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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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ザッザッザッザッザッザッザッ


周りに居た警備兵が輪を縮めながら競技台に上がって来る。

俺は無理矢理起こされ連れて行かれる。

ん?

あれ、終わったの?

縮まった先の中央に生き残りが追い立てられる。

アナウンサーが右手を上げた。

警備兵たちが槍を上げ石突を地面に打ち鳴らす。


ドォン!


喚声が止む。

アナウンサーが手を降ろした。


「バトルロイヤルの終了を告げる!生き残りには30分の休憩を与える!30分後に決勝トーナメントを開始する!」

《うおおおおおおおおおおお!》


恐らくハズレ券だろう、紙吹雪がコロシアムの中の風に乗って舞っていった。


『きゃー!!!』

「やった!」

「やったわー!」

「残ったー!」

「ロッシ兄ぃが残ったー!」

「ニャー!」

「オッズ!オッズを見ろ!」

『12.3倍!』

「い、いちおく!?」

「1億2300万エナよ!」

『!?』

『きゃー!!!』

「あたし達も100万賭けりゃぁ良かったねぇ!」

「今更よ!」

「それでも123万よ!123万!」

「まさか本当に残っちまうとはねぇ!」

「何よバイヨ!信じてなかったの!?」

「いやそういう訳じゃないけど・・・いざ目にするとねぇ!」

「分かるわ!あの細腕でワイバーン倒したって言われても信じられないもんね!」




8人か。

俺合わせて8人が残った。

警備兵に囲まれた生き残りを見る。

多いのか少ないのか分からんが何とか生き残ったな。

おっ!?

エルフ!?エルフが居るぞ!?

マジかよ!こんな乱戦にエルフ!?

魔法か?魔法だな。

喚声と地響きに掻き消されて聞こえなかったが魔法の気配はそこここに有った。

恐らく使っていた内の1人だろう。

それに剣も使う。

魔法剣士か、カッケーな!

後は殆どが獣人、ドワーフが少数。

こいつ等にシード合わせた決勝トーナメントか。

早々に降参しよっ、怪我したくねっ。


「おい!やったな!マジで生き残るたぁなー!」


控室で俺を注目するって言ってた兵士だ。

近付いてくる。


「俺がお前の担当だ!お前には小遣い稼ぎさせてもらった!ありがとよ!」

「賭けたのか?」

「あぁ!面白そうだったんでな!」


これだ。

命のやり取りが面白そう、だもんな。

敵わんよ。


「こっちに来い!」

「どこへ行く!?」

「アリーナで休憩だ!」


男に連れられ競技台を降りた。

観客席近くのアリーナには警備兵がズラッと並んでいる。

その内側に生き残った者達用にスペースが設けられていた。

椅子に座る。


「ふぅ~」

「先ずはバトルロイヤル勝ち抜きおめでとう!」

「どーも」

「スタミナポーションを飲んでおけ!」

「えっ!?」

「はっはっは!知らなかったのか!回復、魔力、何でも揃ってるぞ!」

「へー!」

「何本でも飲んで良いぞ!後でどうなろうと知らんがな!はっはっは!」


流石です。

俺はスタミナポーションを飲む。


「どうだ!行けそうか!?」

「次か?」

「そうだ!」

「あぁ」

「よーし!」


男が係員に合図を出す。

係員が赤旗をポールに掲げた。

他の生き残りを見ると白旗のポールが有る。


「白は?」

「棄権だ!」

「棄権?」

「あぁ!バトルロイヤルで手酷くやられたんだろう!回復ポーション2本使ってスタミナポーションが飲めないんだろうな!」

「そうか。体力無いから次に勝つ見込みは無いと」

「そーゆーこった!」


そうかしまった!

棄権すりゃぁ良かった!

1000万以上稼いだんだ、棄権しても良かった。

まぁいい、いざとなったら場外に出れば良いだけの話だ。


「今の時点で100万エナは貰えるんだよな?」

「あぁ!次に勝てば倍額貰える!」

「200万!?つまり賞金は300万エナになると!?」

「その通りだ!やる気出て来ただろ!」

「負けたら今までの賞金全部没収とかはないよな!?」

「そんなケチ臭ぇー事言わねーぜ!それまでの獲得賞金が支払われる!」

「そりゃ安心だ」

「棄権した奴もその金持って世界に宣伝してくれる!そんで世界中から強ぇー奴が集まるって訳さ!」

「なるほどな!」


視線を今まで居た競技台に移すと、死体を片付けている所だった。


「何か食う物あるかい?」

「今から食うのか!?」

「さっきベオグラーダに到着したばかりなんだよ」

「はっはっは!ギリギリの旅だったんだな!」

「いや騙されて参加させられたんだ」

「だま・・・はーっはっはっは!テメー気に入ったぜ!はーっはっはっは!」

「何か、果物が良いな」

「あぁ良いだろう!おい!何か果物を見繕って持って来てくれ!」


係員に指示をする。


「おっ!全員分の旗が上がったみたいだな!」

「そうか」

「棄権は・・・2人か!」

「6人が残ったと。じゃぁ『ワァーワァーワァーワァーワァー』!?」

「シードの奴等がお出ましだぜ!」

「シード・・・って事は!」

「そうだ!大公!ベオウルフ16世その人だ!」


ワァーワァーワァーワァーワァー


メインスタンドを振り向くと大公が階段を降りて来ている所だった。

観衆に手を振りながら歩んでいる。

やがてスタンドとアリーナを結ぶ戸を押し開いて俺達と同じ地に降り立った。


〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉


「歓声すげーな!」

「そりゃぁそうさ!現大公は在位24年!歴史上最長を誇る歴代最強と言われてるんだぜ!」

「マジか!?」

「マジだ!」


〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉


「他のシードは!?」

「2人だ!1人は軍の将軍!もう1人は冒険者だ!」

「冒険者がシード!?」

「公国で目覚ましい活躍をした者が推薦される!特に冒険者じゃなくっても良い!」

「へー!」

「ほら!果物だ!」

「ありがとう!」モシャモシャ


隣のブースから係員が箱を抱えてやって来た。


「箱の中から玉を1つ掴み出せ!」

「・・・ほらよ!」


玉に書かれた数字を控えて次のブースに移って行く。


「組み合わせか!」

「その通りだ!ちなみに大公殿下も御引き為される!」

「なっ!?3人のシードと6人の生き残り。1人は不戦勝だろう!?大公が不戦勝になるんじゃないのか!?」

「いーや!平等に御引き為される!」

「マジか!?」

「マジだ!」


なんと言う戦闘体質!

正直もう戦いたくない!関わりたくない!

しかし不戦勝も有り得るんなら棄権しなくて良かったかも。


「ちなみにお前等みたいな一般参加とシード組の玉は違う!」

「シード同士やり合わないって事か!」

「そうだ!シード組は必ず一般参加組と当たる様になってる!」

「なるほどな!」

「組み合わせが出たぞ!」


男が指さしたメインスタンドを振り返る。

さっきのオッズ掲示板は6人の番号と2人のシード、そして大公の9人しか残っていない。

そして余白には対戦の組み合わせが掲げられていた。


「やったな!エルフとだぞ!」

「マジか!?」

「マジだ!」


くっそ!

不戦勝じゃなかった!

やっぱツイてねーな!

しかもエルフだと!?

魔法剣士じゃねーかよ!

ガチムチ系の方がやり易かったってのに!

あー!ツイてねー時はトコトンツイてねーな!


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