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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「と、言う事なのじゃ」

「いやいやいやいやいや!」

「ごめんなさいね、マコル」

「殿下!殿下が謝る事ではありません!」

「そうだな。諸侯を説得出来ないあんた等が謝るべきだな」

「何だと!」

「吠えるばかりで役に立たねぇ近衛騎士どもだ」

「貴様!」

「お止めレヴィ」

「フリーエ様」

「マコルの言う通りじゃ。諸侯らを手懐けられんワシらの無力さよ」

「即位したばかりと言うのも有るでしょうけど、やっぱり15歳で女だからよね」

「貴族社会だからでしょうね」

「ん?」

「冒険者の中じゃぁ男と女、関係ありませんから。実力が全てですよ」

「うむうむ」

「それで以前要塞に潜入した冒険者に断られたら要塞攻略は諦めるという所までは話を纏めました」

「それで今僕等に聞いていると」

「えぇ。だから断って欲しいの」

「うーん。ちょっと相談しても?」

「え?」

「君達、隅に行くぞ」


4人を天幕の隅に集める。


「どういう事?断るんじゃないの?」

「ここで要塞を落とせば対北部でグッと有利になるだろう」

「それはそうだが、それはつまり潜入するという事か?」

「まぁ、そうだ」

「危険だよ!」

「そうです!」

「2度の勝利で結構な被害を与えたわ。無理をする必要は無いんじゃない?」

「建国王でも抜けなかった要塞をここで落とせば、以降、北部も南下に躊躇いが増すはずだ。おいそれと攻めては来ないだろう」

「それはそうだろうが。だからこそ危険なのだ」

「しかしやる価値は有る」

「価値?」

「殿下は即位したばかりで求心力が無い。今回の戦争で勝った上に要塞まで落とせば一先ず内外に影響力は大だろう」

「でもそれはあの人達がやるべき事であってマコルがやる必要は無いでしょう」

「それはそうだが。しかしグデッペン要塞を落とすチャンスもそうそう無い。やるなら今だろう」

「「「「う~ん」」」」

「何か作戦は有るの?」

「そうだ。先ず潜入が難しいんだぞ。というか不可能だ」

「策なら有る」

「「「「う~ん」」」」

「いざとなったらジェットパックでトンズラする」

「う~ん。まぁ。ジェットパックが有れば安心っちゃぁ安心か」

「まぁねぇ」

「でも・・・」

「心配は分かる。しかし人生では賭けなきゃいけない時が有るものだ」

「今がそうだと?」

「マコルさんが賭ける必要は無いんじゃないですか」

「通商同盟は南部援助の為だ。僕達は南部援助の為に冒険者をやっている。僕等の安心安全な老後の為には今必死になる必要が有るんだよ」

「「「「う~ん」」」」

「絶対帰って来るって約束して」

「絶対って言葉は、絶対って言葉の意味を知ってる奴なら絶対使わないんだよ」

「言ってる事矛盾してない?」

「気にするな。心構えだ」

「・・・分かったわ。マコルに任せましょう」

「マリア姉ぇ」

「マコルの命令に従うって言ってたしね。私達に相談してくれたのは私達を安心させる為でしょ」

「そうだねぇ」

「・・・」

「マリアがそう言うのなら」

「マーラ君」

「マコルさんに従いますけど、必ず帰って来て下さい」

「当り前だろ。一か八かで行く訳じゃない。ある程度勝算が有るから行くんだよ」

「はい」

「よし、じゃぁ戻るか」




「条件が有ります」

『えっ!?』

「潜入すると言うの!?」

「はい」

「正気かや!?」

「多分。自分では狂ってないと自覚していますけど。自分で狂っていないって言ってる人間を他人は狂っていないと信じてくれますかね。フリーエさん、どう思います?」

「ワシは十分狂っとると思うぞ」

「・・・話しを進めますかね」

「それで条件とは?」

「1つ。相応の報酬を払う事」

「それは当然だろう」

「今まで殆ど払われていませんのでね。1つ目にしました」

「むむ・・・耳が痛いな」

「2つ。作戦は僕が考えます」

「作戦?」

「要塞を落とす作戦です」

『何だって!?』

「策が有るのかね!?」

「朧気ながらではありますけどね。3つ」

『・・・』

「僕が居ない間の彼女達の安全を保障する事」

「それは問題無い。受け合おう」

「4つ」

「多くないか?」

「黙ってろ役立たず」

「貴様!」

「レヴィ」

「ぐっ」

「4つ。諸侯軍に手柄を立てさせたくは有りません。大公軍が主体となって要塞を攻める事」

「む。それは気持ち的な問題かね」

「それも有ります。しかし彼らには胡散臭さを感じます」

「それは我々も感じる所だが」

「忠義を言わば人質にして要求を通すなんて信用出来る奴等じゃありません」

「確かにな」

「殿下。ソルスキアからルンバキア南部を通っている時、南部諸侯らが挨拶に来たのを覚えていらっしゃいますか」

「勿論です」

「あれは恐らく足止めだったのではないかと思っているんですよ」

「足止め?」

「弟妹派が挙兵する時を稼ぐ為のね」

『!?』

「南部諸侯らは弟妹と通じていたと!?」

「確証は有りませんが」

「ふ~む。して、それが?」

「北部諸侯らを取り込んで殿下の影響力を強めるのは良いと思いますが、ただ北部諸侯らに手柄を立てさせて諸侯らの影響力を強めるのは反対です」

「むぅ。今回の要塞攻略で大公家の直轄地を増やすだけに留めるという訳か」

「先の2度の勝利でも後詰だったので領地の加増は無いでしょう。褒賞だけにして大公家の影響を国内外に強めるのが公国にとっては良いと思います」

『・・・』

「公国の安定こそ僕等冒険者の望む所ですし」

「望む所?」

「確実に報酬が払われるから冒険者は集まるんですよ」

「ちょくちょく刺してくるのぉ」

「お年を召されておいでですから忘れない様に」

「ヒェッヒェッヒェッ」

「5つ。もし僕が死んだら相応の報酬を彼女らに払う事」

「マコル!」

「勿論死ぬ気は有りません。しかしもしもの場合。無駄死には嫌なんでね」

「・・・策は有ると言っていたが」

「えぇ。だからこそ依頼を受けるんですよ。無きゃぁ受けませんよ」

『・・・』

「殿下」

「・・・2つ目の作戦と言うのは、ヴァルドゥレ卿。大丈夫なのですか」

「然様ですな。この場には我々しか居ませんし、マコル君の作戦を我々が考えた物として諸将に発表すれば問題無いでしょう」

「マコルが考えた作戦とは記録されないけど良いのかしら?」

「むしろ好都合で。有名にはなりたくないので公式記録にも残さないで頂きたい。あっ、作戦分の報酬は払って下さいよ」

「ふふふ。良いでしょう。その条件で依頼します」

「承りました。それでは1度帰って作戦を煮詰めますね」

「分かったわ」




カズヒコ達が天幕から出て行った。


「彼女達を大切に思っているから断ると思っていたけど」

「返って追い詰めてしもうたなぁ」

「追い詰めた?」

「反乱でのバルドル将軍との戦いをぶりを将軍から直接聞いたが」

「えぇ」

「己の左腕を犠牲にしてバルドルを倒したそうじゃ」

「えぇ」

「あの男は身内に被害が及ぶのを極端に恐れる。しかし勝つ為、いや、護る為なら自分の犠牲は意に介さん」

「そうね」

「恐らく要塞を落とす事が今後あの達の将来にとって最善と判断したのじゃろう」

『・・・』

「そこには北部への憎しみが有る」

「家族を殺されたって」

「復讐と女達の将来、この2つが懸かった選択なら受けるのは道理じゃったなぁ」

『・・・』

「・・・マコル」

「しもうたのぉ」


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― 新着の感想 ―
[一言] ワイバーンを単独で撃破した時は、とんでもない事を達成したような感じだったのですが、今回のレヴィの突っ掛かり方を見ると、どの程度の偉業なのかわからなくなりました。 近衛騎士みたいな武に重きを置…
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