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HappyHunting♡  作者: 六郎
第4章 サーヤ (グンナー:エタル、マキロン)
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「私はサーヤと申します。助けていただきありがとうございました」

「何があったの?」

「あっ、あっちにご主人様が!」

「ご主人様?」

「お願いします!あっちに!」

「わ、分かったから。落ち着いて」


ランタンで照らしながら彼女に付いて行く。

連れられて行った先には荷車と死体が転がっていた。馬は逃げて行ったようだ。

この足跡の大きさはラドニウスではないな。


「あぁ!ご主人様!」

「この人があなたのご主人様?」

「そうです。ハリエット様です」

「亡くなってるわ」

「あぁ!」

「とりあえず事情を聞きたい。縛ってる当事者もいるし、一度さっきの場所に戻ろう」

「・・・はい」

「魔物が寄って来ませんかね」

「なるほど。じゃぁここに今日は野営しよう。男は俺が連れて来るよ」

「分かりました」




気絶してる男を担いで荷車のあったところに連れてくる。

冒険者風の男は重かった。


「やれやれ。《頑健》さん様様だな」

「ですね」


男を縛ったロープに長さを足して木に縛る。


「じゃぁ、話してもらおうかな」

「はい。私はサーヤ。ここから南に行った街で買われた奴隷です」

「奴隷か、さっきご主人様って言ってたしな」

「はい。それで私を買われたのがこの方、ハリエット様です。ハリエット様はここから先のグンナーと言う街の商人です」

「「ふむふむ」」

「荷物をグンナーへ運ぶために護衛として雇ったのが・・・先ほどの冒険者達です」

「なんだとっ!」

「きゃ」

「先輩!」


急に声を上げたから驚かせたようだ。


「あっ、す、すまない」

「あ、いえ」

「じゃぁ、護衛が護衛主を襲った・・・そういう事かい?」

「はい」

「「ぬぬぬ!」」

「ここの死体はハリエットさんと御者かな、後1人も従業員かい?」

「はい、そうです」

「フガー!モガー!」

「おっ、気が付いたようだな。ちょっと待っててくれ」


剣の腹で腕をブッ叩く。


「ンゴー!」

「静かにしねぇと殺す。分かったか」


コクコク


「大人しくしてろよ」


「お待たせ」

「あいつ、どうするんです?」

(殺す)

(え?)

(足をやったからな。歩けんだろ、だから殺す)

(そ、そうか)

(気にするな。魔物だ)

「それで3人を殺し、君を暴行したんだね」

「は・・・い・・・ううぅ」

「・・・・・・復讐・・・したいかい?」

「・・・えっ?」

「復讐・・・したいだろぅ」

「えっ、あっ、いや・・・」

「ちょっと先輩!」

「君を一方的に襲った賊、いや魔物に!復讐したくはないかい?」


「このままでは、一生引きずって生きていくかもしれないよ。ここである程度のケジメを、つけた方が良いんじゃないかな」

「ケジメ・・・」

「やられたけど、やり返した。やられたままだったらこの先後悔して生きていくんじゃないかな。同じ後悔するなら、やり返して後悔した方がいいんじゃないかい?」

「同じ後悔・・・」

「そうだ。過去は変えられない、今回の事をハッピーには変えられないんだ。だったら自分の手で、ケジメをつけた方がいいんじゃないか」

「ケジメ・・・つける」

「サーヤさん、無理する必要無いのよ」

「いえ、自分の手で・・・自分の気持ちにケジメを・・・」

「君が殺すことはない。あいつらは君を嬲ったんだ、君もこの棒で嬲ってやれ」

「・・・はい」


サーヤは棒を持って男の方へ歩いて行った。

男は会話が聞こえておらず、何が話されたか分からなかったがサーヤの様子と、その手に武器を持っているのを見て察したようだ。


「んー!んー!」


サーヤは少し躊躇いながらも振りかぶって・・・振り下ろす。


バキッ・・・バキッ・・・バキッ・・・

はぁはぁはぁ

バキッ・・・バキッ・・・バキッ・・・

はぁはぁはぁ

バキッ・・・バキッ・・・バキッ・・・

はぁはぁはぁ


「はぁー!」


サーヤは大きく息を吸い込んで吐いた。


「そうとう溜まってたんだな」

「まー、そりゃそうですよ」

「あれでいいんだよ」

「目には目をって?」

「どうせ殺すんだ。役に立つ方がいいだろう」

「殺すんですか?役所に突き出すとか」

「街まであと2日、しかも村もない。俺も担げない。ここに置いておく。魔物に食われる。どーよ?」

「逃がすってのは・・・」

「性犯罪者を野放しに?正気か?次の犠牲者が出るだけだぞ」

「・・・ですね」

「前世の或る国の性犯罪者の再犯率だが・・・90%以上だ」

「えっ!?」

「90%以上。だからGPS発信機とか付けるんだと」

「GPS発信機って、どこの国か分かりましたけど。そんなに高いんですね」

「みんながみんな90%以上とは言わないが、同じ欲望から産まれる犯罪、似たようなもんさ」

「同じ欲望・・・」

「あぁ。必ずまたやる。大なり小なりな。小から大になったら目も当てられんぞ」

「法で持って裁くって・・・」

「この世界では難しいな。法って言っても貴族が作った法だし、万人に平等な物じゃないだろ」

「そうですけど・・・犯人は冒険者ですし」

「俺達はハンターなんだよ。魔物のな」

「あいつらは魔物ってことですか」

「護衛主を殺してるんだぜ。人じゃない」

「気持ちがね・・・ついていかないって言うか」

「君はそれで良いんだ」

「えっ?」

「俺が殺す。君は君の立場で意見してくれれば。2人とも同じだったら間違っていた時止められない、止まらない」

「・・・まぁ、私は私で良いんですね」

「あぁ、そのままの君で居てくれ」

「・・・分かりました」


バキッ・・・バキッ・・・バキッ・・・

はぁはぁはぁ


「もっ、もういいんじゃないかなー!?」


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