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HappyHunting♡  作者: 六郎
第3章 領都ヴィヴィエント (ヴィヴィエント:カーズ、マイキー)
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領都の門は門脇が8角の塔の様になって壁に埋まっていて、塔には定置的に窓が付けられている。

戦時には窓から弓でも射るのだろう。

塔の頂上にはそれぞれ巨大な像がこちらを向いて建っている。

左に甲冑を着た男性像と右にローブを着た女性像だ。

男性像の剣と、女性像の杖とが交差している。


領都の門前に着いた。

馬車を降りて入街の列に並んでいる。

街に入るのに列に並ぶなんてこと今まで無かった。

よく見たら、商人やら冒険者やらが並んでいる。

夕方近いので込み合う時間に来てしまったのだろう。


長旅から入って行くのであろう女性冒険者は女性衛兵に身体検査を受けていた。

少し待っていると僕達の番が来て各々カードを見せていく。

リオンヌ商会の依頼だからか身体検査は無かった。

手続きが終わりデッカイ門を抜けていく。

抜けていった先は今までの街とは全く違う街並みだった。


足元は石畳が張り巡らされ、家々も今までよりも高く、大きく、色とりどりだった。




街並みに見とれてしばらく歩いていると、


「ここがリオンヌ商会館です」


それはかなりの大きさの館だった。

だがここは店舗ではないのだろう。

倉庫も兼ねているのだろうか馬車がガレージの中に入って行く。

建物に入り応接室に通される。


「護衛お疲れさまでした。それではジャンさん達とはここでお別れです」


リオンヌさんはそう言って依頼票にサインをして報酬を渡した。

ジャン達はそれを受け取り去っていった。

部屋を出る間際に俺に一瞥をくれる。


「あの依頼票をギルドに持って行き依頼達成余白に焼き入れるのです」

「なるほど」


と、僕達にも依頼票と報酬を渡される。


「さて、お2人は宿はお決まりですか?差し支えなくば私共が経営している宿をご紹介致しますが」

「お風呂!お風呂付の宿はありますか!?」


菊池君が食いつく。


「勿論ございますよ」

「ではお願いします!」

「ちょっと待てって。お幾らですか?」

「御代は結構ですよ」

「いえ、そうはいきません」

「私としましてはお2人に万全な体調でマイタケに対して頂きたいので必要経費と思っています。ですのでどうかお気になさらず」

「こう仰ってますし。お言葉に甘えましょうよー」

「いやしかしだな」

「オプションにはなりますが各地から取り寄せたフルーツや甘味も取り揃えております」

「そこ!そこにしましょうよ!」

「いやいやここは」

「オプションになりますが巨乳マッサージ嬢によるマッサージが好評です」

「お世話になります」

「くぉら!」




リオンヌ系列ホテルを紹介され部屋に通された。


「ヤバ過ぎるだろう!」

「ちょ、ちょっとグレード高いですね」

「これはひょっとして貴族とは言わないまでも結構な金持ちが泊るところでは?」

「ですね・・・」

「逆に休めんな」

「せんぱーい!お風呂が付いてますよ!」

「なんだとっ!共同風呂だと思ってたが、マジヤバいじゃん」

「高いんでしょうねー」

「とりあえず今日はここに泊まって、明日からはもっと安そうな所に移ろう」

「えー!」

「考えてみたまえ菊池君。ここに慣れると、この街を去った後が怖いぞ」

「うう・・・慣れたら地獄を見そうですね。分かりました明日から相応の部屋に泊まりましょう!でもお風呂は欲しいです!」

「うん。納得してくれてうれしいよ。じゃぁ、早速オプションを頼もう」

「オラァ!」




オプションで頼んだフルーツと甘味を食べながら今後を相談していた。


「いつつ」

「すいません。フルーツとは思わなかったんで・・・」

「まぁ、気にしないで。《頑健》さんの経験値が大分貯まったけど、気にしないで」

「じゃ、じゃぁ明日はまず冒険者登録して、名前変えます?」

「あぁ、新規登録だね」

「もう名前考えてるんですか?」

「いやまだだ。風呂入りながらでも考えるかな」

「そうですね。じゃぁその後は地図買って魔物図鑑で調べてって感じで情報収集ですかね」

「そうだね。終わったら街の観光でもしようか」

「おっ!いいですねー。大きな街だからしたいと思ってたんですよ!」

「じゃぁ明日は休んで明後日から始動ということで」

「りょーかいでーす」

「馬車での長旅は身体が固まるね」ボキボキ

「マッサージしましょうか?」

「いや、プロに頼むよ」




翌日、腹を抑えながら起きた。

昨夜のダメージが残ってるようだ。

リオンヌさんに話してホテルのグレードを下げてもらって、共同風呂、トイレ付の部屋にしてもらった。


そして予定通り冒険者ギルドに向かったのだが、ギルドは街の人口密度が高い所には無い。

街の中央にある方が利便性は高いのだが、先ず臭いなど衛生面、一般人はあまり用が無いので近づかない、商人・職人ギルドとの素材売買、などを考えると街の中央とは言っても商業区や職人区は避け、倉庫区に建っている。


流石領都のギルドだけあってコローやコンテのギルドとは規模が違った。

石造りの重厚な本館で、隣の納品館もかなりの大きさだ。

戸には剣や斧、メイスやらの武器が横向きに彫られている。少しおっかない。

戸を開けて中に入った。

外観で見た通り中はかなり広い。

早朝ラッシュの後なのだろう、人は思ったほどいない。

正面は吹き抜けで窓も大きいので明るい。

依頼掲示板が5つ、パーティ用掲示板が1つあるのは他と変わらない。

2階への階段が脇に見える。階段の先が応接室とかなんだろう。

入口正面はカウンターになっていてその真上に応接室の壁がある。

その壁からは恐らくドラゴンなのだろう、木彫りのその頭が口を開けてこちらを睨んでいる。


「あれドラゴンだよな」

「ドラゴン・・・ですね」

「いるのか?」

「いるんでしょう」

「「はぁ」」


おっかねぇ。興味はもちろん有るが出来れば出会いたくない生き物だ。

恐らくデカくて強いんだろう、出会ったら死ぬ可能性が高い、ってか死ぬだろう。

いや、もしかして手乗りドラゴンとか?

だったらあんなところに飾られないよな。




「すいません。新規登録をお願いします」

「はい、新規登録ですね。お2人ですか?」

「「はい」」


カードを受け取り礼を言ってカウンターを離れる。


「カーズって・・・安易すぎません?」

「いやマイキーも人のこと言えないと思うよ」

「考えるのをやめたりしないで下さいよ」

「そう出来たら楽なんだけどねぇ」


お互いの名前にケチをつけながらコロリマイタケの情報収集のため魔物図鑑を見る。


「どうやら東の森にいるようだ」

「他のマイタケよりも色が濃いですね」

「毒性が強くなると濃くなるのかな?」

「コロリはリオンヌさんに渡すとして他の魔物はどうするんです?」

「う~ん。リオンヌさんだったら高く買うって言いそうだけど、それは甘えたくないんだよね」

「ですね。契約はコロリですからね。じゃぁ、ギルドに納品しますか?」

「そうだね。一応採集依頼を覗いてコロリの値段確認するか。この街もゴブリンは常設討伐依頼なのかな?」

「はい、そうですよ。討伐掲示板に常設依頼コーナーがあって、そこに載ってます」

「へー」


魔物図鑑にはコロリの特徴は特に載っていなかった。

毒が強いってくらいで。

特徴が無いってことは他のマイタケと大して変わらないって事だろう。


本館ではそれ以上の情報は得られないだろうと思い、あとは観光することにした。


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