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HappyHunting♡  作者: 六郎
第3章 領都ヴィヴィエント (ヴィヴィエント:カーズ、マイキー)
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領都ヴィヴィエントの商業区はかなりの人がいる。

リオンヌさんが言っていたように様々な人種がいる。


エルフ。

ヒト族と顔の雰囲気は似て男女あまり背の違いは無い。というよりも女性が高いのだろう。耳は想像より短い。総じて痩身だ。


獣人。

彼らはヒト族とは明らかに顔が違い、鼻を頂点としてやや隆起している。いや獣の顔をヒトに進化していった過程と考えれば頷ける感じだ。

特段毛深いわけではないがやはり耳と尻尾が気になる。

獣人にも種族が色々あるようで、その種族の特徴である耳と尻尾を持っているらしい。


そして、


「あれ、あの髭って・・・ドワーフか?」

「はい。あれがドワーフです」


髭は予想通りだが、体格が。

まずヒト並みか少し高い。

筋肉質という言葉じゃ大人し過ぎる、マッスルだ。


「俺は今猛烈に異世界に来たことを実感してるよ」

「前の街にも少しですが見ましたけどね。冒険者になってからは確かに見ませんでしたね」

「ヒトも白人・黒人・黄人、色々いるが、獣人にも皮膚の色が違う人達がいるんだね」

「そうですね。エルフとドワーフはそれぞれ同じような色ですね」




そうやって街並みを見物しながら歩いていた。


「なんだこの建物は!?」

「何でしょうね?」


周りとは一線を画する建物に目を奪われる。

全体的に丸みを帯びた建物だ。

石造りだろうか、石でこの丸みを出すなんて凄いな。

特徴的な丸屋根の下の雨樋のガーゴイルがこちらを見下ろし笑っている。


「本物じゃないよな?」

「さっ、流石にこの街中で・・・ないでしょう」


煙突からは湯気が出ている。人はいるみたいだ。


「ちょっと入ってみるか」

「えっ!入るんですか?」

「気にならないか?」

「そりゃー、気になりますけど」


木戸には木が彫られている。

もの凄い勢いの数の枝が伸び、根もそれに負けていない。

取っ手のガーゴイルの口に突っ込んで戸を開けた。ガーゴイル好きだな。


「ごめんくださ「パオーっ!」」


象の鳴き声が響く。


「おわっ!?」

「ひえっ!?」


室内はそんなに広くないせいか、結構響いた。

物が展示されてるところを見ると店舗のようだ。

陳列物を見ると雑貨や本、食料やポーションなんかが置いてある。


「あら、お客だったの?」


胸元あらわなローブに長髪の女性が奥から出てきてカウンター越しに声を掛けてきた。


「どっ、どーも。始めまして」

「こちらこそー。何かご用?」

「あのー、ここはどういうお店ですか?」

「なんだ、知らずに来たの?」

「えぇ・・・」

「そう。あなたたち領都は初めて?」

「そうです」

「そう。ここは『魔術師ギルド』よ」

「「まっ、魔術師ギルド!?」」

「知らないの?」

「申し訳ありません」

「そう。私たちの努力もまだまだね」

「「?」」

「魔術師ギルドは結成されて日も浅いから仕方がないわね。こっちいらっしゃい、教えてあげる」

「はぁ・・・」

「魔術師ギルド。正確には『ギルモ・ドゥ=ラ・マージオ』って言うの。魔法使いのギルドよ」

「魔法使いだけのギルドですか!?」

「いえ、それは正確じゃないわね。簡単に説明するとね。昔っから女性は虐げられてきたから女性の地位向上を目指す集まりなの」

「女性の地位向上!」

「えぇ。魔法使いの7,8割が女って知ってる?」

「「はい」」

「にもかかわらず虐げられてきていい加減頭に来たわけよ。戦争やら魔物退治に扱き使われて。子供産んでも子育て手伝わないわ、稼ぎが少ないわ、そのくせ威張るわでトサカに来たわけよ」

「お、おぉ」

「んでギルド作って物申す!って訳」

「「先進的ですね!」」

「でしょっ!分かってるわね、あなたたち。魔法使い?」

「「いえ、違います」」

「そうー、他の人とはなんか違うと思ったんだけど」

「「・・・」」


「それで女性の地位向上を目指し、社会に影響のある魔法使いが結束してギルドを作って、国や貴族と話し合ってギルドに協力してくれる国や領主にこちらも協力しようってなったの」

「ほー。国や貴族がよく協力しましたね」

「色々あったそうだけどね」

「出来て日が浅いって言ってましたけど」

「30年くらいかしら」

「結構経ってますけど!」

「女を蔑視するやつって魔幼虫みたいに湧いてくんのよ。だから急には変わらないわよ。一歩一歩着実に、ね」

「いやホント性犯罪者は去勢して懲役奴隷にすりゃいいんですよ」

「あら。お兄さん話分かるわね。恋人同士?」

「いえ違います」

「あらー、じゃぁお姉さんがもっと詳しく教えてあげよっか?」

「ホントで「あのっ!」」

「あの、さっき魔法使いだけのギルドじゃないって」

「えぇ。流石にわたしたちも女だけでやっていこうとは思ってなくてね。魔法に素養がある人なら入れるの」

「素養がある?」

「そうよ。曖昧でしょ?素質なら魔法が使えなきゃいけないけど、素養なら知識があればいいの。つまり魔法が使えなくても入れるわけ。女だけじゃなく男も入れるのよ。それで男社会にも協力者を作っていくの」

「ってことは王様やここの領主様は・・・」

「えぇ。ギルド会員よ」

「凄いですね!」

「でしょ。30年の成果よ」

「コンテの街にはありませんでしたけど」

「流石に田舎までは手が回らないわね。魔法が必要な仕事なら、受けてから田舎に派遣するってわけ」

「冒険者みたいな依頼ってことですか?」

「そう、そんなとこ」

「ここ掲示板は無いんですね」

「大体私たちのところに来る依頼は大きいものが多いから、受注して幹部で話し合って派遣する人員とか決めるのよ。小さいのはそれこそ冒険者ギルドに依頼ね」

「大きい依頼・・・」

「えぇ。盗賊団とか国同士の小競り合いとかね。盗賊なんかは女の敵だからね!あいつらのタマを火魔法でスクランブルエッグにしてやるのなんてサイッコーにスッとするわよ!」

「サイッコーですねっ!」

「でしょでしょ!お兄さんやっぱ分かるわね!どう?ギルドに入らない?」


「あのっ!魔術師ギルドって王都や領都にしかないんですよね?建物ってみんなこんな建物なんですか?入って見るまでなんなのか分かんなかったんですけど」

「あー、この店にも看板とか有るんだけどさぁ、とっぱらっちゃった!あたしが!あははは」

「「えー!」」

「なんかー、そのほうがー、わけわかんない感じー、魔法使いっぽくてー、良いかなって」キャピッ

「た、確かに雰囲気はありましたね」

「でしょでしょ!まー、お茶でも飲んでよっ!」


「あのっ!でも国同士の争いにも参加するんですか?」

「まー、それは冒険者も一緒でしょ?」

「えっ、冒険者って戦争に参加するんですか?」

「あれ?なったばっかり?」

「はい。4か月ほどです」

「まぁ!初々しいわね。でもその武器、結構使いこんでるみたいだけど・・・そうね、冒険者は基本街を守る義務があるから参加ね」

「でも敵の国出身の冒険者が街に居た場合は?」

「普通いきなり開戦にはならないからその前に避難してるわね。いきなりだったら申告して拘束。申告をしなかったり拘束を拒んだ場合、敵対行為と見做されて罰せられるわ。拘束って言っても申告したんだから犯罪者的な扱いじゃないけどね」

「戦争かー。嫌ですね」

「そうね。でも好きな連中もいるのよ、特に男に多いわね!風魔法でチョン切ってやる!」


「じゃ、じゃぁ。魔術師ギルドがある街は女性に優しい街ってことですか」

「基本的にね。まぁ、お互いに利用し合う仲って訳だけど。少なくともあからさまには来ないと思うわよ。って言っても下々には言うこと聞かないヤツもいるしね。冒険者とか」

「なるほど!」

「冒険者のセクハラもギルド発足の理由の1つでもあるのよ。あなたも気をつけなさいね!」

「は、はいっ!」


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