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HappyHunting♡  作者: 六郎
第4章 サーヤ (グンナー:エタル、マキロン)
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「あり、ハァハァがとう、ハァハァございました、ハァハァ」

「少しはスッとしたかい」

「はい・・・ハァハァ」

「では今日はもう寝よう。詳しくは明日だ。ここにテントを設置する。君が設置しておいてくれ。サーヤは彼女を手伝ってくれ」

「分かりましたけど、先輩は?」

「死体を処理してくる」

「あぁ、魔物が来ますもんね」

「あぁ。サーヤ、僕達はこの辺の風習に詳しくないんだがハリエットさんの形見とか持ち帰った方が良いのだろうか?」

「え、えぇと。私もこの辺の者じゃないので分かりませんが、大体髪の毛などであればいいかと思います」

「そうか。身に着けていたものは全て外して持って行こう。残念ながら死体は魔物の餌だ」

「あの、火葬とかは・・・」

「どっちみち肉の焼ける臭いで集まる。埋めるにしても8人は無理だ。だったら1人埋めようが全員埋むまいが同じだろう」


男に近づきショートソードを見せる。

男は哀願に顔をしかめる。


「フガー!」

「去勢してやる。あの世で罪を悔いるがいい」


ザシュッ


「フゴー!フゴー!」


見悶えたままの男から離れ、俺はハリエット以下3人の衣服を剥ぎ装身具を外し髪の毛を切り死体を1人1人離れた場所へ捨てに行った。

冒険者も同様にして最後に去勢した男の下に行くと失血死したようで動かなくなっていた。

そのまま運んで同じ場所に捨てる。

彼女たちの所に戻った時にはテントは出来上がっていた。


「ちょっと立ったままでいてくれ」


サーヤを立たせ下腹部の前に座り込む。


「あ、あの・・・?」

「何をしてるんだ何を!」パコッ

「いてっ!」

「セクハラ通り越して犯罪ですよ!いやセクハラも犯罪だけど!」

「ち、違うぞ!菌を、殺菌をしてたんだ。ほら、あいつら不潔そうだったから」

「あ、あぁ。もー!そーならそーと最初から言ってくださいよ。サーヤさん、これは医療行為だから恥ずかしいだろうけど受け入れてね」

「あ、分かりました。あの、よろしくお願いします」

「あぁ、安心してその身を委ねてほしい」バコッ

「何を言ってるんだ何を!」

「いてっ!」

「あ、あの。私大概の病気は大丈夫ですので・・・」

「ん?なんで?」

「私《病気耐性》Lv7なので・・・」

「「なんだと!?」」

「はい・・・過去色々ありましたので・・・」

「う~む。興味深いが先ずは腹ごしらえからだ」

「あの後で食べられますかね?」

「人間追い詰められたら出来るものだよ」

「追い詰められたくないですけどね」


馬車を壁にしてテントを張って、少し離れた位置に火を熾す。

スープにドライ系の保存食を入れ調味料を入れて完成だ。


「美味しいです」

「ヴィヴィエントで買った調味料だからね。結構良い物だったのよ」

「食べ終わったら君は寝ると良い。夜番は僕達がするから」

「あの、私もお手伝いを・・・」

「今日は大変だったんだ、ゆっくり休みたまえ」

「ここは言葉に甘えるのがマナーよ」

「あ、はい。ありがとうございます」

「食欲は有るようで安心したよ」

「・・・こんなことは初めてじゃないんで」

「・・・ん?」

「聞いても良いのかな?」

「はい。私は物心ついた時に攫われそのまま奴隷として売られました」

「「なんだと!?」」

「でも南は奴隷制度に厳しいんじゃ?」

「はい。でもどこにも裏の道はありますから・・・」

「・・・そうか。さっきこの辺の者じゃないと言ってたが?」

「はい。もっと西の方です」

「奴隷生活は長いのかい?」

「はい。10才くらいから、今年26才になります」

「そ、そんなに!?人生の半分以上を・・・」

「しかしそんなに長ければ自分を買って契約を解除することも出来たんではないのかい?」

「幼い私にはいつの間にか途方もない借金を課せられていました」

「何て野郎だ!ブッ殺す!」

「先輩、落ち着いて!」

「あ、あぁ。すまん。それは裏の世界だったからか」

「はい、多分。それで最近年も取ってきたせいで安く売られることになりまして」

「ちょっと待て。今26才なんだろ?」

「はい、この世界は26才は価値が低くなりますから・・・」

「ロリコンどもめが!」

「マキロン落ち着いて!」

「それでようやく裏の世界から表に出られてハリエット様に見初められていただき・・・」

「そうか、それで結婚ん?奴隷と結婚出来るんだよな?」

「はい、奴隷とは結婚出来ますが、その・・・」

「あぁ、すまないプライベートな話だったね。言わなくて良いよ」

「いえ、あの、結婚ではなく・・・」

「構わん構わん。人に言いたくないことは無理に言わなくていいよ。それよりさっき《病気耐性》Lv7って言ってたけど?」


「あ・・・はい。長い奴隷生活でそこまで上がりました」

「ブッ、そ、そうかすまんね。辛い事思い出させて」

「いえ、今となっては・・・ついでに言いますと《頑健》もLv7です」

「「ブフーっ!!」」

「なんだって!?」

「凄いわね!」

「僕達はようやくLv2だぞ!」

「でも、お若いのでしょう?」

「そんなことないよ。よんじゅ・・・20才です」

「わ、私も」

「でしたら仕方ありませんよ」

「「ですよねー」」

「お2人は冒険者なんですか?」

「うん、そうよ。なって半年経ったってとこ」

「えっ!半年!?半年で5人の冒険者を!?」

(菊池君、どうやら魔法は見られてないみたいだ)

(ですね)

「油断していたしね、その・・・」

「あ、あぁ。そうですわね・・・お2人は恋人同士ですか?」

「いや、幼馴染だ」

「まぁ、羨ましいですわ」

「そうかい?」

「私、故郷の記憶とかもう無いんです・・・」

「そ、そうか。まぁこれから作れば良い、って雇用主が死んだ場合どうなるの?」

「そ、そうですよね。奴隷は財産だから、この場合は遺族に?」

「え、えーと、そうですね。普通は遺族が相続するんですが、今回の場合盗賊に襲われた扱いになるのでしたらお2人は3割を遺族に要求出来たはずです」

「ん?それは今ここにあるハリエットさんの荷物の権利の話をしてる?」

「はい」

「つまり、街の外で盗賊などに盗まれた財産は討伐者に3割払われると」

「確かそうだったと・・・思います」

「でもそれだと7割返すんなら全部取ってっちゃう冒険者もいるんじゃないの?」

「指名手配になるって聞いたような」

「バレないんじゃないかしら」

「例えば、奪って何処かで売ろうにも街へは入れんだろう」

「何故?」

「冒険者カードで入るのに馬車に乗ってる人間は冒険者だけって怪しいだろう。商品は積んでるのに」

「う~ん」

「売買するのに商人カードが必要なのに冒険者カードだけしか持ってなかったら・・・可能性は」

「今回みたいな!」

「だな。それに盗品の中に故人を特定出来る物が有ったら足が付く」

「じゃぁ、あいつらどうするつもりだったんだろ?サーヤも殺すつもりだったんでしょ?」

「あぁ、恐らくそうだ。で、ハリエットさんの死体もしくは遺品を携えて遺族に渡して3割貰うって腹積もりだったんだろう」

「何て奴ら!ブッ殺してやる!」

「もう君が半分殺したぞ」

「偶然通りすがりの正義感を持った冒険者面するつもりだったって訳ね!ブッ殺してやる!」

「だからもう半分殺してるって!ん?それだとあいつらの契約書とか処分するはずだったんじゃないかな?」

「あ、ありますよ。契約書!南の街で契約したんでその街のギルドのサインが入ってたと思います。たしかハリエットさんの書類入れの中に」

「ハリエットさんは収納袋を持ってたかい?」

「いえ。持っていませんでした」

「収納袋って持ってる人が死んだらどうなるんだろう?中の荷物は無事だよな?」

「さ、さぁ。私には分かりません」

「そうか。じゃぁさっき漁った冒険者カードと、契約書と君の証言で断罪できるな」

「もう死んでますけど、半分はあなたが」

「まだだ!まだ終わらんよ!死して尚貶めてくれるわ!安らかな死後を過ごせると思うなよ!」

「「えぇー!」」

「考えて見たまえ!あいつらに仲間がいたらどうする?ヴィヴィエントの事もある。グループで悪さしてるかも知れん。このことをグンナーに知らせ、南の街にも知らせてもらって仲間を探してもらうんだ!」

「なっ、なるほど!」

「よーし!明日は先ず契約書の確保、遺品の整理、遺産を隠す。この3つをこなすぞ!」

「2つはいいとして遺産を隠す?」

「ここだと街道に近い、誰かに発見される恐れがある。僕達がグンナーに行って戻って来るまで隠すのだ」

「戻って来る?」

「遺産全部を持っては行けないだろ。呼びに行くんだよ」

「3割貰う気だ!?」

「当り前だろ!危険な目に合ったんだ」

「ま、まぁそれはそうですね」

「お陰で命拾いしました」

「それじゃ早く寝るぞ。明日は早いからな!」


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