「さぁ・・・準備するって言ってたから、何か問題が発生したとか?」

「かもねぇ」

「分かりませんが取り敢えず向かいませんと」

「そうだな」

「行ってみるか」




ギルドに着くと直ぐに案内された。


「おぉ!待ってたぞ」

「どうしました?」

「ギルド員にチリメン商会を探らせたところ、今日の早朝に本体が出発したらしい」

「ふむ」

「それは問題無い。問題なのはその人数だ。300人程らしい」

「「「「「300!?」」」」」

「そうだ。流石に多過ぎる」

「一部が移送の為に北部に向かうんじゃぁ・・・」

「可能性は有るな」

「どうします?」

「まだはっきりと決まった訳じゃぁない。ないが、一応戦闘準備をしていく。お前等もその積りで準備をしてくれ」

「分かりました。早朝の出発には変わりませんね?」

「あぁ。こっちも戦闘の準備をする」

「ギルドの人員は?」

「約40人」

「40・・・」

「しょうがねぇのよ。今回は仕事が無くなったって冒険者稼業に行った奴が大半でな」

「仕方ありませんね」

「あぁ」

「もし、もしもですが」

「あぁ」

「横流ししていた場合、どうします?」

「・・・ふーむ。40人で制圧は無理だなぁ・・・かと言って尾行もお互い大所帯だからなぁ・・・」

「僕等は伝書烏が居ます」

「ほぅ」

「もしもの場合、カラスを飛ばしてここの留守番役に連絡を入れて当局に届け出るって事も」

「それで行こう。ワシ等では制圧出来ん。当局に出張って貰う必要が有る。それで行こう」

「分かりました」

「じゃぁ明日、頼んだぜ」

「こっちの台詞ですよ」

「ふっ、ちげぇねぇ」




宿の部屋で。


「やっぱり横流しかなぁ」

「でしょうねぇ」

「戦闘になるのだろうか」

「どうかしら。300人居るって事はその積りかもね」

「だろうねぇ」

「300人居るって事は警護用だろう。収納袋は持っていない可能性が高い。だったら荷車を動かせなくさせれば良い。待っていれば当局の援軍が来る」

「そっか。あっちは護衛しながらだから戦い辛いもんね」

「そういう事だ」

「じゃぁ明日に備えてしっかり寝ましょ」

「「「「はーい」」」」




翌朝、ギルドにて。


「よぉーし、集まったな」

「今日は宜しくお願いします」

「あぁ。予想が外れてる事を祈るばかりだが」

「悪い勘ほどよく当たるってね」

「縁起でもねぇ」

「この猫をここで預かっててください」

「良いだろう」

「じゃぁ。あたし達が帰って来るまでここで待ってるんだよ」

「ニャウ」

「よっしゃ。じゃぁ行くか。ギルド員を厩舎に整列させろ」

「了解マスター!」


僕達も厩舎に連れて来られた。


「お前等用のクイールを選べ」

「「「「「えっ」」」」」

「馬じゃぁ駄目だ」

「そうなんですか?」

「馬は繊細な生きもんだ。海亀の地震のような移動に怖がって近寄れねぇ。クイールはその点大胆と言うか良い意味で図太くて粗暴だ。それに訓練してるし何度も海亀の仕事で馴らしてある。ちょっとやそっとじゃ逃げたりしねぇ」

「なるほどー」

「合いそうな奴を見つけて乗ってくれ」

「「「「「はーい」」」」」


マヌイとケセラは早々に合う奴を見つけたようでもう乗っている。

サーヤ君も乗った。《馬術》持ちだからだろうか。

菊池君はちょっと怖がってるようだ。

かく言う俺もそうだ。

この・・・恐竜の小型版といえる容姿のクイールに乗るというのが・・・怖い。

恐竜で言うなら前足、は翼になっている。

そう言う意味では鳥に近いのか。

2本足で立っているのだがその足がかなり太い。

蹴られたら打ち所が悪ければ死んでしまいそうだ。


「どうした、早く決めろ」

「「お、おぅ・・・」」


菊池君は意を決して飛び乗った。

乗り易い様に足を折り曲げて、なんて事はしない。粗暴って言ってたな。

うーん・・・

色々見ているがピンとくる奴が居ない。

しかしその内に俺と目が合う奴に会った。

もうコイツで良いか。


「やぁやぁ。君逞しい足をしてるね。とても強そうだ」

「クイー!」ゴツッ

「いった!?」

「そいつは雌だぞ」

「・・・綺麗な足だねぇ」

「クィィィ」

「解体させてくれないかな?」

「クイー!」ゴツッ

「ぎゃあ!」




ドドッドドッドドッドドッドドッ


クイールに乗った一団がベラムの街から離れて行く。

後方に馬に曳かせた荷車も従えていた。

リーダーらしき男が叫ぶ。


「今からじゃぁ今日中には追い付けない!今日明日は野営して明後日に追い付く見通しだ!」

「分かった!」

「クイールの機嫌はなおったのか!?」

「クイー!」

「はっはっは!まだのようだな!」

「なんでだろ!?」

「解体したいなんて言うからだよ!」

「そうよ!懲りて無いわね!」

「こいつ等は雑食か!?」

「そうだ!肉が好物だな!」

「金掛かるね!」

「斜面での滑空突撃は無類の強さだ!その価値はある!」

「北の戦線で活躍か!」

「北部戦線は麓よりもっと北の大河で睨み合いって話だ!」

「へぇ!」

「2段構えだ!大河で1度叩いて麓が最終防衛ライン!それにこっちは守ってりゃぁ良い!」

「今回は敵の方が少ないって聞いたよ!」

「らしいな!今回も大丈夫だろう!」

「じゃぁこっちを・・・待てよ」


だから少ないのか?

陽動?

・・・いや。

塩を盗む為だけに大軍を陽動に使うかな。

大軍を動員する金が有るんならその分を塩を買うのに使えばいいだけだ。

違うな。




その日の夜は見晴らしの良い場所で野営をする事になった。

この辺は海亀が繰り返し通る場所らしく森も無く草が生えているだけだった。

飯を食いながらグンタリ等、ギルド幹部達と話し合う。


「奴等との交渉はワシがやる。もし戦闘になったらこの数じゃぁ相手にならねぇ。即座に撤退をする。お前等はその援護を頼む」

「分かりました。その時はこのレイヴを飛ばしてから援護します」

「あぁ、そうしてくれ。援護はどうやる?」

「彼女達4人射手が居るんで弓で援護します」

「弓か。そりゃぁ願ったりだな。こっちも何人か弓騎兵の経験者が居るしそいつ等と援護を頼むわ」

「分かりました」


「所で他にも火の灯りが見えますね?」

「あ?あぁ、あれか。恐らく観光客だ」

「ほぉ」

「貴族や商人が護衛を従えて見に来るのさ」

「へぇー」

「お前等は海亀は初めてだろ」

「えぇ」

「ビビんなよ」

「街ほどって聞いてますけど」

「そうだ。街が、いや、山が向かって来るんだ。ビビるなって言うのは無理だろうが落馬しねぇようにな」

「・・・が、頑張ります」

「あぁ」

「マスター」

「ん?」

「チリメン商会の連中はクイールをレンタルして無いって話ですよ」

「なんだと。馬だけか」

「そうみたいですね」

「かー!とんずらする気か」

「えっ?」

「馬じゃぁ海亀に近寄れねぇ。端から塩だけ持って行く気かもしれねぇ」

「横流しじゃなく全部持ち逃げ?」

「かもなぁ」

「でもそんな事する価値は有るんですか?横流しだったら毎回やれば良いでしょ。今回だけの持ち逃げなんて何の意味が?」

「さぁなぁ。そう言われると・・・知らなかっただけかもな」

「馬だと無理っていうのを」

「あぁ。だったら説明がつくな。経験が無いからクイールをレンタルしなかった。馬で良いだろうって考えだったのか。北部、もしくはシンファンにはクイールは居ねぇからな。慣れた馬をレンタルしたんだろう」

「なるほど。となると、海亀に近付かずに交渉する事になりそうですね」

「そうなるな」

「それは良かった」

「そうか?」

「ビビりながら交渉は無理ですよ」

「はっはっは!違ぇねぇ」


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