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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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⑮-28-483

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俺達とバイヨ、クルル・カト等のパーティを含めると総勢10人。

内、弓手は7人だ。

しかもエルフ兄妹は種族特性で弓が上手い、エマも上手いのは一緒に戦ってきた中で知っている。

うちもミキとサーヤが《弓術》Lv7、ケセラもエルフだし、マヌイも最近の戦争で腕を上げてきている。

更にバイヨと俺が盾をしているので気兼ねなく矢を射るのに集中出来ている。

そうした状況が砦の弓手の数を急速に減らしていっていた。


「良い感じじゃない!?」

「敵はクロスボウが少ないのも理由だな!」パシッ

「何でだろぉ!?」

「金が掛かるのと!一般兵には持たせないからだろうな!」

「貴族が持つって事か!?」パシッ

「そうだ!金持ちの貴族が私兵に持たせる!弓より高いからな!私兵だから死なれたら困るから城壁には出さないのだろう!」

「戦争に負けたら意味無いのにねぇ!」

「自分達の財産が1番なのさ!」

「どこも一緒だな!」パシッ

「全くだね!」パシッ

「ティア!状況は!?」パシッ

「変わらずね!良くもないし悪くも無いわ!」

「ベオグランデ公国の砦って、グデッペン要塞やベルバキア、ルンバキアの街と違って八角塔や門塔は無いんだな!」パシッ

「あぁそうだ!塔ではなく見ての通り楼閣になっている!」

「楼閣!」パシッ

「見ての通り壁が無い!屋根だけの物だ!門の上の楼閣は特に門楼と呼ぶ!」

「へぇー!」パシッ

「ロッシ!何か私等狙われてないかい!?」パシッ

「そりゃこんだけ目立てばな!」

「クルル・カト!俺達目立ってんの!?」パシッ

「俺達が狙ってる城壁の弓手は胸壁から顔を出せないから味方の歩兵が梯子を登って行ってる!突破とまではいかないが良い線行ってるぞ!」

「私達他の城壁からも狙われてるからね!脅威と認識されてるんだよ!」

「こりゃぁ報酬が期待出来そうだ!」パシッ

「金の話かい!」パシッ

「戦争に勝って金も貰える!良い夢見れそうじゃないか!」パシッ

「違いないね!」パシッ

『はっはっは!』


努めて明るく振舞う様にしていた。

それが士気というか戦意というものなんだろう。


「グデッペン要塞はどうだったのだ!?」

「クロスボウ部隊で苦労させられたな!」パシッ

「そうだね!まだこっちのがマシさね!」パシッ

「バイヨ達も要塞戦に行ったのか!?」

「あぁ!キルフォヴァからロッシ達とは3連戦になるね!」パシッ

「夏の思い出が戦争ってどうなのよ!」パシッ

『はっはっは!』

「ロッシ!」


ミキが叫んだ。


ドォオオオ


《ファイアーボール》が俺達に迫っていた。


「ふんっ!」


マチェーテに《EMバリア》を流してみる。

あまり良い感じは受けない。

普通の素材だから魔力の伝導が悪いみたいだ。

まぁ全く無いよりマシなのでそのままマチェーテで《ファイアーボール》を《受け流し》つつ逸らし、バリアで炎を減衰させながら手首だけじゃなく腕全体を返して離れた地面に落とした。


ボォオオオン!


地面にぶつかって衝撃が響く。


『・・・』

「相変わらずだな!」

「ん!?」パシッ

「俺の《インフェルノ》も効かなかったし火魔法は通じんのだろうな!」

「味方で良かったよ全く!」パシッ

「ロッシなら砦も落としてくれそうね!」

「まぁ出来ると思うよ!」パシッ

『えっ!?』

「当然条件は有るけどね!」パシッ

「策は有るってのかい!?」パシッ

「思い付きでまだ策とまではいってないけどね!」パシッ

「ホントか「ドォオオオン!」」


ドォオオオン!ドォオオオン!


「退却の合図よ!」

「今日はこれまでだね!」パシッ

「退却か」パシッ

「歩兵の退却を助けながらだ!」

「なるほどな!」パシッ


弓兵隊が最後まで残って歩兵を援護しつつ退却してその日の戦闘は終わった。




帰る途中バイヨ達が用事が有ると言って離れて行った。

僕達とクルル・クルラ兄妹とで配給の夕食を受けとりテントの周りで食べていた。

大公付とは言え冒険者なので冒険者区域で寝泊まりしている。

食べている所にレイヴが帰って来た。

行軍中にベルバキア公国公都ムルキアのウリク商会に飛ばしていたのだ。


「伝書鳩ならぬ伝書烏か」

「あぁ。鳩よりも頭が良いし強い。なっ」

「グァ!」

「ふっふっふ。その様だな」

「何て書いてあるの?」

「ナンパした娘からの恋文さ」

「まっ!嫌らしい!」

「モテ期と言っていたな」

「天から与えられた機会を逃せばいずれ天に見放されるのさ」

「大袈裟な事言ってるけど中身はスッカスカよ?」

「アンナ、ロッシはいつもこんな調子なの?」

「そうよ」

「しかし《ファイアーボール》は元より俺の《インフェルノ》すら効かない男だぞ」

「見た目何考えてるか分かんないようだけど実は腕は立つんだけど本当に何も考えてはいない行商人よ」

「何も考えてないのに行商出来るの?それって・・・」

「頭領ぉ~」

「その呼び方止めなさいって言ってるでしょっ!」

「クルル・カト、今日の戦いはどうだったんだ?」

「き、切り替えが早いな・・・そうだな。悪くは無いと思う。恐らく損耗は同程度だ、ならば数が多い此方がいずれ勝つだろう」

「だがやはり砦Bも落とすんだ、犠牲は少ない方が良いだろう?」

「勿論な」

「その事で相談が有るとさ」


バイヨ達が近付いて来た。


「やぁ、バイヨ。飯は食ったのか?」

「まだだよ」

「一緒に食おうぜ」

「用事が済んでから頂くよ」

「僕も用事を済ませてくるかな」

「何処行くのさ、待ちなって」


バイヨに捕まる。


「ちょっと憚りにね」

「砦を落とす策が有るって言ってたじゃないのさ」

「漏れるー」

「それを聞きたいと思ってさ」

「おっきい方だぞー」

「ちょっと!食事中よ!」

「バイヨに言ってくれー」


《魔力探知》でバイヨ達がベオウルフの下に行っていたのは知っていた。

それでバイヨ達に連れて行かれたのは勿論、


「よぉ、死体男!」

「殿下、ご機嫌麗しく何よりです」


大公の天幕だ。

お偉方も揃っている。


「はっ!嫌味か?」

「えぇ、まぁ」


と言いつつベオウルフの隣に居る男に目線を移す。

ウォージャイだ。


「ふん!」


生意気な態度を取るので親指で喉を掻っ切るジェスチャーを取ると怯んだ。


「ひっ」

「はぁ・・・アンナ。ちょっと良いか?」

「えっ!?私!?」

「あぁ。ちょっと」


呼ばれて菊池君がベオウルフの下に行く。

何やらヒソヒソ話をしている。

何か合意が有ったのか、菊池君がベオウルフに頷いてサムズアップした。

菊池君が俺の下に戻って来る。


「おらっ!」ドスッ

「ぐふぉ!?」

「根性を叩き直すから従軍させてるんだって。だから余計な事はすんなって」

「だからって僕を叩きのめす必要が有ったのか?」

「警告よ、警告」

「人は簡単に変われないよ」

「変わる努力は必要でしょ」

「努力しても駄目だってなったら、最初から始末しときゃ良かったってなるだろ」

「更生するチャンスはあげないと」

「30歳になろうとしてる奴にか?」

「幾つになってもチャンスは有るわ。あなたも良く分かってるでしょ」

「・・・まぁな。仕方ない」

「温かい目で見てやってくれ」

「《インフェルノ》並みの熱さで見てますからね」

「燃やしちまわなきゃ構わんよ。はっはっは!」


バンッと、ベオウルフがウォージャイの背中を叩いた。

俺はベオウルフのもう一方の隣に居る爺にもキツイ視線を送る。

苦い顔をしたバティルシクだ。


「それで何かご用ですか?」


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