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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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翌日。

午前の仕事を終えてホテルに帰ると言伝が有った。


「何々。明日出陣で今日は午後から編成、閲兵するってさ」

「急ね」

「まぁ攻め込まれてるからねぇ」

「午後からという事はそろそろではありませんこと?」

「そうだな」

「うん。じゃぁ向かうか」




セーラとラーンとレヴィ、バグレスク大臣が部屋に居る。


「そう。マコルは居なかったの・・・」

「はい。しかし妙なのです」

「妙?」

「キルカ商会は殿下が払い下げた商会の施設をそのまま使用しておりますが」

「えぇ」

「権利はマコルではなくキルケという者なのです」

「キルケ・・・確かマコルがバレンダルから連れて来た者達だったわね、ラーン」

「然様に覚えております」

「マコルの所有ではないのですか」

「はい。マコル及びパーティメンバーの名は書類上何処にも有りません」

「どういう事?払い下げてお金を払ったのはマコルなのでしょう?」

「はい。私が確認しております」

「幾らで払い下げたのですか」

「1億エナです」

「「「1億!?」」」

「キルケが払ったのですか?」

「いえ。マコルが払いました。間違いありません」

「1億エナを持っていたのも驚きですけど・・・」

「はい。分割で払わせて公都オラキアに留まらせるつもりだったのですが一括で・・・」

「権利関係に載ってないという事は、マコルはキルケにタダで渡したって事?」

「若しくはキルケから渡された金でマコルが払ったか?」

「何故?」

「元々公都オラキアで商売をしたいと言っておりましたが、行商と言っておりましたし。キルケと目的が合致してキルケは店舗を、マコルは卸し先を手に入れた、という事では」

「ふーむ」

「いずれにせよマコルは権利関係に登場しておりません」

「ではマコルの所在は分からないって事?」

「そうです。しかしやはりキルカ商会とは馴染みでしょうからキルケに詳しく聞くのが宜しいかと思われます」

「そうね。そうして頂戴」

「はい」

「私に御任せ下さい」

「レヴィ」

「必ず手掛かりを手に入れて見せます」

「・・・そう。御願いね」

「はっ」

「それと、ヴォーレ殿下」

「何?」

「冒険者ギルドから問い合わせが上がっておりまして・・・」

「問い合わせ?何かしら」

「その・・・」

「構いません」

「はい。冒険者を、報酬を支払わず契約破棄したのは本当なのかと」

「「「!?」」」

「バグレスク様、それは・・・」

「現在冒険者の流出が続出しているそうです」

「何ですって?」

「危険な仕事だけをやらせて報酬を払わずに契約を破棄したと噂が流れておるそうでして・・・」

「うぐ」

「特に高ランクの冒険者に顕著でして。高ランクの依頼が達成されず難儀しているとか」

「冒険者の流出は確かなの!?」

「はい。移動届が出されております。届を出さない者達も居るでしょうから実数はもっと上になろうかと・・・」

「・・・それで問題は起こってるの?」

「はい。低ランクの者達にはまだそこまで移動する者は居ないそうで。街道の魔物の出現には増加傾向はみられないそうですが」

「が」

「高ランクの魔物が狩られない状態が続くとその魔物がいずれ街道や村に現れる可能性も・・・」

「うーん」

「それに」

「それに?」

「最悪、魔物の暴走、スタンピードの可能性もあろうかと・・・」

「スタンピード!公都にですか!?」

「はい。今は夏。人間が活発になる時期ですが当然魔物も活発になります。行動範囲も広くなって餌を奪い合いやがて餌を求めて集団になり村や街道に出るように・・・」

「それは不味いわ!弟妹達の槍玉に挙げられる格好の材料になる!」

「はい」

「で、殿下っ!」

「レヴィ」

「我等近衛隊に御任せ下さい!魔物を蹴散らし公都の安全を守ります!」

「でも魔物はスペシャリストの冒険者に任せた方が良いのではなくて?」

「そうだ姉上。我々は対人訓練はやってきたが魔物は専門外だ」

「何を言う!騎士は戦う事に特化しているのだ!人間も魔物も変わりはない!」

「しかし」

「殿下!高ランクの魔物は近衛に、低ランクは兵達に任せれば良かろうと存じます!」

「うーん。バグレスク大臣」

「はい。当面はそれで凌ぐしかないかと。冒険者は居ないのですから」

「・・・そうね。じゃぁレヴィ、お願いね」

「はっ!御任せ下さい!」

「短期的にはそれで凌ぐとして、長期的にはやはり冒険者を呼び込みませんと」

「そうね・・・それには噂の払拭が必要ね」

「払拭・・・只の噂であれば払拭はまだ容易なのですが」

「「「・・・」」」

「真実であれば難しいかと」

「くそっ!誰が漏らしたのだ!」

「幕下だったから外にも聞こえたろう。衛兵なんかにもな」

「あいつが噂を撒いたに違いない!」

「だとしても本当の事でしょう」

「ぐっ!」

「他にはクレティアン卿も考えられます」

「「「えっ」」」

「冒険者が集う国、ソルトレイク王国。国に誘う為に噂を流したとも考えられますな」

「援軍で来たのに?」

「ルンバキア公国が契約を破棄したのなら誘っても不義理ではありません。それにマコル達だけじゃなく他の高ランクの冒険者も釣れる。一石二鳥でしょう」

「くそっ!あいつめ!」

「『新選組』や『7人のサムライ』の噂も有ります。潜在的に冒険者達の不満は高まっていたのでしょう。それがここに来て表れたのかと」

「・・・公国から魔物の討伐依頼を出しましょう。報酬は必ず払うと噂が立てば、冒険者達も戻って来るのでは?」

「長い時間が掛かりますが信用回復にはそれしかないでしょう」

「報酬が払われないのが問題でしたから払われれば戻って来るかと思います」

「えぇ。直ぐには無理ね・・・」




僕達はベオグランデ軍の練兵場に居た。


「セラス姉ぇ、冒険者ばかりだねぇ」

「うん、義勇軍だな。恐らく正規軍の方は編成は終わって今は義勇軍の編成だろう」

「パーティのリーダーは集まってくれ!」


係りの者の叫び声が聞こえたのでその方に向かう。

後ろから声を掛けられた。


「バトルロイヤル勝ち残りは申告するのだぞ」

「クルル・カト」

「力の象徴だからな。高い役に就ける」

「強い敵にも当たるだろ」

「当然だ。その役を負ってるのだからな」

「勘弁だね」

「しかし戦争に来たのだろう?敵を殺しに」

「彼女達の弓がメインさ。遠くからやらせてもらう」

「お前は戦わないのか」

「リーダーが危険を負ってどうするよ」

「いや、冒険者がそれを言ってどうするよ」

「僕達は行商人だ。冒険者業はついでだ」

「ついでであの強さか。舐めてるのか」

「才能が怖い」

「全く。掴み所が無さ過ぎる。よくその軽薄さで生き残って来れたな」

「彼女達のお陰さ」

「大切にするんだぞ」

「思いは先日見せたはずだが」

「確かにな」


俺に係員が近寄って来た。


「死体男だな!」

「・・・いや。108番だ」

「大公殿下から言付かってる。お前達は大公付冒険者だ」

「そうか」

「殿下の周りに居ろ」

「居ても構わないのかい?」

「勿論暗殺出来る様な距離には駄目だ。尤も、返り討ちだろうがな」

「誰が殺るかよ、あんなバケモン」

「はっはっは。そういう事だ。じゃぁな」


係員が去って行った。


「大公付か」

「そういう約束で戦ったからな」

「決勝トーナメントか?」

「あぁ。1分もったら金と自由な身分ってね」

「そういう事か」

「そういう事。じゃないとあんなバケモンと戦うかよ」

「ふっ。なるほどな」

「死体男!」

「ん?」


遠くで呼ばれた。

振り返ると衛兵が俺を見ている。

その男の後ろに爺が居る。


「何だろう」

「また後で会おう、ロッシ」

「あぁ。またな」


クルル・カトが去って行った。

俺は衛兵の下に向かう。


「何か?」

「この御方はバティルシク様。ベオグランデ公国宰相かつ貴族院首長で在らせられる」

「ほぉ↑」

「お前に話があるそうだ。少し離れた所に移動する」

「ほぉ↓」


案内されてる途中でワッと声が上がった。

上がった方を見るとベオウルフが登場したらしい。

流石の存在感だ。

遠目でも分かる。

手を振って愛想を振りまいていた。


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