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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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⑮-10-465

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「次の対戦相手が決まったよ!」

「あの番号って!」

「エルフだね!」

「あの魔導士だぞ!」

「2属性持ちのあのエルフ!?」

「そうだ!」

「さっきまで魔法で暴れまわってたあのエルフ!?」

「そうだ!」

「クルル・カトだ!」

「知ってるの!?」

「あぁ!勿論な!」

「この国で火魔法を使わせたら並ぶ者が居ないって評判の冒険者よ!」

「「「「えー!?」」」」

「普通そういうの軍属じゃないの!?」

「エルフはそういうの嫌う人多いのよ!」

「そうなんだ!」

「更に複合魔法の爆炎魔法も使うわ!」

「「「「えー!?」」」」

『ロッシ!』

「ニャー!」




「あのエルフかよ」

「あぁ!あのエルフだ!」


《偽装》で死体に紛れて見ていたが火と風の2属性持ちだった。

複合して使ってたな、確か爆炎魔法だったか。

炎を操る魔法のように思えた。

俺はあいつが群がる連中を火達磨にしてるのを見て死体に隠れたんだ。

よりによってあいつとかよ。

はぁ~。

ホントにツイてない。


「おぉ!」

「どうした?」

「やったなお前!」

「だから何が?」

「もしエルフに勝ったらベオウルフ殿下と勝負出来るぞ!」

「げっ!?」


絶対やだ!

9人の中で1番強い魔力持ちじゃねーか!

俺より遥かに強い。

絶対負ける!

負ける自信が有る!


「棄権だな」

「何言ってやがる!殿下と勝負出来るなんてチャンス滅多にねーぞ!」

「要らねーよそんなチャンス!」

「お前な!こん」


ドゥオオオンドゥオオオンドゥオオオン


「っと!銅鑼だ!舞台に上がれ!」

「ん?」

「客見世だ!」


促され競技台に上がった。

他の参加者達も上がっている。

8人の参加者が競技場の中心に集まった。

大公は居ない。

改めて見るまでもなくヒトは俺だけだ。

視ると中には魔力を大分失ってる奴も居る。

エルフも結構失ってるようだ。

しかし魔力ポーションを飲んだのだろう、回復していってる。


アナウンサーが出て来た。


「これより決勝トーナメントを開始する!」

《うおおおおお!》

「改めてトーナメントに進出した勇者達に称賛を!」

《うおおおおお!》


称賛って言ってるだろうが、威嚇すんじゃねーよ!


「それでは第1試合を行う!当該者以外は舞台を降りろ!」

「さっさと降りろ!」


警備兵が叫ぶ。

自分のブースに帰った。


「何だったんだ?」

「どんな状態か見せる為だ!賭けの対象だからな!」

「まだやるのかよ」

「当然だ!稼ぎ時だぜ!」


競技台の2人が立ったままだ。

スタンド前ではさっきの集金と集計が再び始まった。

俺のブース近くでもやっている。




「始まるねー!」

「ドキドキするわー!」

「興奮するー!」

「ロッシは・・・4試合目ね!」

「休めるねー!」

「そんなに疲れてなかったと思うけど!」

「まぁ休めるに越した事は無い!」




《うおおおおおおおおおおお!》


「まさか嘘だろ!」


俺の世話係の男が叫んだ

シードの将軍がバトルロイヤルの生き残りの獣人に負けた。

将軍は死んではいない。

世話係の男と会場の雰囲気からするとどうやら大番狂わせだったみたいだ。

紙吹雪が舞う。


「そういや俺の横で賭けてたな!将軍にか!」

「あぁ!いやまさかだよ!これだから選抜祭は面白い!」


将軍が担架で担ぎ出される横を次の試合の2人が競技台に上がって行く。

顔見せの時間だ。

そして賭けが始まる。

ちなみに試合中も賭ける事は出来る。

勿論その試合ではなくそれ以降の試合のだ。




「きぃー!負けたー!」

「すったわね!バイヨ!」

「まさか将軍が負けるなんてね!」

「私も固いと思ったんだけどねー!」

「アンナ達は賭けないのかい!?」

「ロッシ以外は賭けないわ!だって分かんないんだもん!」

「まぁそれが正解だね!」

「次始まるよ!」




《うおおおおおおおおおおお!》


一般参加者同士の戦いが終わった。

死人も出ていないようだ。


「いよいよだぞ!」


世話係が叫んだ。


〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉


ベオウルフが椅子から立って競技台に向かって行く。

一般参加者と同じく中心で止まって観客に手を振っている。


「倍率1.0倍!?」

「まぁそんなもんだろ!」

「賭けにもならねーってのか!?」

「在位24年は伊達じゃねーって訳さ!」

「歴代最強・・・」

「あの御方が居る限り戦争に負ける訳がねぇ!」


フンフンと挑戦者の鼻息は荒い。

大公とやるってのにブルってる感じは見えない。

そこら辺は流石だな。


バァアアアンンン


銅鑼が鳴った。




《うおおおおおおおおおおお!》


「それでも瞬殺かよ!」

「相手にならんな!」


大公が救護者を呼んで自ら回復ポーションを掛けてやってる。

王者の風格だ。

挑戦者は担架に乗せられ退場していく。

大公はそれを見送って観客に手を振りつつ競技場を後にした。


「強過ぎる」

「あったりめぇよ!ベオウルフだぞ!」

「ベオウルフは魔法使いか?」

「いや!魔法を使わずここまで勝って来たんだ!だからスゲーのさ!」

「絶対棄権する!」

「その前にエルフだろっ!」バン


背中を叩かれよろめきながら競技台へ上がって行く。

離れた所からエルフも上がって来る。

中央でお互い少し離れて止まった。

2人共メインスタンドの方を向く。


ワァーワァーワァーワァーワァー


エルフの男だ。

流石エルフ、魔力を大分失ってるが魔力が強い。

細身の剣を持っている。

軽装備だ、エルフだな。

エルフをジロジロ見ていた。


「何だ?」

「兜はしないの?」

「お前の刀が当たる事は無い」

「ほえー」


すげぇ自信だ。

エルフってプライド高いのな。

メインスタンドを見やる。

ミキがこっちを望遠鏡で見ている。

ハンドサインを出した。




「2本よ!」

「金は有るんだからもっと賭けなよ!」

「オッズは!?」

「・・・1.9!」

「さっきより低いね!」

「2人だけだからね!」

「エルフは!?」

「1.2!」

「ロッシ兄ぃの方が強いのに!」

「まぁ最後逃げてたしね!人気は無いよ!」

「でも私達には都合が良いわ!賭けるわよ!」

「あいよ!」




1.9か。悪くない。

締め切り後にはもっと低くなるだろう、2択だしな。

バトルロイヤルで12倍に増えた。

賭金200万エナでも少ないかもしれないが欲張ってもあれだ、この辺が潮時だろう。

そこにエルフの男が話しかけて来た。


「お前は何でロイヤルスクランブルに参加した」

「ん?」

「本気で大公になれると思っているのか」

「騙されて申し込んだんだ」

「騙された!?ふっふふふふふ」


何だろう、怖い。

先入観か被害妄想かもしれないがロイヤルスクランブルに参加する奴に碌な奴は居ないと思っている。


「騙されて、か。ヒトのお前が参加する事を理解していたなら騙した奴は余程お前を嫌っていたんだな」


そーゆー事なのー!?

何かしたか俺!?

酷い事でもしたか!?

レディに失礼な事でも言っ・・・たかも。

かもな・・・最近忙し過ぎてよく覚えていないけど、かもな。

・・・・・・・・・・

控えよう。

どこで恨みを買うか分からん、特にこういう世の中だ、マジ、殺されかねん。

ミキも言っていたな、敵を作る行為は控えろと。

・・・あれ、前もこんな反省したような・・・


「名前を聞こうか」

「ん?」

「俺はクルル。クルル・カトだ」

「ロッシだ」

「ロッシ。ヒトのお前がバトルロイヤルに生き残ったのは称賛に値する。しかしだからこそここで死ぬ必要は無いだろう。降参しろ」

「負けそうになったらね」

「俺の魔法の前では間に合わない。お前が降参を口にしようと口を開けた時、炎がお前の体内を燃やし尽くす」

「そこは手加減してくれよ」

「ふっ。そんな甘い奴がロイヤルスクランブルで生き残れると思ってるのか」

「駄目か?」

「勝負が始まったら相手を殺す気でかかる。じゃなきゃこちらが殺られる」

「この国は合わないわ」

「バトルロイヤルの賞金を持って国に帰れ」

「戦争に参加しに来たんだよ」

「俺もだ。だったら尚更だ、降参して参加しろ」

「お前は優しいんだな」

「大公になるんだ。国民に慈悲を与えるのは当たり前だろう」

「戦争が終わったらこんな国出て行く」

「忠告はしたぞ」

「恩に着るよ。俺は恩と恨みは返す男だぜ?」


バァアアアンンン


銅鑼が鳴った。


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