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HappyHunting♡  作者: 六郎
第15章 マンイーター カタルシス (ロッシ、アンナ、ルーナ、カヤ、セラス)
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⑮-07-462

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「諸君!これより大公選抜祭を開始する!知っているだろうがリィ=イン教国が我々の領土を侵している!今回の出場者の中で強者が現れれば!即戦力として引き連れ彼の野蛮人共を打ち払う我が国の兵士になって貰う!」

《うおおおおお!》


フガー!フガー!


俺の周りの連中の鼻息が荒い。


「出場者よ!己が手で己が未来を掴み取れ!」

《我等は共に!ベオウルフと共に!》

《死して家族の盾となり!御霊は建国王の従者となる!》

《うおおおおお!》


俺の周りの連中ですら唱和している。

死ぬ事前提の発奮話って怖い!

ベオウルフがまた片手を上げて自分の席へ座った。


〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉

〈ベオ!ウルフ!〉


ワァーワァーワァーワァーワァー


「聞いたな野郎共!」

「どうせ1度しかねー人生だ!」

「テメーの骨は拾ってやる!」

「テメーの手でテメーの未来を掴み取れ!」

「悔い無ぇー、生き様見せやがれ!」


バァーンバァーンバァーン


警備兵が競技台から走り去っていく。

そのままアリーナに陣取り競技台を囲んでいる警備兵の輪の中に入っていった。


始まるのか!?

始まっちまうのか!?

有無を言わせず参加させられた選抜祭!

即断即決が苦手で重要な案件は取り敢えず持ち帰る日本人にこの流れは戸惑うばかりだ!

しかしここまで来たらそうも言ってられん!

先ずは死なない事だ!

大公狙ってるだけあってここに居る連中は殆どが俺より魔力が強い!

俺に出来るのは先ず死なない事!

連中を見ろ!

俺を見てる!

連中も俺を見てる!

1番勝てそうな奴を見てやがる!

派手に目立てば取り立てられるって言ってたしな!

リィ=イン教国が攻め込んで来てる!

ヒトに対してド派手に勝てば印象も良かろうよ!

来る!

こいつ等俺に来やがるな!




ベオウルフ16世が側仕えに頷いた。

側仕えが魔導士に合図を出す。

魔導士が頷いて詠唱を始めた。


「《ファイアーボール》!」


魔導士から放たれた火の玉が競技場の中央に向かっていく。

コロシアム中の人間達がその火の玉を見ている間、呼吸をするのも忘れていた。




ズガァアアアンンン


『おりゃあああああ!』


くっ!?

来やがった!

俺の周りの男共が一斉に向かって来る!

こいつ等知ってたな!

俺はこんな演出知らなかったから爆発に思わず目を瞑ってしまった!


『死ねおりゃあああああ!』


殺す気満々じゃねーか!


俺はバックステップした。

パドックで円を描きながら回っている間、あらかじめ競技場の足場は確認してある。

競技場は円形の石畳。

その一段下の外は土だ。

大公演説中にもバックステップ先の足場を確認してある。

着地も問題無い。

競技場の縁ギリギリまで移動する。

男共も釣られて走りながらやって来る。


『どりゃあああああ!』


飛び掛かって来た。

それを軽く躱す。


『ぶわあああああ!?』


飛び掛かって来た男共はそのまま競技台から落ちて行った。


第2陣が走って来る。


『おりゃあああ!』


先に落ちた連中を様子見の為に見送った奴等だ。

多少頭は回るのだろう、1人1人掛かって来る。

1人躱し回し蹴り。

蹴られた奴は競技台の下に。

また1人掛かって来て躱して回し蹴り、競技台の下に落ちてゆく。

そうやって数人が落ちていったのを見て連中も走り寄って来るのを止めた。

当初の目論見が消えて少し躊躇の時間が出来た。

そこに大柄の男が連中の背後から現れる。


「《マイティ・ストライク》!」


嘘だろ!?

俺の前に居た連中をぶった斬りながら大剣を俺に振るって来た。

巻き添えもいいトコだ!

何人かの体が上下に分かれていく。

こんな奴が大公に!?

冗談じゃねー!

コイツはここで殺した方が世の為だ!

バックステップで大剣を躱す。

しかしもう後が無い!




『ロッシー!』

「やばいよ!あいつ何なの!?殺すの前提でやってるじゃない!」

「稀にあぁいう奴も居るんだよな!」

「冗談じゃないわ!」

「ロッシ兄ぃ!頑張れー!」

「ニャー!」


ジョゼがマヌイの頭に覆い被さり声を上げていた。




「ぎっひっひ!もう逃げ場はねーぜ!」

「逃げる?」

「大人しく俺の引き立て役を全うしろや!おらっ!」


また大剣の水平斬りが来る!

これだけの大きさだと迫って来るだけで気のせいか圧力を感じるな。

勿論気のせいだが。

気のせいの圧力を物ともせず飛び上がって大剣を避け、


「《土想造コントロールアース》」

「ぶわっ!?」


競技台の端に寄った時に手に入れていた土を目に浴びせる。

そのままワイアーを首にかけて飛び越して背後に着地した。


「ぐぶぅぅぅ・・・」


顔を真っ赤にさせながらワイアーを外そうと藻掻く大男。

片手でワイアーに手を掛けようとするが首に食い込みそれも出来ない。

仕方無く背後の俺を掴もうとするが、


しゅぱしゅぱ


筋肉が邪魔して手が背中に回らない。

窒息死は最も苦しい死に方の1つだ。

無闇に殺した奴等の懺悔をしながらテメーも逝っちまえ!


『おりゃあああ!』

「おっと!?」


背後から何人かが斬り掛かって来た。

俺が躱すと槍や斧や剣が大男の背中に突き立ってゆく。


「ぎゃあああ!?」


いやお前等も殺すの前提かよ!

もう全員そうなんじゃねーの!?




「流石ロッシ!」

「あのくらい訳無いと思ったよ!」

「行けー!やっちまえー!」

「ブッ殺してー!ロッシさーん!」

「何としても残るのよー!」




「ぶぎゃあああああ!」


大男が血塗れになりながら大剣を振り回す。


「殺すー!殺すー!」


槍や斧や剣で傷付けた連中に向かって大剣を振り回している。

俺はそこで一息つく。

周りを見る。

俺が競技台から落とした連中は警備兵に引っ立てられていってる。

俺の周りの石畳は血だらけだ。

あの大男がぶった斬った人体の欠片が転がっている。

警備兵を見ても止める様子は無い。

マジか。

通常運用なの?これ。

俺のオッズを見る。

12.3倍

最終オッズか、悪くない。

100万エナ賭けて1230万エナか。

金欠の俺等に恵みの金だ!


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