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HappyHunting♡  作者: 六郎
第3章 領都ヴィヴィエント (ヴィヴィエント:カーズ、マイキー)
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「あの、ここに置いてるのって商品なんですか?」

「えぇ。ちょっとした魔導具やらポーションやら置いて小遣い稼ぎね。なんか気になるのある?」

「本とかポーションが気になります」

「本は魔物図鑑や魔法図鑑と」

「魔法図鑑!?」

「えぇ。基本の5属性魔法と光と闇の対照魔法に回復魔法の8種類の魔法に対する研究と考察の本ね」

「魔法って8種類もあったんですかっ!?」

「・・・ホントに田舎から来たのね。そうよ、今のところはね」

「な、なんですか、その思わせぶりなセリフ」

「古代文明って聞いたことあるかしら?」

「エトルナリア?」

「そう。よく知ってるわね。その文明、っていうか国家がね、魔法で栄えてたらしいのよ」

「今流通してるお金もたしかエトルナリアから・・・」

「そう!エトルナリアのお金なんだけど、ダンジョンから出てくるわけさ。つまりダンジョンはエトルナリアが作ったんじゃないかって」

「「!?」」

「ランタンやポーションもダンジョン産なんだけど、それも多分エトルナリアの技術で作られてると思うわけよ」

「魔導具・・・」

「そう!!んでダンジョンだと階層間移動に転移魔法が使われてるのね」

「「転移魔法!?」」

「いいわっ!その食いつき大好きよ!でね、8種魔法の中に転移魔法って無いわけさ。ってことは・・・」

「まだ見つかってない・・・?」

「そうなのよ。ギルドは女性の地位向上を謳ってるけど、未知なる魔法も研究しようってのがあって、それで入って来る男もいるのよ」

「この本にはそう言った魔法の・・・?」

「そう!研究と考察が載ってるの!勿論、既存の8種魔法のもね。どう!欲しくなった!?」

「「欲しいー!!」」


「いいわー、あななたち!その反応!お姉さん安くしちゃう!」

「お幾ら・・・ですか?」

「10万エナよ!」

「「たっか!!」」

「仕様がないのよ。全編手書きだし、何より研究者の汗と涙と血の結晶なのよ」

「血の・・・それはしょうがないですね」

「でしょー。ねぇ買っていかない?お姉さんサービスするからぁ~」

「何のサービす「あのっ!」」

「あの、中身見させてもらっていいですか?」

「えぇ、いいわよ」

「買ってくれたらぁ~。お姉さんうれしいなぁ~」

「そ、そうなんですかぁ~」

「お姉さんにぃ~。ギルドからマージンが入るんだぁ~」

「この正直者っ!」


(どうだ菊池君?)

(今まで体系的な魔法の知識が無かったので非常に興味ありますね)

(この先魔法は切り札だ。それに領都か王都でしか買えないとなると)

(王都の本はこれよりも良いってことはないですよね)

(むっ。同じようなのを何冊も作らないと思うが・・・一応聞いてみるか)


「あの」

「はぁ~い」

「この本は王都でも売ってるんですよね?違いは無いんですか?」

「無いし、種類はその1冊しかないわよ。だから王都で買おうとここで買おうと一緒なの。だったらお姉さんの為に買ってくれてもいいんじゃない?」チラッ

「買います」

「ちょっと」

「ありがとー!ってあなたたちお金持ってるの?」

「ぜ、全財産をはたけば払えます!」

「ちょ、それじゃ私が業突く張りみたいじゃない。無理しなくてもいいのよ」

「いえ。あなたの本が欲しいんです。あなたの本を開いて眺めたい」

「あらやだぁ。でも魔法使いでもないのに?」

「魔法使いになるにはどうすればいいのですか?」

「誰かに教えてもらうか、そういった本を読んでって人も中にはいるみたいね」

「本を読んで?」

「噂ではね。確かめたわけじゃないわ。その人がホントの事言ってるか分かんないしね」


(魔物図鑑はどうする?)

(ひじょう~に興味をそそられるんですが)

(まぁな。冒険者ギルドにあるしな)

(そうなんですよねー)

(違いはあるのかね)

(冒険者ギルドのとは違いますね)

(なにっ!?)

(タイトルは一緒ですけど、こっちのが全集って感じでより詳しく書かれてますし、冒険者ギルドのはその街の周りの魔物がメインです)

(なるほど。それでこの分厚さか)

(そうなんですよ!そこがネックで)

(魔物はその街で調べられるしなぁ)

(そうなんですよねー)

(今は保留にするか)

(そうですね。コロリマイタケの報酬次第で考えても良いですし)

(そうしよう)


「あの・・・すいません・・・」

「ふふ、いいのよ。あなたたちには高すぎるものね」

「魔物図鑑は買えませんけど魔法図鑑は買います」

「愛してるぅー!」ダキッ

「ちょっと!」

「でもホントにいいのぉ?」

「えぇ!いざとなったらこの身を売って奴隷になりますよ」キラッ

「ちょっとー!お姉さん、良心が咎めるんですけどー!」


「仕方がないわねー。何かオマケに持ってっていいわ!」

「売るのはやめないんですね」

「冒険者でしょ?ポーションとかいるんじゃない?」

「ポーションって、どんな効果が?」

「ポーションはね。まず上中下の3つクラスがあって、下級は切り傷なんかを、中級だったら指の切断だったらくっつくわ。上級は腕の切断でもくっつくほどよ」

「「凄いですね!」」

「えぇ!だから下級程度なら《薬学》スキル持ってても作れるけど、中級はスキル持っててしかも魔法使いじゃなきゃ無理ね。上級は作るの無理」

「《薬学》スキル!?」

「えぇ。因みにポーションはこの瓶に入ってる治癒ポーションと色違いの魔力ポーションがあるの。魔力ポーションはその名の通り魔力を補充できるわ」

「なるほど。薬屋ではこの低級ポーションしかなかったのはその為なんですね」

「田舎の薬屋だとそうね。因みにダンジョンだと全種類出るわ。更に言うとギルモ・ドゥ=ラ・マージオは古代語で魔術師ギルドって意味なの」

「ダンジョンを作っただろう文明の言葉ですか」

「そう。私たちの汗と涙と血の結晶で解読したのよ」

「頭が下がります」


と言いつつ頭を下げながら胸元を見る。


「あの・・・」

「何?」

「寒くないんですか?」

「ちょっ、どこ見てんのよ!」

「ふふふ、構わないのよ、お嬢ちゃん。このローブは冷気耐性の効果が付いたマジックアイテムなのよ」

「「マジックアイテム!?」」

「えぇ。まぁ流石にこれで今の季節は外を出歩けないけど家の中ぐらいならね」

「それもダンジョン産ですか?」

「えぇ、これはね。ただマジックアイテムにする技術、魔法付与は《鍛冶》や《皮革》、《縫製》スキルである程度出来るから結構流通してるわよ」

「な、なんだってー!?」

「うふふ。冒険者がんばってお金貯めなさいな。良い装備が生存率に直結するから」

「はい!がんばります!」

「因みに魔導具図鑑っていうのもあって・・・」

「「もう買えません!」」


「ホントに買ってくれるなんて、ありがとね」

「いえ、色々オマケしてくれてありがとうございました」

「またいつでも来てちょうだい、待ってるわ」

「はい、必ず」

「ちょっと!」

「じゃぁまたねー」

「ではまたー」


パオーン!




「いやぁー、魔術師ギルドか。僕達にはありがたいな」

「そうですね。魔法の知識を学べるにはここ以上は無いんじゃないですか?」

「物が高いのはしょうがないね。とはいえ結構な散財だったな」

「財産の半分は痛かったですけどその価値は有りますよ」

「コロリマイタケがんばらないと」

「そうですね」


「菊池君、見たまえ」

「えっ?」

「あの建物。丸みを帯びたデザインだと思ってたが女性的なイメージを出していたんだろう」

「なるほどー」

「丸屋根は子宮のイメージかな?」

「にしてはガーゴイルやら雰囲気やら恐い感じが」

「あのお姉さん・・・出来るな」

「ちょっ!セクハラですよ!」

「何を言ってるんだ菊池君。腕があるって意味だぞ」

「えっ、あっ、ちょっ」

「またねーと言いつつ、最後まで名前を名乗らなかった。僕達の名前も聞かなかった。その必要は無いって事なのか・・・」

「えっ。どういう・・・?」

「僕達の武器の使いこみ具合や僕達を魔法使いかと疑ったり」

「あー、確かに」

「ギルドの力で調べられるわよって事なんだろう」

「そこまで?」

「あのローブもマジックアイテムだったし・・・」

「確かに。高そうでしたね。それだけの財力や稼げる力がある、と」

「あぁ。油断は出来んな。ただここで知れたのは良かったと思おう」

「そうですね。まだ旅は始まったばかりですし」




「ただいまぁー!」


パオーン!


「あら、おかえり。長旅お疲れ様。奥で休んでよ」

「うん」


「はい、お茶」

「ありがと、って冷めてるわね」

「で、どうだったの?」

「んー、分かんない。もう居ないみたいで新しいネムリマイタケは納品されてなかった」

「そう、残念ね。何か分かったの?」

「領都で流通してるのはバラ売りだったから分かんなかったけど、コローの納品館に納品されたマイタケは魔石を取りだした穴1つしか傷は無かったって」

「うそっ!?他に外傷は無いの?1発で魔石を取るほどの腕か。やっぱり魔法使いかしら」

「火魔法だと火傷の跡があるだろうし同様に雷も違うよね。風水土・・・うーん」

「風が有力かしらね」


「そっちはどうだったの?なんか有った?」

「ふっふっふ」

「ど、どーしたのさ。あっ、ギャンブルに勝ったの?」

「いえ、それは負けた、ってそれじゃないのよ!」

「じゃー、何よ?」

「売れたのよ!」

「何が?ポーション?」

「ふっふっふ。魔法図鑑よ!魔法図鑑!」

「えー!?ホントに?」

「ホントにほんと」

「誰?買ったの。そんな奴、領都の冒険者にいたっけ?」

「20歳くらいの男女2人組よ。冒険者になって4か月って言ってたかしら」

「4か月ぅ?そんな子たちが魔法図鑑を?」

「魔法は使えないって言ってたけど、どうやったら魔法使えるのかって聞かれて、魔法図鑑を読めば使えるようになる可能性もなくはないわよって言ったら、目をキラキラさせてね」

「うわー。アコギー」

「嘘じゃないし。それにオマケに色々見繕ってあげたしぃ」

「未来ある若者を食い物にするとは・・・」

「ちょ、一回りも離れてないからね!」

「若者を騙してマージンゲットとはねー」

「ま、また来るって言ってたから色々助言してあげるしぃ」

「また来る、って私たちもうすぐ王都に交代で戻るでしょー!」

「あっ!そうだった。いっけね」テヘッ

「イラッ!まー、冒険者になりたてなら近い将来王都に来るかも知れないから、その時にでも教えてあげればいいんじゃない?」

「そ、そうよね!」

「で、なんて名前なの?その2人組」

「な、名前?」

「・・・もしかしてまた名前聞いてないの?」

「・・・」テヘッ

「もー!あんたってばホンっとに名前覚えないわよね!覚えようともしないしさー!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポがよく、しかし単調にならずに読んでいて飽きがこない。 [気になる点] タグ回収がほとんどされていないような気がする。 [一言] 楽しみにしています。今後も頑張ってください。
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