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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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『ゴーレム!?』


俺は視線をケセラからゴーレムと呼ばれた魔物らしき物に移す。


「どういう事だ?食ってるだろ?魔物じゃないのか!?」

「いや!よく見ろ!」

「ん!?」


ゴーレムは街の人間を押し倒し食ってるものも居る。

更には街の人間の目玉を抉り取り自分の顔に嵌め込もうとする物や、

鼻や耳を引き千切り自分の場所に押し込んでいる物も居る。

やがて嵌め込んだ眼は徐々に顔に埋まっていきギョロギョロと瞳を回転させてあたかも一体化したように見えた。


「何をやってる?」

「ゴーレムには器官や内臓が無い。あぁやって人間から奪うんだ!」

『な、何だってー!?』


俺はビックリしてケセラからゴーレムに視線を動かす。

1人の街の服装の人間に複数のゴーレムが群がり目や耳、鼻などを抉り取っているが、


「うぅ、おぇ」


マヌイが嘔吐いた。

ゴーレムは街の人間の腹を引き裂き、腸を引き出し、自分の腹も引き裂いて腹の中に強引に押し込んでいる。


「ゴーレムは古代文明時代に造られたと言われている。人が人を創ろうとして生まれた失敗作だと」

「人が人を・・・ホムンクルスかっ!」




「報ぉー告!」


本隊に居るベオウルフの下に近衛兵が急いで近付いてくる。


「どうした!」

「はっ!只今知らせがあり、輜重隊に待ち伏せが有るかもしれないとの事です!」

「何だと!」

「待ち伏せは我が軍本隊は既に通り過ぎている事から狙いは輜重隊だと!」

「分かった!全軍停止だ!輜重隊に援軍を向かわせる!」

「騎兵を!」

「いやこの悪路では味方も居るし無理だ!歩兵を向かわせろ!」

「畏まりました!」




街の人間の数に対しゴーレムの数の方が圧倒的に多いので奴等の求める物も圧倒的に足りない。

従って、


「こっちに来るぞ!隊長!」

「お、おう!」

「盾兵を前面に出して弓兵で」

「いやロッシ!ゴーレムは死なない!」

「はぁ!?」

「斬っても矢が刺さっても首を落としてもゴーレムは死なないんだ!」

「何だとっ!」

「ゴーレムを殺す方法はただ1つ!魔石だ!魔石を抜くか壊すしかない!」

「くそっ!厄介な!」

「どうする!死体男!」

「弓は捨てろー!剣か槍を持てぇー!1体のゴーレムに複数で掛かるんだぁー!」

『おぉー!』

「複数で押さえてる間に1人がゴーレムの魔石を破壊しろぉー!」

『おぉー!』

「密集たいけーい(隊形)!奴等は食料じゃなく俺達を狙ってくるぞぉー!固まって吹き飛ばせぇー!」

『おぉー!』

「ギャップラァアアア!!」


ゴーレムが2足で走ってこちらに向かって来る。

街の人間から抉り取った1つしかない眼は血の涙を流しているようだ。

大きく開かれた口からは鋭利な歯が見えている。

ゴーレムが複数の盾兵に襲い掛かろうと飛び上がった。


バァン!


盾で吹き飛ばされ地面に激しく衝突するゴーレム。

しかし一部は盾を乗り越え、背後に居た兵士に襲い掛かる。


「う、うわぁー!」


兵士がゴーレムに圧し掛かられ押し倒された。

今まさに食い付く為に反動をつけようと頭を仰け反らせた口に槍が突きこまれる。


「ギャッフ!?」

「槍で突いて行動を制限しろぉー!」


俺は手本を見せつつ槍を引き倒してゴーレムを兵士から離す。


「セラス!」

「おう!」


ケセラも槍で臍の辺りを突いた。


「ルーラ!」

「は、はい!」

「持ってろ!」

「はい!」


槍をサーヤに持たせて俺はゴーレムに近付く。


「《EMブレード》!」


ズボッ


ゴーレムの胸に右手を突き入れる。


「ギャーアアッフ!」


ズボォ


魔石を抜き取った。

ゴーレムは動かない。

右手を挙げ抜き取った魔石を高々と掲げる。


「ゴーレムも殺せるぞぉー!」

『うおおおぉぉぉ!』

「魔石を破壊しろぉー!」

『うおおおぉぉぉ!』


最初圧倒されていた兵士も落ち着きを取り戻しゴーレムに対した。


「隊長!」

「おう!」

「街の人間は!?」

「何人かこっちまで走って来れて確保出来ている!」

「拘束しとけ!」

「何!」

「一応罠の可能性も有る!この騒動が終わるまで拘束しとくんだ!」

「そ、そうだな!分かった!」

「それと!?クソッしまった!」

「ど、どうした!?」

「ゴーレムは囮だ!気を取られた!」

「囮!?」

「本命は反対側だ!」

「反対―――」


隊長を含めた何人かがゴーレムとは反対側を向くと、


ヒュヒュヒュン


火矢が荷車に刺さっていく。

反対側の森から教国軍の弓兵が姿を現しており次の火矢を番えようとしていた。


「いつもなら気が付くのにゴーレムに気を取られた!」

「どーするの!?ロッシ兄ぃ!」

「アンナ!カヤは弓で弓兵だけを殺れぇ!」

「「了解!」」

「隊長!」

「何だ!」

「本隊に消火用の土魔法使いの援軍を要請しろぉ!」

「水じゃないのか!?」

「今の季節、水に濡れたら食料は腐る!土で火を消すんだ!」

「分かった!本隊に土魔導士の要請を!」

「ははっ!」

「セラス!」

「おう!」

「ゴーレムは任せた!槍で動きを止めろ!」

「分かった!」

「ルーラ!」

「はい!」

「セラスに付いてハンマーで腕や足を破壊して動きを制限しろ!」

「はい!」


今出て来た右翼はざっと50人か。

弓兵が40人、護衛が10人。

俺がゴーレムに気を取られた所為で右翼はガラ空きだ。


「隊長!」

「何だ!」

「左翼は任せた!俺は右翼をやる!」

「お前だけで大丈夫か!?」

「奴等の狙いは食料だ!俺ではない!その隙を突く!」

「分かった!頼んだぞ!」

「ぎゃぁあああ!」


見ると味方の兵士が腹を喰い破られて腸を引き摺り出されている。


「カヤ!治癒を頼む!」

「あい!」

「私1人じゃ時間掛かるわ!」

「必殺しなくても良い!足や手を撃って戦闘行動を不能にさせろ!」

「分かったわ!」

「5秒に1射でも1分で敵の5分の1は戦闘不能に出来る!自信を持て!」

「分かった!」

「それ以外は俺が殺る!」

「無理しないでね!」

「無理しなきゃいけねぇ場面なんだよ!」

「でも!」

「俺が突っ込む!そうすれば何人かの弓兵は俺をターゲットにする!そいつ等は狙うな!荷車を狙う奴を優先しろ!」

「分かった!」

「行くぞ!」


俺は荷車の影から飛び出して右翼の教国軍に向かう。

何人かの弓兵が俺に気付き矢を俺に向ける。

何本かの矢が俺に向かって来る。

全速力で駆ける事は出来ない、山道だからだ。

前傾姿勢で駆ける、投影面積を少なくする為に。

流石にスキル持ちなんだろう。

正確に俺に向かって来る矢はあれど外れる矢は無い。

右手のマチェーテで体に飛んで来る矢を払う。

頭部に向かって来る矢はヘルメットで弾く。

街道から少し離れた森の端から出て来ている教国軍まで3、40m程だ。

数秒で迫る事が出来た。

弓兵を護る様に護衛の兵士が剣を抜く。

振りかぶった剣士に俺は左手から砂を放つ。


「あっつ!?」


反射的に目を押さえる剣士。

剣士の腹にマチェーテを刺し込む。


「ぐっ」


横から弓兵が俺を狙って矢を放つ。

咄嗟に剣士を盾にして剣士の背中で矢を受け止める。

剣士を蹴って向こうの護衛兵に受け止めさせる。

手甲から投げナイフを取り出して受け止めた兵士に投げると目に突き刺さって倒れた。

倒れ逝く兵士を真横で見た兵士が動揺の表情を浮かべたのでその兵士に躍りかかった。


「わわっ!」

ギィン


慌てて剣でマチェーテを受けるが、


ズゴッ

「うごっ!?」


金的に《巨人タイタン中指ティース》が突き刺さる。

また横の弓兵から矢が放たれるが金的を潰した剣士を盾にする。


サクッ

「ひゃっ」


背中に矢が突き刺さった。

同時に投げナイフが弓兵の目玉に刺さって弓兵も倒れて逝く。

更に奥の弓兵にも矢が刺さった。

ミキの矢だ。


「クソッ!弓兵は森に入って木の陰から荷車を攻撃しろ!護衛兵はそのまま包み込んでそいつを殺せぇ!」


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