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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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ルンバキア軍駐屯地天幕。


「失礼します!」

「うむ」

「『ワイルドキャット』から報告!猫が軒下に潜り込んだそうです!」

『おぉ!』

「そうか!御苦労!」

「はっ!」

「先ずは潜入成功ですか」

「まだまだ、問題はここからですぞ」

「然様」


クレティアンは腕を組んで真面目な顔をしていたがその実、二の腕を抓って笑いを堪えていた。


(先ずはとは何だ先ずはとは)

(こいつ等は報告の意味をまるで分かっていない)

(グデッペン要塞に潜入?)

(しかも数千人が籠っている中を?)

(夜とはいえどうやったのだ)

(城壁には夜襲に備えて結構な人数を配置しているだろう)

(分からん。冒険者をしていた私にも分からん)

(もしこの作戦が成功した時、その価値がお前等に分かるのか)

(『ワイルドキャット』が居れば要塞や城は意味が無くなるのだぞ)

(仮に奴等と敵対した場合、防街戦は逆に不利になってしまう)

(普通防街戦は人数的に負けているからやるのだ)

(壁が意味のない物になった時、人数差で勝敗は決する)

(更に言えばドラゴンバスターだぞ)

(総大将の寝込みを襲うなんて事も不可能では無いだろう)

(何としても王国に連れて行くのだ)

(最悪、北部に渡してはならん)


ファーダネはやや伏し目がちに目頭を押さえて表情を見られない様にしていた。


(グデッペン要塞に潜入しただと)

(・・・ですな)

(盗賊団の砦とは訳が違いますからね)

(まさか本当に要塞を落とす気だとは)

(イスカンダル王でも成し得なかった偉業を我々が出来るやも知れませんね)

(・・・そうだ。そしてそれは奴等が居れば殆どの壁は役に立たなくなる事を意味する)

(!?)

(加えてドラゴンバスターの実力よ)

(・・・城内で破壊活動などされたら手に負えません)

(出来るならば我が国に)

(・・・最悪でも北部に流れないようにしなければいけません)

(北部に行くようなら・・・)

(か、閣下まさか!?)


「ふわぁ~」


欠伸をする振りをして周りの者達を観察しているフリーエ。


(セーラとラーンは一安心と言ったところかえ)

(クレティアンとエリーテは衝撃を受けとるようじゃの)

(クレティアンなんぞ顔が引き攣りそうじゃわい)

(エリーテは何ぞ思い詰めた様子じゃの)

(まぁワシと同じ考えじゃろうな)

(ボンクラー共は・・・どうでもえぇか)

(レヴィは・・・こっちもまた思い詰めとるのぉ)

(はぁ~やれやれ。もう眠たいわい。年かのぉ)




翌朝。

グデッペン要塞北門の門塔入口。


「すいませ~ん」

「む。何だお前等は」

「この荷物を西門塔に届けろって言われたんスけど~」

「西門?ここは北門塔だぞ」

「あっれー」

「馬鹿か貴様は。さっさと失せろ!仕事の邪魔だ!」

「すんませ~ん。壁を降りて西門塔に行くよりこのまま壁の上を行った方が早いので門塔を通らせてもらいたいんスけど~」

「駄目だ駄目だ!降りて行け!」

「え~!ひで~っスね~。俺達先の戦いでも頑張ったのに。コイツなんてこんな怪我で包帯グルグル巻きにされるほど傷付いたってのに~」

「知った事か!俺等は留守役だったんだ」

「負けただけじゃなくワイバーンにも襲われて散々だったってのに~。仲間からも優しくされないなんて~。あいつ等が攻めて来ても北門には応援に来てやんねーしー」

「あーもう!分かった分かった!通れ通れ!」

「あざーっす!」




ルンバキア軍天幕。


「では予定通り明日から攻撃を開始します」

「えぇ。御願いします」


そう言いつつも優れない表情のセーラ。


「殿下。マコルなら大丈夫ですよ」

「前回『7人のサムライ』に見破られたとはいえ、だったら会わなければ良いだけの事じゃしの」

「・・・えぇ」




「カズ兄ぃとサーヤ姉ぇ、大丈夫かなぁ」

「大丈夫よ。カズヒコが付いてるんだから」

「ジェットパックは結局ブラックドラゴンで使う為に持っていけなかったからな」

「えぇ、そこは心配だけど。でもカズヒコだし」

「そうだな。ただ、待つだけと言うのももどかしいな」

「あの人の性格上、サーヤは命懸けで守るはずよ」

「カズヒコ自身は無詠唱魔法連発で大丈夫だろうし」

「カズ兄ぃ、サーヤ姉ぇ・・・」




その夜。

僕達は適当な空き部屋を見付け、そこで寝る事にした。

配給の夕食を摂りながらサーヤ君と話す。


「やれやれ。何とかここまでは順調だね」

「はい。人が多過ぎて返って怪しまれませんしね」

「向こうも予定通りなら明日から攻撃が始まるはずだ」

「はい。我慢の期間ですね」

「あぁ。多少犠牲は出てしまうが・・・しょうがない」

「・・・戦争ですから」

「あぁ。その代わり必ず成功させなきゃな」

「はい」

「やっぱり美味くないな、ベドルバクラの飯は」

「ふふふ。兵食ですしね」

「食事では完勝してるな、南部は」

「うふふ。そう言えばカズヒコさん」

「モグモグ、ん?」

「2人きりになる機会が無かったので言えませんでしたが」

「うん?」

「助言ありがとうございました」

「助言?」

「君の胸に聞いてみろ、って」

「あ、あぁ。あれか。という事は」

「はい。人間は元々固有のスキルを持ってたんですね」

「恐らくね。純粋魔力を固有魔力にする内臓器官が無い以上、スキルじゃないかと思われる訳だ」

「時間が経てば減った魔力が回復するのも、そのスキルが変換するのを待っているって事ですね」

「多分ね」

「今までは、世界に満ちている魔力を取り込んで回復してるって言われていたんですけど」

「間違ってはいないだろうね、呼吸なんかで取り込んでいるだろうし。ただ大部分は食事からだろうね」

「なるほど」

「だからバランスの良い食事は重要だと思うよ。偏食は駄目だよ」

「はい。メンバーに偏食持ちは居ません」

「そうかそうか。魔力変換が種族スキルだとして、それを魔物で担うのが魔石な訳だ」

「なるほど。魔石が大きいとそれだけ多くの魔力を変換出来ると」

「そーゆー事じゃないかなと、ね」

「なるほどー」

「魔法日記にも君が感じた事を書いておいてくれ。今後の役に立つだろうから」

「はい」

「所で、ちびっ子騎士が居たけど、子供もスキルは持てるの?」

「スキル発現するのが大体、15歳前後って言われてます」

「ほー」

「その歳くらいから冒険者になったりするんです」

「なるほどねー」

「もっと早い子だと12歳位からの子も居るらしいです」

「ふーむ。早熟の天才か」

「はい。固有スキル持ちに多いらしいですね」

「ゴールデンエイジ」

「えっ?」

「1桁後半から12歳位までの子供の期間は身体的にも脳の発達にも重要な期間だと言われているんだ」

「へー」

「スキルにも影響を及ぼすのかも知れないね」

「才能ですものね」

「だね」

「それで、あの・・・」

「ん?」

「あの影と言うか、何と言うか・・・」

「あぁ。僕にも分からないんだよね」

「そうですか・・・」

(む、待てよ)

(俺の場合は子守唄だったが、魔法が使えない人達はどうなるんだろう)

(魔法が使えないのに詠唱、つまり子守唄を歌っているんだろうか)

(俺の場合は雷魔法の詠唱を歌っていた)

(他の属性魔法使いにはその属性の詠唱の子守唄だろう)

(うーむ)

(まだ謎が多いな)

「でもLv8になれたんだ。悲観する必要は無いだろ」

「はい。自分で考えてみますね」

「1年ちょいでLv8になった天才なんだ。もっと気楽に構えなさいよ」

「はい!」

「みんな寝静まったら風呂を沸かすかな」

「うふふ。ありがとうございます」

「北部の連中って臭いよね!」


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