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HappyHunting♡  作者: 六郎
第3章 領都ヴィヴィエント (ヴィヴィエント:カーズ、マイキー)
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③-09-54

③-09-54




4月を過ぎた領都のまだ冬の寒さを残しつつも春の芽吹きを感じさせるその日は、朝から曇り空で前日までとは違ってやや寒さがぶり返したかのようだった。

そんな朝を冒険者ギルド本館へ向けて歩いている。

春の訪れと共に薬草類の採集依頼が出始めていたので、狩りのついでに採集していたので今日もその確認の為だ。


「《魔力検知》と《魔力操作》の上りがパないっすね」

「コロリマイタケの時だけじゃなく寝る前にも使ってるからな。そのお陰かLv上がったからか分からんが魔力量も上がった気がするんだよな」

「えー!?スキルLv上がって魔力消費量が減ったんではなく?」

「う~ん。《魔力検知》がLv上がったお陰かも知れないんだけど、より広い範囲の魔力を見られるようになったんだよね。それで《魔力感知》をon/off切り替えて見てたら《魔力感知》はどうやら体全体から魔力を飛ばしてるみたいなんだ。《魔力感知》のLvが上がる前と後だと消費する魔力の量はあんまり変わってないんだよね」

「それで魔力量が多く感じるって言うのは?」

「まぁ漠然と増えたかなって感じるのと、《魔力検知》で見る体内魔力の量が増えたかなって」

「それははっきり分からないんですか?」

「あくまで局所的に見てるだけだからね」

「でもスキルLvが上がったから魔力量が上がったっていうよりも、単純にステータスが上がって魔力も増えたってことも考えられますよね」

「そうなんだよね。ステータスで関係しそうなのは”INT”かな」

「”INT”だけじゃない気もしますがメインなのはそうでしょうね」

「相互に影響し合ってるとして1番影響力有るのは”INT”だろう」

「もしかしたら魔法図鑑読んでたのもあるんじゃないですか?」

「あぁ。確かにね。”INT”上がるのは何も魔法図鑑だけじゃないだろうから魔物図鑑とか魔導具図鑑とか読んでもいいな」

「知識は無駄にはならないようですね」

「かもね」


「そう言えば《魔力感知》も上がったんですよね?」

「あぁ」

「範囲は伸びてました?」

「あぁ。16mくらいだ」

「やっぱり!あぁ!私も欲しいー!」

「そろそろ魔幼虫が出て来るらしいから」

「16mって相当ですね!」

「あぁ!ほぼ不意の接近は許されんな」

「いいなー!」




本館に入った。

冒険者がそこそこ居る。

最近温かくなったからだろうか。

しかし今日はいつにも増して人がいるように感じた。

採集掲示版の所へ行き依頼を探す。


「ん~。特にありませんねー」

「そうか。じゃぁ仕事現場へ向かうとしますか」

「は~い」


僕達は本館を出て南東門へ向かう。

いつものごとく男女像が建っている。

噂では王都を向いているという。


(菊池君)

(は、はい?)

(そのまま前を向いたまま聞いてくれ)

(分かりました)

けられている)

(!?)

(4人だ)

(確かなんですか)

(あぁ。今も尾けて来ている)

(でもたまたまかも知れませんよ)

(門を出て森まで行ってみよう)

(分かりました)


街外への列に並ぶ。


(鏡を持ってるか?)

(はい)

(それで後ろを覗いてみてくれ。さり気なくな)

(はい)


コンパクトミラーで自分の顔を見るフリをして背後に並んでいる人達を確認する。


(!!)

(どうだ?)

(ジャンです)

(来たか。遅かったな)


門衛に冒険者カードを見せ門を出る。


「偶然じゃ・・・」

「ないな」

「確信的ですね」

「その4人は僕達が本館を出る前に席を立ったんだ。そしてそのまま尾けてきた。《魔力感知》でずっと捕捉していたから間違いない」

「はぁ~。理由はなんでしょう」

「1つは大分前のリベンジだろう」

「もう1つは?」

「コロリマイタケの狩り方を聞く気だろう」

「やっぱり・・・」

「もう1つある」

「?」

「君だ」

「!?」

「君は綺麗だからな」

「もう!こんな時に冗談・・・ってわけじゃないですよね」

「あぁ、残念ながらな」

「はぁ~」

「やるぞ。菊池君」

「!?」

「殺す」

「!!」

「森までに覚悟を決めろ。殺るしかない」

「やるしかないんですか?」

「ない。話し合いは通じない。そもそも4人で来るって事は向こうは殺る気だ」

「えっ」

「狩り方を教えて、はいさようなら、とはいかんだろう普通。俺は直ぐに殺され、君は凌辱されたあと殺される」

「殺しますかね!?」

「衛兵にでも訴えられたり、リオンヌさんに助けを求めたり。面倒を無くす為にも殺す。リオンヌさんに俺達の代わりを売り込むのも有るだろう。俺だったらそうする」


「はぁ~~~」


ドックドックドックドックドックドックドックドックドックドックドックドック

ドックドックドックドックドックドックドックドックドックドックドックドック

ドックドックドックドックドックドックドックドックドックドックドックドック


「分かりました」

「決まったか?」

「まだ心臓痛いですけど、決まりはしました」

「よし。奴らは俺みたいな《魔力感知》持ちはいない」

「どうして分かるんです?」

「さっきも言ったが本館を出る前に席を立った。出てからだと見失う恐れがあるからだ。つまり目視で追って来ている」

「なるほど」

「今距離は俺の感知範囲を出ている。鏡で見てくれ」

「あ~、結構離れてますね」

「森に入ったっていっても直ぐに藪やらが有る訳じゃないからな、目視でも探せるんだろうが、森に入ったら距離を詰めて来るな」

「作戦は?」

「深い森まで行く」

「大丈夫ですか?それまでに仕掛けて来るかも」

「浅い森だと他の冒険者や街道から見える可能性がある。叫び声とかもな。だから深くなってからだ」

「なるほど」

「良い場所で俺が罠を張る。俺が合図を送ったら君はクロスボウと《風刃》でなるべく殺してくれ。特に最初の2発で致命傷を狙って欲しい」

「わっ、分かりました!」


森になる前の木々が有る所で装備を点検してる風を装って相手を探る。


「馬鹿か。あんな街道から離れて木や草もない所で急に靴紐直すとか」

「明後日の方向いてる奴もいますね。私達に気付かれない様になんでしょうけど・・・無理が有りますね」

「ジャンの他にも知った顔がいるな?」

「あ~。護衛依頼の時ジャンと組んでた人ですね」

「やっぱりか。僕より目が良いから助かったよ」

「ってことは・・・」

「確実に狙いは俺達だ」

「はぁ~~~」

「装備はどうだ?」

「弓、剣、剣。あとは・・・短剣ですかね、よく見えない」

「魔法使いはいないのかね」

「魔法使いって杖とか使わないんですかね?」

「ん~。俺達も使ってないしなー、どうなんだろ」

「でも領都では杖持ってる魔法使いっぽい女性何人か見ましたよね」

「そうだな。もしかしたら使えるは使えるけど補助的な物かも知れんな」

「補助?」

「威力が増すとか?」

「あ~。無きにしも非ず。魔術師ギルドのお姉さんに聞いてみますか」

「そっ、そうしよう!」

「興奮すなっ!」




「どこまで行くんです?」

「なるべくマイタケの近くがいいなって」

「何かあるんですか?」

「あぁ。ちょっと確かめたいことが有って」

「?」

「ここらでいいだろう」


俺は罠を設置する。


「君が殺す順番は弓が最優先だ」

「剣士じゃなくて?盾役大丈夫ですか?」

「近接と遠距離職の2タイプを同時に相手には出来ない。近接職だけ、なら可能だ」

「分かりました」

「矢には麻痺毒を塗っておいてくれ」

「麻痺?」

「あぁ、聞きたいことがある」

「勝つ前提ですね」

「勿論だ。君は弓術が有る。最初の一撃は確殺だろう。《風刃》も出血を強いられる。俺も《雷撃》があり確殺とはいかなくとも大ダメージだ。近接であれば《見切り》があるし。しかも君は藪に隠れて撃ってれば相手は混乱して隙が出来る、狙いやすくなるだろう。大丈夫だ」

「はぁ~~~」

「殺らなきゃ殺られる」

「分かってますよ!先輩だって手が震えてるじゃないですか!」

「むっ、武者震いだよ」


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