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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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⑮-21-476

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カズヒコが視線をベオウルフから外す。


(何だ、何を見た?)

(その方向は・・・!?)

(妻と娘!?)

(こいつ!!)

(ウォージャイならいざ知らず妻と娘を狙う気か!?)

(しかし奴からはウォージャイ以上に距離が有る。狙おうとしてもワシが阻むのはウォージャイ以上に易い)

(・・・何かまだ奥の手が有るのか?)

(こいつが何を考えてるのか分からん)

(ここは何か奥の手が有ると踏んで行動すべきだ)

(妻と娘が懸かっている)

(そうなるとウォージャイは・・・)

(最悪見捨てる。自業自得だ、何の関係も無い妻と娘は守らねば)


ガコッ


カズヒコの足元から何かが大公の妻と娘の方向に飛ばされた。


「む」


ベオウルフが反応する。

剣でそれを叩き落とす。


「コップ?」

(しまった!)


カズヒコはウォージャイに向かっていた。


(殺られた!)


「ひっ!」


ウォージャイの瞳に再び手刀が映り込む。


(死んどけ)

「ロッシ!」


ピタッ


すんでの所でカズヒコが止まった。


「アンナ」

「止めなさい!殺す必要は無いでしょう!?」

「殺さなきゃ君等を辱めるってさ」

「そうはさせないって大公が言ってたじゃないの!」

「信じるのかい?こいつを育てたのに?」

「大公よ!国のトップよ!守るわよ!ですよね!」

「う、うむ!約束しよう!」

「信じられねぇなぁ。息子を見たらとてもじゃねぇが」

「親父ぃ!」

「だぁってろ!」

「お、親父・・・」

「引いてくれ」

「・・・アンナ。こいつは背中から攻撃して来たんだぜ。どんな手を使って来るか分かりゃしねぇよ」

「ワシがさせん」

「どうやって?」

「首に縄を括りつけてでも好きにはさせん」

「そのまま締めちまった方が良いんじゃねぇの?」

「これでもワシの子だ」

「背中から襲うのがあんた等一族のやり方かい?今までの大公戦も卑怯な手を使って勝って来たんじゃぁねぇの?」

「親父を侮辱するんじゃねぇ!」


ブォン


「ひあっ!」


右耳が焼き切れた。


「あつつつ!いててて!」

「うるせー野郎だ。背中から襲う奴に侮辱するなって言われてもな」

「死体男」

「そういやぁまだ約束の500万も払ってもらってねぇしなぁ」

「直ぐに払おう。さっきの1000万と一緒にな」

「ふざけてんのか?」

「む」

「それはさっきまでの値段だろうが。この段になって1000万な訳があるかよ」

「むむむ」

「うちの家族を辱めようとしたんだぞ。舐めてんのか」

「しかしそれはお前もだろうが」

「何の事だ」

「妻と娘だ」

「コップで傷付くのか?獣人は柔いな」

「くっ」

「まぁ金属製だったしな、良いだろう。コップで傷付いただろう分の治療費代は減額してくれて良いぜ」

「ぐぎぎ」

「幾ら出す?」

「1200万でどうだ」

「もう片耳いっとくか」

「待て!1500!1500万と約束の500万。合わせて2000万だ!どうだ!」

「アンナ」

「私達はそいつが手を出さない様にしてくれれば良いわ」

「・・・くそっ。良いだろう。2000万で手を打とう」

「ほっ。そうか、済まんな」

「親父」

「だぁってろ!」

「・・・」

「但し、そいつが何かして来たら今度は必ず殺す。いや、両手両足とイチモツを斬り落として生きたままベオグラーダの門に掲げてやる。良いな」

「良いだろう。させなければ良いのだからな」

「小さい頃からそう教育しておけよ」

「くっ」


ベオウルフが納剣した。


「皆の者!騒がせてすまなかった!愚息の余興はこれで終いだ!祝宴の続きを楽しんでくれ!」


ざわざわざわ


大公の側仕えが寄って来て散らかった物を片付け始めた。

ウォージャイも立たされ傷口を診られている。

片腕を拾って話し合っている。

俺は拾われる前に片耳を拾った。


「おい。それを渡してくれ」


側仕えが言って来た。

俺は耳を握りしめる。


ヒィイイイン


「おい。渡すんだ」


ヒィイイイン


「おい!」

「死体男?」


ボッ


片耳に火が点いた。


『!?』

「俺の耳が!」

「死体男!」

「おめぇも腹ン中じゃ収まってやしねぇんだろ?」

「何だと!」

「俺もこの場では収めただけだ。またやろうぜ」

「死体男!」

「城から出て来い。そん時殺してやる」

「ロッシ!」

「待ってるぜ。城から出て来いよ。出てきた瞬間に攫ってやる」

「ううぅ」

「死体男!止めろ!」

「ロッシ!止めなさい!」


耳を投げつけてウォージャイの顔に当てる。


「あちちち!?」


側仕えが片耳を踏んづけて火を消している。


「俺の耳を踏むんじゃねー!」




「ロッシ!」

「アンナ」

「やり過ぎよ!敵を作らないでって言ってるでしょ!」

「もう既に敵だろう」

「それでもよ!周りの人達は収めようとしてたんだから!」

「ふん!」

「もう!ロッシ!」

「ロッシ兄ぃ。右手火傷してるよ」

「流石に熱かったよ」

「止めときゃ良いのに」

「釘を刺しておかんとな」

「派手にやったな」

「クルル・カトか」

「余興にしては派手過ぎたな」

「言っただろ。降りかかる火の粉は必要以上に消すと」

「あぁ、言ってたな」

「本当に消しそうだったわね」

「妹さんか」

「クルラ・カラよ」

「そうだっけ?覚えてないな」

「ちょっと!覚えてなさいよ!」

「何だ、覚えてて欲しかったのか?そんな態度じゃなかったようだったが」

「うぐっ」

「ははは。すまんな。ウォージャイの無体は公国中の女の知る所なのだ。それを腕と耳を斬り落とし、更にはベオウルフから大金をせしめた。一目置かざるを得んだろう」

「別に置いてくれなくても構わんよ。はぁ腹減った」

「公国に目を付けられたんじゃないかしら」

「アンナ、だったか?目を付けられたのは確かだがそれ程気に病む程の事でもない」

「「「「えっ」」」」

「この国では武が尊ばれる。ウォージャイは背中からロッシに攻撃した。しかも食ってる最中にな。恥ずべき行動は逆に蔑まれる。ロッシはそれに返礼しただけだ。しかも大公の謝罪を受け入れて収めようとしていた。その後の行動は家族である君達を思っての事でそれもこの国では好意的に受け止められる」

「公国からは特に何もしてこないって事?」

「恐らくな。仕掛けたのはウォージャイからであったし大公の謝罪を受け入れた。それにこれは私闘だ。国が出張るものでもなかろう。逆に宴を汚されたとしてウォージャイを罰する事は有っても仕掛けられたロッシを罰する事は無いだろう」

「喧嘩両成敗って事は?」

「何らかの事情が有っての喧嘩ならまだしも、一方的に吹っ掛けて来たからな。無いと思うぞ」

「そうよ。それにこの国では強さがものを言うの。吹っ掛けられた喧嘩で返り討ちにしたなら褒められこそすれ、罰せられる事はないわよ」

「そう。それなら良いんだけど」

「だろ。だから殺しときゃ良かったんだ」

「何言ってんのよ!殺したら大公が黙ってないわよ!」

「そうだよ!ロッシ兄ぃ!」

「下手したら国が相手になってますわ!」

「調子に乗るな!」

「うぅ・・・」

「はっはっは!勇者も形無しだな」

「ふふふ。リーダーじゃないの?」

「形式上はね」

「「形式上?」」

「本当の頭領はアンナだ」

「「へぇー」」

「ちょ!止めてよ!頭領ってなんか盗賊みたいじゃない!」


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