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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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俺達は輜重隊の警護を続けていた。

輜重隊の荷車は一部は火矢で燃やされ消火したとはいえ使えなくなった物も有り、修理や休息の為に本体に置いて行かれていた。

傷を負った兵士の治療にマヌイも参加し、荷車の修理にも時間を取られ、今夜は奇襲現場付近の少し拓けた場所で野営する事となった。

火を囲んで皆で夕食を摂る。


「「「「【ランク】Cになった!?」」」」

「うん!」


ケセラが【ランク】Cになったと言う。


「そうか。とうとうケセラも【ランク】Cか」

「早いねぇ」

「私達と出会って半年くらいだけだけど軍に所属していたからでしょうね」

「私もそう思うよ」

「マヌイももう直ぐさ。僕と菊池君は2年以上掛かってるんだからな」

「そうよ、マヌイ」

「うん。大丈夫だよ」

「じゃぁケセラのステータスを見てみるか」

「この所忙し過ぎて見てなかったわ」


ケセラ・カ

-------------------------------------

頑健Lv6、病気耐性Lv5、剣術Lv4、盾術Lv4、馬術Lv5、身体強化Lv4

弓術Lv5←UP

魔力検知Lv4←UP

魔力操作Lv3←UP

薬学Lv3←UP

-------------------------------------


「弓と魔力関連が上がっているのは種族特性のお陰かな」

「私もそう思う。盾は普通のエルフは使わないだろうからな」

「《薬学》も順調に上がってるわね」

「うん。毎晩テントでこなせるからな。カズヒコの《鍛冶》なんかと違って狭い部屋でも出来るので助かっている」

「ポーションはまだ作れないの?」

「まだなんだマヌイ、済まない」

「ううん、謝んなくて良いよ。聞いてみただけなんだから」

「うん。しかし各種薬草は作れるようになったぞ」

「各種薬草?」

「主に解毒草だな。痺れ睡眠服毒・・・」

「痔は?」

「私は痔ではない!」

「痔はポーションや治癒魔法なんじゃない?」

「そうか」

「痔ではないと言うとろうがっ!」

「11個目のスキルは何にするんだ?候補は出てるんだろう?」

「う、うん。幾つかは出ている。私は《解体》を取ろうと思っているのだがどうだろうか」

「う~ん。パーティを思っての事か?」

「う、うん。寄生された魔虫の時にも思ったが私が取っていればもっと早く素材を回収出来ていただろう。冒険者稼業では必要になると思ったんだが」

「もっと自分の事に、もっと我儘になっても良いんだぞ」

「そうだよぉ、ケセラ姉ぇ。《解体》ならミキ姉ぇとサーヤ姉ぇと私も持ってるんだから好きなの取りなよ」

「そうよケセラ。エルフなんだし特性を活かせそうなものを取りなさいよ」

「思えば俺達は誰も趣味的なスキルは持っていないな」

「戦う為か生活の為か、どっちかね」

「そうですね。楽器を持っているのですしそれ系をとっても良いですね」

「だね。エルフなら笛とか竪琴とか似合いそうだしな」

「いや、私は家族と共に生きると決めたんだ。大体戦闘時間より素材回収時間の方が長い。それは非常に危険な時間だ。カズヒコの索敵力が有るとはいえ何が有るか分からない」

「確かにな。高精度と広範囲の索敵力が有ってもゴーレムを使った奇襲ではあのザマだったしな」

「いや、カズヒコを責めてる訳じゃ・・・」

「いや、俺は確かに驕りと言うか調子に乗ってた所が有ったんだと思う。例え半径1km範囲を索敵出来る能力を持ってても正しく運用出来なければ意味は無い。ロックワームの時もそうだ。1匹釣るつもりが2匹釣れるとは考えなかった。釣れて当然とは言わないがその可能性も十分有ったはずだ」

「何が有るか分からない、という訳ね」

「確かにケセラの言う通り素材回収時間は隙を晒している時間だ。短い方が安全なのは確かだ。それにスキル取得は本人の自由だ。好きなのを選んだら良い」

「「そうね」」

「ケセラ姉ぇに任せるよ」

「うん。では《解体》にする」

「正直ケセラが羨ましいよ」

「うん?」

「《解体》持ててさ」

「カズヒコも取れたんじゃないの?」

「魔法と《解体》なら魔法を選ぶだろう?」

「まぁ、そうね」

「単純に持ってるって事が羨ましいだけだよ。仮に【ランク】Bになれたとしても《解体》は取らないだろうな。やはりケセラと一緒で家族に役立つ物を取るだろう」

「そんなに《解体》が欲しいの?」

「拷も・・・尋問する時に便利じゃないか」

「「「「・・・」」」」

「実験で輸液は出来ると実証出来たんだ。他の人体実験もしてみたいじゃないか」

「発言が怖いわっ!」

「人間の屑が最後に人間の役に立つんだ。これは慈悲だよ」

「どっかの異常な宗教家みたいな発言ね」

「まぁ、尋問は《解体》持ってないからサーヤ君に手伝って貰わなきゃいけないんだけどね」

「はい!手伝います!」

「次は何の実験をするんだ?」

「やはり最終的には臓器移植だな」

「「「「臓器移植!?」」」」

「臓器移植って!?」

「内臓を他人に移植する事よ、マヌイ」

「そんな事が!?」

「出来れば大勢の人の命が助かるだろう。特に戦場では」

「今日のゴーレム戦は悲惨でしたものね」

「そうだねぇ」

「その為にも輸血はクリアしなきゃいけないんだが」

「奴隷王も失敗してるからね。難しいわね」

「上級ポーションでも食われた目や鼻や耳は再生したりはしないんだろ?ケセラ」

「そうだ。失った物は戻らない。生えてきたりは勿論しない」

「水魔法の治癒でも同じだろう?マヌイ」

「うん。水魔法の治癒はポーションよりも力が弱いから尚更ね」

「そうか。じゃぁ現状、人の指を別人の手に移植するのも無理よね」

「そうだ。くっ付けても指が腐って更に手の方も腐ってしまう」

「壊死だな。輸血出来ないから当然だろう」

「建国王すら無理だったのだ。難しいだろう」

「しかしある程度予測は出来ている」

「「「「えっ!?」」」」

「予測って、輸血が出来ない予測!?」

「そうだ」

「「「「何で!?」」」」

「お、おう。薬草の話を覚えてるかい?」

「薬草?薬草の何の話?」

「何で栽培出来ないか」

「確か純粋魔力がどうとか・・・」

「そうだ。恐らく同じ理由だ」

「純粋魔力って事?」

「いや。固有魔力の方だ」

「固有魔力?」

「固有魔力の影響で薬草の栽培は出来ないだろうと仰ってましたわね」

「人それぞれ固有魔力は違う。《魔力感知》で俺や菊池君が人を判別してるのが恐らく固有魔力だと思っている」

「前言ってたねぇ。種族毎にも違うって」

「その通りだ。そして個人個人でも違う。その固有魔力が別の人間の体内に入ったら拒否反応を起こすんだと思う」

「なるほどね!えっ!でも《治癒》や回復魔法は!?人体に術者の固有魔力を流し込んでるんじゃないの!?」

「固有魔力を流し込んでるんじゃなく、患者の肉体回復を促進させてるんだと思う。しかし促進させるのに詠唱者の固有魔力を使ってる筈だろうから何故それが患者に影響が無いのかが分からない」

「「「「う~ん」」」」

「じゃぁその辺が分かれば」

「あぁ。輸血や薬草の栽培も出来そうな気はしてる」

「そうなれば大勢の人を救えるね」

「まぁ今でも出来る事は有るぞ。主に僕達だけにだが」

「何?」

「輸血の為に採血しておくんだ、自分のをね」

「「「採血?」」」

「収納袋が有るから劣化はしない。その点は前世よりも進んでるな」

「なるほどね!あらかじめ自分達の血を取って置けば戦いや事故で血を失っても輸血すれば良い訳ね!」

「自分の血ですから大丈夫ですものね!」

「「なるほど!」」

「じゃぁ、採血しとく?」

「いや。とりあえずこの戦争が終わってからの方が良いだろうね」

「確かにね。戦争中に貧血で倒れたら危ないし」

「早速輸血する事になっちゃうねぇ」

「あぁ。戦争終了したら採血しよう」

「「「「は~い」」」」


「ついでだ、僕のステータスも見ておくか」

「あまり見てないの?」

「Lv上がったら分かるから特に見る必要も無いしね」

「確かにね」


加藤一彦

-------------------------------------

頑健Lv5、病気耐性Lv4、殺菌Lv7、カウンターLv8、罠Lv6

雷魔法Lv6

偽装Lv3←UP

魔力探知Lv3←UP

魔術昇華Lv3←UP

鍛冶Lv4←UP

土魔法Lv4←UP

-------------------------------------


「順調に上がってるわね」

「低Lvのがね」




キクチ・ミキ

-------------------------------------

頑健Lv5、病気耐性Lv4、解体Lv6、弓術Lv7、魔力感知Lv6

風魔法Lv6

掃除好きLv6←UP

魔力検知Lv6←UP

魔力操作Lv5←UP

木工Lv4←UP

伝書鳩Lv3←UP

-------------------------------------


「《掃除好き》のクリーンアップには戦争中には特に世話になってるからなぁ」

「毎日使ってるしねぇ」




サーヤ

-------------------------------------

頑健Lv8、病気耐性Lv8、吸精Lv8、魔力検知Lv8、魔力操作Lv7

弓術Lv7

解体Lv6←UP

槌術Lv6←UP

縫製Lv4←UP

身体強化Lv4←UP

馬術Lv2←UP

-------------------------------------


「・・・《解体》はやっぱりカズヒコと一緒に行動してるからかしら」

「・・・だよねぇ」

「《馬術》も順調だね」

「はい!飛行機を目指します!」




マヌイ

-------------------------------------

病気耐性Lv5

火魔法Lv3、水魔法Lv6、風魔法Lv4

頑健Lv4←UP

魔力検知Lv5←UP

魔力操作Lv4←UP

弓術Lv5←UP

皮革Lv4←UP

解体Lv3←UP

-------------------------------------


「《頑健》さんが伸びてるな」

「うん。でも魔法は上がってないんだよ」

「戦争で治癒は使う機会が多い。水魔法はもうしばらくすれば上がるだろう」

「《弓術》もそうよね」


「各スキルレベルが上がってるのも嬉しいが、ステータスも上がってるのが実感出来るほどなのが更に嬉しいね」

「でもこれってやっぱり人間を殺してるからよね」

「そうだよねぇ」

「そう考えるとちょっと気後れするわね」

「でも侵略者ですよ!」

「そうだぞミキ!侵略して更にゴーレムまで使った奴等だ!死んで当然だ!」

「でも下っ端の人達は命令されただけでしょうし」

「仕方ないよ、菊池君」

「カズヒコ」

「殺らなきゃ殺られる。勿論一般人が貴族に命令されて仕方なく、という面も有るだろうが侵略地での略奪が報酬に含まれてるだろうし」

「その通りだ。寧ろ略奪出来るから戦争に参加してるんだ、あいつ等は」

「熱心な教徒とは言え貧乏な連中には滅多に無い臨時収入の機会だろうしな」

「でもやっぱり貧乏だからそうせざるを得ない訳でしょ」

「言いたい事は分かるが、変えるにはやはり北部を打倒して体制を変えるしか無いんじゃないか?」

「う~ん」

「結局戦って勝たないと駄目なんだよねぇ」

「その通りだ。負けてはならん!」

「100年前の奴隷王の時代から比べても今は良くなったと言われているし、奴隷王の方針で南部連合が団結してるのであればそれに乗っかる事が僕達に出来る事だろう。というか僕達5人に出来る事なんてその程度でしかない。少なくとも戦争に負けなければ孤児が増えるのも防げるだろう?」

「北部の孤児は増えても?」

「それこそ北部の貴族連中が考える事だろう、僕達じゃぁない。それに労働力不足を補おうとやってる政策が戦争なんだから目も当てられんよ」

「全くだ!負け戦で更に人間が減るだろうに!」

「不満が溜まって爆発したりしませんか?」

「・・・」

「・・・カズヒコ?」

「・・・」

「あなたまさか北部で反乱が起こるって」

「そうなればその隙に付け込み南部連合の北伐が開始される!北部の民衆が開放されるんだ!良い事じゃないか!」

「でも北部の民衆が貴族に弾圧されるのよ!」

「犠牲は仕方ないだろう」

「私は嫌いよ!そんなセリフ!」

「誰かに煽られて起こる訳じゃない、時代のうねりで起こってしまうものなんだ。誰にも止められないさ」

「だからって!子供も大勢死ぬでしょう!」

「時代という早くて大きな流れを僕達で変えられたり出来ると思ってるのかい?」

「・・・」

「でも菊池君はそれで良いんだ。みんな同じ意見だと危ないからな」

「危ない?」

「未来の、一寸先なんて暗闇だ、何も見えない。みんな一目散に走ってたら危ないだろ。誰かが「一回止まってみよう」って言ってくれないとな。止まってみたら崖だったって事も有るだろうし」

「みんなで落ちちゃうね」

「あちこちで戦争が起こってる世の中だ。そろりそろり行かないとな」

「でも行く時はズギューンって行かないといけない時も有るよ」

「はっはっは、そうだな」

「通常は用心深く、行く時は思いっきり、という訳ですね」

「あぁ。だがこの戦争は国土回復、つまり必ず勝たないといけない。つまり敵は殺す。良いな、菊池君」

「・・・えぇ」


ジョゼが寝そべって遠巻きに火に当たりながら欠伸をしていた。


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