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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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「ズバリ聞きたい」

「《インフェルノ》で死ななかった理由なら話せんぞ」

「ぐっ!」

「ケチね!良いじゃない教えたって!」

「・・・君の妹さんはあれだな。世間知らずだな」

「何ですって!」

「いや、すまない」

「兄さん!」

「自分のスキルを話さない冒険者も居る。知ってるだろう?」

「それはそうだけど・・・」

「ただ特別に教えても良い」

「「「「「「えっ!?」」」」」」

「本当か!?」

「あぁ、それはだな・・・」

「「それは・・・?」」ゴクリ

「・・・それは・・・・・・・・・・・・気合いだ」

「「「「「「・・・」」」」」」

「きぃー!」

「落ち着け!クルラ!」

「この肉は美味しいな」

「ブッ飛ばしてやる!」

「はっはっは!君も選抜祭に出場すれば良かったのに」

「きぃー!」

「クルラ!」


「そういえば大公の姿が見えないな」

「まだ会場入りはしていない。この後来るだろう」

「そうか」

「しかし良くもったな」

「ん?大公戦か?」

「そうだ。大公を目指していたが間近で見て正直俺が勝てるとは思えなかったな」

「僕もだよ。ありゃぁバケモンだ」

「それはそうだな。【ランク】もAだしな」

「「「「「A!?」」」」」

「何だ、知らなかったのか?」

「A!?マジで?」

「そうだ。所詮俺達【ランク】Cには無理だったって訳だ」

「クルル・カトは【ランク】Cか!?」

「そうだ。というよりロイヤルスクランブルに参加した奴等は殆どがC以上だぞ」

「「「「「何だってー!?」」」」」

「そういうお前はまさかDか?」

「そのまさかだ」

「「D!?Dでロイヤルスクランブルに参加!?」」

「「「「・・・」」」」

「騙されたって言っただろ」

「そ、そうか。そうだったな。いや、本当に、騙した奴は殺す気だったんじゃないのか?」

「「「「「・・・」」」」」

「そ、そんな訳ない・・・よな?」

「私に聞かないでよ」

「クルル・カト、Aって結構居るのかい?」

「バケモンがそうそう居て堪るか」

「そうか、良かった」

「有名所だとベオグランデは現大公。ベルバキア公国は『リトル・ジャイアント』」

「「「「「あのエロ爺が!?」」」」」

「ルンバキア公国ではフリーエだな」

「「「「「!?」」」」」

「パープルウィッチ!?」

「そうだ。ブリッツの婆さんだ」

「フリーエさんが・・・」

「知り合いか?」

「グデッペン要塞攻略に参加してたんだ」

「「何だって!?」」

「その指揮をしてたのがフリーエさんだ」

「そうか、そうだったのか。要塞攻略に行ってたのか。噂では落ちたと聞いたが」

「その後でこっちの噂を聞きつけて来たって訳だ」

「・・・なるほど。グデッペンが落ちたのは我々にとっても喜ばしいニュースだ。これからの戦争の士気にも関わるだろう」


「あぁそうだな。それよりあんまり食事を摂ってないみたいだけど?」

「あ?あぁ。宗教的なものでな。俺達の部族はあまり調理を加えるのを良しとしないんだ」

「なるべく自然のままで?」

「あぁ。流石に煮たり焼いたりぐらいはするがね」

「なるほどね」


「君の名を聞いても良いだろうか?」

「私か?私はセラスだ」モグモグ

「セラス。その装備を見るに前衛か?」

「うん、そうだ」

「エルフが盾役とはな」

「やっぱり珍しい?」

「あぁ。今まで見た事は無いな。大概フィジカルの強い者がするからな」

「だとさ、セラス。でも君も剣士だろ?」

「流石に盾は出来んよ」

「君達は兄妹の2人パーティ?」

「そうだ」

「2人で弓か。近付いてきた所を《インフェルノ》で焼き殺すと」

「「・・・」」

「・・・何故分かる?」

「うちの娘達も弓を使うから分かるが一方の手の平が厚い。弓の持ち手の特徴だな。その厚さだと結構な年月が経ってるんだろう。装備も矢筒なんかを背負える工夫が見られる。弓を構えた時の投影箇所をカヴァーするようにもしてあるな。他には」

「なるほど。お前がバトルロイヤルを生き残った理由が分かった」

「ん?」

「クルラに聞いたが、俺達が最後まで戦っていた時に死体に紛れてやり過ごしていたそうだが」

「あぁ」

「最初は狡い奴だと思っていたが祭りが終わって考えてみると、残る事が目的であって倒す事が目的ではない。つまりお前は正しかった訳だ」

「でも兄さん」

「その場その場で最適な行動を取る事、それがリーダーに求められる事だ。戦わなくて済むんなら戦わない方が良い、必要の無いリスクを負う必要も無いからな」

「・・・」

「女だらけのパーティなら尚更だ。俺も経験あるが女が居るパーティには兎角、問題が向こうからやって来るからな」

「降りかかる火の粉は必要以上にしっかり消す主義だ」

「はっはっは。私もだ。そう言った所も大公には必要だろうな」

「うん?」

「必要の無いリスクを負わない所だ。大公はこの国のテッペンではあるがその権限は非常に制限されている」

「ほぉ」

「国の行政は貴族院という組織が担っている」

「貴族院」

「そうだ。貴族院が各種の政策を立案し実行している。大公が勝手に統治することは出来ないんだ」

「へぇ。じゃぁ大公の役割って?」

「主に軍事だな。圧倒的な武力で敵を蹴散らすカリスマだ」

「現大公にピッタリだな」

「そうだ」

「じゃぁ、大公は大して権力を持っていないのか」

「そうだ。それにベオウルフ16世には妻も子も居るが何の役職にも就いてはいない」

「何!?」

「他の公国なら妻は大公妃、子供達も跡継ぎやらでそれなりの地位が有るのだろうがここでは何も無い。勿論暗殺や誘拐しての脅迫などから守る為に警護対象ではあるが国家権力に関わる事は無いそうだ」

「へぇー。変わってるな」

「余所から来た者はそう思うだろうな。しかし建国王の死後の継承戦争の反省から初代大公が決めたらしい」

「子供に譲らなかったのか!?」

「あぁ」

「すげーな」

「初代大公は建国王の重臣の中でも最も忠義に厚い人間だったらしい。最も強い者が継ぐのだと、それが建国王の意志でもあると」

「国の運営は貴族院がすると」

「流石に大公交代毎に運営組織の人間も総入れ替えは出来ないだろうからな」

「引き継ぐだけでも大変だろうからな」

「あぁ」

「貴族院は世襲か?」

「懸念は分かるが仕方なかろう。エルフの部族でも集団を運営するには長年の経験とその蓄積が必要だ。それに貴族院は全てヒト以外の種族だ。北部に通ずる事は無いだろう」

「ヒトは居ないのか?」

「貴族院にはな。その下で働いてる組織には居る。事務業務は一部の獣人を除いては大概の獣人とエルフには不向きだからな」

「それじゃぁいかんよ」

「はっはっは。組織運営はヒトの長所だな」


わぁっ!


「ん?」

「大公殿下の御来場って訳だ」


部屋の奥のドアから警備に守られてベオウルフ16世が入室して来た。

大公の背後に警備兵とは違う服装の連中が居る。


「大公の妻と長男と長女の兄妹だ」

「役職は無いんだろ?」

「あぁ。しかし在位24年ともなるとな」

「なるほど」


大公は貴族だろう人間達に囲まれて談笑を始めた。

大公の様子をしばらく眺めた後クルル・カトとの話に戻った。

相変わらず菊池君達は料理の事を食べて話すのに忙しい。


「グデッペン要塞に居たという事はルンバキア公国で参戦していたのか」

「あぁそうだ」

「参戦する理由でも有るのか?お前の性格だと参戦しなさそうだが」

「家族がティラミルティ帝国に殺されてな」

「そうか」

「まっ、対北部に参戦する奴等の理由なんて似たり寄ったりだろ」

「そうだな」


「バトルロイヤル勝ち残りの者は集まってくれ!」


「お呼びだな」

「えっ!?何か有るの?」

「何の為の祝宴だと思ってる?」

「飲んで食って終わりじゃないの?」

「デモンストレーションだ」

「デモンストレーション?」

「これから戦争だからな。ほら行くぞ」

「えー!」

「「「「いっひぇらっひゃい」」」」モグモグ


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