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HappyHunting♡  作者: 六郎
第2章 冒険者 (コンテ:カズー、ミキティ)
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翌朝、最終日。

朝食も摂り終え出発の準備に取り掛かった。


「こんなもんかというのが半分と大変だなというのが半分だね」

「そうですね。他の冒険者との合同っていうのが問題で後はそんなにでしたね」

「色んな街や村を見て回れるのは魅力だけど、稼ぎの面で言うと無いな」

「そうですね。世界を周るっていう私達の目的からは合ってますけどね」


まだ終わってないが今日の夕方には領都に着く、もうすぐ仕事が終わるそんな気分で会話していた僕達の元にリオンヌさんがやって来た。


「おはようございます、カズーさん、ミキティさん」

「「おはようございます、リオンヌさん」」


「実は今日はお2人の馬車に乗ることになりましてね。よろしくお願いしますよ」

「えっ、そうなのですか」

「はい。この調子だと魔物も大丈夫でしょうし、出てもお2人なら問題ないですしね」

「分かりました。最後まで務めさせて頂きます」

「よろしくお願いします」




「どういうことでしょう」

「これからが僕達を雇った理由ってことだろうね」

「雇った理由?護衛じゃないんですか?」

「護衛はついでだろう。だから2倍も出したんだろう」

「何でしょうね」

「まー、マイタケ絡みだな」

「マイタケ絡み?」

「ランク上げの魔物を調べたと言っていた、ギルドが教えたんだ。それでマイタケだと分かった。ギルドも領都の豪商に恩を売れると」

「なるほど。今回の主な荷物がマイタケってことは・・・」

「あぁ、ヴィヴィエントにはコロリマイタケがいる。十中八九、それ狙いだな」

「私達が領都行きの馬車に乗るってことで領都に行くのも知っていると。領都に着くまでに話を纏めたいわけですね。どうします?」

「コロリを狩るのは既定だからな。後はギルドの買取額より何割増しで提示してくるかだな」

「でもコロリが今までのマイタケみたいに狩れるとは分かりませんよ」

「そうだなコロリを少し観察してみてから本格的な商談を始めるか」

「コロリを確実に狩れることが必要ナリ」




馬車に乗って最後の道程を走る。

この辺になると領都の冒険者によって魔物は狩られているのだろう街道には魔物の姿は見られない、どころか時折馬車や旅人らしき人、冒険者らしきパーティなんかを見かけるようになっていた。


「今回はお2人のお陰で大変助かりました」

「まだ終わっていませんよ」

「ははは。その通りですね」

「回りくどいのは苦手でして、そろそろお話しいただいても結構ですよ」

「・・・ははは。バレてましたか」

「シモンさんがいないですけど?」

「あれは私の代わりを任せていますので」

「ではどうぞ」

「分かりました。単刀直入に申しますと、私の商会にコロリマイタケを卸して頂きたい」

「お断りします」

「むっ!何故?」

「他の商会と競っていただいた方が僕達には利益が大きい。その機会を奪っているということです」

「なるほど。しかしそれはお2人のスタイルに合致しないでしょう」

「というと?」

「お2人はコンテでランク上げには積極的ではなかったと聞いています。恐らくそれはマイタケを狩っているのを知られたくなかったと推察されます。余計なトラブルを懸念していたのでしょう。そしてそれは領都で商会同士の競りが行われた場合、現実のものとなるでしょう」

「なるほど」


「商会が競り落としてからお2人を囲うようになるでしょう。しかも他多数の商会もそれに参入します」

「それはあなたも同じでは」

「私共と契約して下さればお2人を縛ることはありません。勿論マイタケを狩ってることも秘密にします。むしろ我々を隠れ蓑に狩って頂けます」

「リオンヌ商会が狩ってるのならその繋がりのある僕達にも繋がるのでは?」

「そこはヴィヴィアンである私の範疇、如何様にも手段はあります」

「値段は」

「現在ギルドの買取額は2万エナ。1.5倍の3万エナを提示致します」

「・・・それでリオンヌ側に利益はあるのですか?」

「ははは、御心配痛み入ります。マイタケというのは大変人気が有りまして、通常ギルドから1匹丸ごと買うことは出来ないのです。ですのでバラバラに買ってそれを売っていくよりも1匹丸ごと買ってしまった方が儲かるのです」


「条件が有ります」

「当然ですな、聞きましょう」

「先ず僕達が狩れるか確実ではない為この商談は仮契約としたい。コロリマイタケを狩れるようなら本契約をするという事で」

「承りました」

「次に毒袋を僕達が欲しい時は僕達がいただく。勿論その分の料金は引いてもらって構いません」

「承りました」

「3つ目に僕達は目立ちたくない。それに協力していただきたい」

「当然ですな」

「以上3点です」

「それだけですか?」

「えぇ」

「正直もっと吹っ掛けられるかと思いましたが」

「欲張りは身を滅ぼします。お互い納得の取引でなければ後で面倒なことに」

「同意です。正直冒険者という輩は自分の利益のみを最大化する輩ばかりで辟易なのですが・・・おほん。ではこの場では仮契約という事で、本契約はお2人が実際に狩って来てからということで宜しいですかな?」

「えぇ。お願いします」


昼休憩に仮契約書を3人の名義で作った。


「これは仮契約と言っても法的に効力を持ちます。違反すれば当然国法と領法とで罰せられます」

「分かりました」

「宜しい。では履行をお願い致しますよカズーさん、ミキティさん」

「「はい」」


菊池君を見るとサムズアップしてるし良い取引だったのではないか。


午前中で商談も終わり昼休憩も終わってあとはいよいよ領都を見るだけになった。


「領都ヴィヴィエントはどんな街ですか?」

「ヴィヴィエントは人口3万を超えるこの領州最大の都市です」

「「3万!?」」

「えぇ。それ故人種も様々。エルフ、ドワーフ、獣人、あらゆる人種がいます。あっ、亜人は彼らには禁句ですよ」

「存じてます」

「それは良かった。私共の商会でも働いておりますのでね」

「領都って事は領主様はいるので?」

「滅多に居りませんな。というのも殆ど王都に居られるようでして」

「王都?」

「えぇ。ここから10日程離れております」

「遠いですね」

「左様。ただここは賑やかな割には治安も良く過ごし易いかと思いますよ」

「その点ではコンテの方が良いですね」

「ははは。お2人にはそうでしたな」


「商人ギルドについて教えてもらえませんか」

「商人ギルドは商人の権益を守る為に組織されました。ギルドメンバーは冒険者カードのような商人カードを持ちます。ただ冒険者のように依頼などはありません。しかし信頼の蓄積によりランクが上がります」

「信頼の蓄積?」

「お金ですな」

「まんまですね」

「ははは。要はギルドへの貢献と思って貰えれば。ギルドメンバーになると冒険者ギルドや職人ギルドとの優先取引権を得ます。割引なども有り得ますね」

「冒険者ギルドは高く売りたいものと思ってましたが」

「信用出来ない相手に高く売るよりも、信用出来る相手に安定した値段で長期に売った方が長期的には得なのです。高く売った相手が犯罪者だった場合ギルドも捕まりますからね」

「毒袋は麻薬には使いませんよね」

「・・・ははは。さらっと入れてくる辺り怖いですな。なるほど、お2人のその警戒はそういう訳だったのですな。左様、私共は確かに薬を扱っていますが麻薬で商売はしていません。と言っても口では何とでも言えますので・・・そうですな帳簿をお見せ致しましょうか」

「帳簿を?」

「当然全てではなく、毒袋の流れを追って頂ければ納得頂けるでしょう」

「たかが冒険者にそこまで?」

「なんの。お2人だからこそですよ。そこらの冒険者とは違いますからね」




「おっ!道標がありますね。もう領都の壁が見えるでしょう」


菊池君と2人で御者席に顔を出すと、なるほど水平線に壁が見えている。


「領都の壁は高さ7mにも達します」

「「7m!?」」

「更に今も拡張中ですのでこれからも益々発展していくことでしょう」


辺りは3万人の街の開発の為だろうか、森は遠く、その分行き交う人々の多さに驚く。

契約なんてものも結んでしまったし、履行できるか不安だ。

どの街に来た時も不安と期待があったが不安の方が大きかった。

それは転生人だからだろうか。


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