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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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⑮-12-467

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《うおおおおおおおおおおお!》


炎に自分から突っ込んで行った男が炎の中から現れエルフを負かした。

観衆は今見たものが信じられず固まっていたが銅鑼の音に気付かされると喚声を上げた。




(馬鹿な・・・)


突っ立ったままのベオウルフ。


(確実に次の対戦相手はクルル・カトだと思って対策を考えていたが)

(まさかあの死体男が勝つとは)

(しかも《インフェルノ》を真正面から受けて何ともないだと!?)

(いや、何ともなくは無いようだな、多少火傷しているようだが)

(ワシでも死ぬぞ。強いって言っても人間には変わらんし)

(しかし火傷したとなると《インフェルノ》を受けたのは確実という事だろう)

(何らかのスキルで避けたという訳じゃなさそうだ、確実にあの炎の中に居た)

(どういう事だ、どうやってあの地獄を抜けた)

(俺も一応対策は考えていたが)

(対策と言ってもなんて事は無い、やられる前にやるってだけだが)

(それだけにあの死体男、デッドマンがどうやったのか・・・)

(次はあいつとだな)

(ふふふ)

(楽しみだ)


「で、殿下」

「ん?」


(おっと、驚きの余り立ってしまっていたようだ)

(はぁ~面倒くさ)

(立って見たっていいじゃん)

(大公ってのも疲れるのぉ~)

(早く誰か強い奴出て来てくれんかのぉ~)


「オホン」


ベオウルフが席に着く。




『きゃー!!』

「勝った!勝ったよあんちきしょー!」

「褒めてんのか貶してんのかどっちよ!」

「やっぱドラゴンバスターね!」

「カズ、ロッシ!流石リーダーね!」

「ロッシ兄ぃ!」

「ニャー!」

「流石です!」

「信じてたぞ!」

「オッズは!?」

「1.7!」

「エルフが1.1だったから大番狂わせね!」




俺は自分のブースに向かおうとした。


「ロッシ!」

「ん?」

「戦争に参加するんだな!」

「あ、あぁ。そのつもりだ」

「必ず!必ず参加しろ!」

「命令されるのは好きじゃねーんだが。友人の為だ、お前の為じゃない」

「それで良い!また会おう!」

「縁が有ったらな」


クルル・カトが去って行った。

俺は競技台を降りてブースに行き、ドカッと椅子に座った。


「ふー!負けた奴より勝った奴の方が怪我が大きいってどーよ」


熱を軽減したが追いつかずにあちこち火傷やら水膨れやらが有った。


「お、おめー」

「ん?」

「す、すげーな!おめーすげーよ!」

「な、何だ!?」

「あのクルル・カトの炎浴びて生きてる奴なんて初めてだぞ!」

「回復ポーション取ってくれ」

「あ、あぁ!ほらよ!」


上級回復ポーションを火傷に掛けて余りは飲んでおく。


「いや、すげー熱かったよ。死ぬかと思った」

「ふつー死ぬんだよ!ふつーじゃねーの!お前!」

「そうか?」

「勝つと思ってたぜ!」

「俺に賭けてたのか?」

「ぐっ!」

「・・・」

「・・・」

「まぁ良い。どうせもう棄権だ」

「なっ、何言ってやがる!次は大公だぞ!ベオウルフだぞ!?」

「だからだよ!当り前だろ!」

「こんなチャンスねーんだぞ!」

「要らねーし!早く白旗掲げろよ!」

「待てって!良く考えろ!」

「考えてんだよ!お前なんかよりもな!」




バァアアアンンン


2回戦緒戦の結果を決める銅鑼が鳴った。


《うおおおおおおおおおおお!》


「あの将軍を破った獣人!また勝ったね!」

「これで決勝進出だよ!」

「不戦勝者と戦わないから有利ね!」

「あれ!ロッシ!何か揉めてない!?」

「あっ!ホントだ!どうしたんだろ!」

「係員と揉めてますね!」

「大方戦いたくないと言ってるのではないか!?次は大公だし!」

「「「有り得る!」」」




大公が競技台の真ん中でカズヒコのブースを見つめていた。


(ぽつーん)




「棄権!棄権するぞ!」

「待て!ちょ!今の無し!」

「おめーが決めんじゃねーよ!」

「ベオウルフと戦えって!後悔するぞ!」

「お前に譲ってやるよ!」

「相手になる訳ねーだろ!」

「俺もだよ!」

「おめーには何かある!俺には分かる!」

「俺に賭けてなかった奴が偉そーに言ってんじゃねー!」


係員が走って来た。


「早くせんか!」

「棄権!棄権する!」

「あー!待て!今の無し!無しだー!」

「どうなってる!?」

「俺が棄権したいのにコイツがさせてくれねーんだよ!」

「棄権するのか!」

「そうだ!」

「いや待て!こいつは戦闘後で混乱してるんだ!もう少し待ってくれ!」

「混乱してるのはてめーだ!」

「早くしろ!」

「棄権って言ってるだろ!」

「ちがーう!違うよー!ポーション飲み過ぎて頭が働いてないんだ!」

「じゃぁどっちにしろ戦えないだろ!」

「お前なら本能で戦える!」

「本能は逃げろって言ってんだよ!」

「どうした!」

『ベッ、ベオウルフ殿下!?』


大公が俺のブースまで来ていた。


『ははっ!』


世話係と警備兵達が頭を下げる。


「棄権!棄権しますよ!」

「あっ!こらっ!馬鹿!」

「棄権!?降りるのか!?」

「そーでーす!」

「いいえ殿下!火に巻かれてちょっとイっちゃってるだけです!直ぐに戻って来ます!」

「僕もう戦えましぇん」

「帰って来い!」バチン

「私は其方と戦えるのを楽しみにしていたのだがな」

「戦えましぇん」

「まだだー!まだお前は戦える!殿下もあぁ仰ってるだろ!」バチン

「ふむ。どうしたものか」

「あっ!ちょうちょ!蝶々ー!」

「待て!何処に行く気だー!」

「ではこうしよう!戦うのなら負けても100万エナ払おう!どうだ!?」

「安過ぎて全くやる気出ないわ!」

「こらっ!?殿下に向かって!」

「では500万エナでどうだ!?」

「・・・」


500万エナか。

今の所バトルロイヤルの勝ち抜けで100万。

クルル・カト撃破で200万の合計300万エナだ。

負けても500万で合計800万。

悪くない。

というか即行降参すれば良いんじゃないか。


「但し1分以上経ってからの敗退に対してだ!」

「?」


なるほど。

即行降参は見抜かれてたか。

こいつらは戦闘体質。

戦いたいから条件を出している。

それは当然だろうな。


「殿下はこれまで1分以上掛かった事が無いんだ!」

「・・・戦いに!?」

「そうだ!さっきのも見たろ!瞬殺だっただろ!」

「確かに!」

「どうだ!?」

「棄権します!」

「お前!殿下の御誘いを!」

「死んじゃ元も子もねーだろ!俺は戦争しに来たんだよ!」

「リィ=イン教国とのか!?」

「あぁ!」

「ふーむ。ではこうしよう。貴様は冒険者だろう!?」

「あぁ!」

「金に加え、隊に編成するんじゃなく独立部隊にするというのはどうだ!?」

「!?」

「俺のパーティはどこにも属さず好きにやらせてもらえるって事か!?」

「流石に好きにはさせられないが。ある程度の配慮は約束しよう!」

「うーむ」

「1分経てば合図の銅鑼を鳴らす!」

「1分経てば降参しても良いと!?」

「うむ!」

「それで独立部隊と500万エナ!?」

「うむ!仮に1分以内でも戦って負けたならば金は無いがパーティの配置に配慮はしよう!」

「うーむ」

「自由が好きな冒険者なら魅力的な条件だと思うが!?」

「・・・良いだろう!」

『良し!』


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