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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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セーラ、ブルーフ姉妹、カラッハさんやソルスキア3人衆、それにクレティアンだっけ?バルドル将軍も居る。

流石彼らは集まるのが早い。

貴族達や一部の近衛騎士はまだ見えない。

先勝祝いで飲んだのだろう。


「それで!?アンデッドですって!?」

「そのようですじゃ、殿下」

「ゾンビですか、おばば様」

「いや、そうでもないらしい。マコル」

「ゾンビ、ゴーストではないようです」

「数百という数らしい」

『数百!?』

「こちらに向かって来ているようです。早く対策を立てた方が」

「この草原は古来よりの戦場。大婆様」

「うむ、クレティアン。それに加え数百という数から考えて『スケルトン』じゃな」

「「スケルトン!?」」

「スケルトンってあの骨だけの?」

「そうだ」

「「ひえー」」

「ゾンビが骨だけになったって訳じゃないんですよね?」

「・・・うむ。ゾンビは生者を食うがスケルトンは食わない。殺す。ただ殺す」

「生に対する執着や妬みなどの願望や感情が呪いとなり乗り移って魔物と化したと言われている。だから生きている者を殺すのだと」

「ゾンビは食欲なのかな?」

「さぁ?」

「そんな事は後で良いでしょう!数百のスケルトンがここに迫っているのです!早く対策を!」

「そうですな。カラッハ。魔導士を起こしてバッテリーを組ませるのじゃ」

「はは!」

「それまではワシが相手をしよう」

「フリーエさんが!?」

「ヒェッヒェッヒェッ。これでもアンデッドは得意でな」

「・・・回復魔法が効くのだ」

「「へぇー」」

「エリーテとクレティアンも助けておくれな」

「喜んで」

「はっはっは!今日はあまり働いていませんでしたからな。お任せあれ」

「篝火やランプを用意せよ!」

「ははっ!」

「マコル達は索敵を頼まれておくれな」

「分かりました」




ビョオオオオオオ


草原に風が吹く。

その風を受けて月明かりの下にユラユラと気怠そうに歩く人の形の様なモノ。

いや、以前は人だったモノ。

生気無き故に気怠げなのか。

骨だけになった人だったモノが駐屯地に迫ろうとしていた。

駐屯地との境に先程のメンバーが揃っていた。


「「「「「ホントに骨だけだー!」」」」」

「セリーナも初めてか」

「う、うん」

「防具着てるよ!」

「・・・ここは昔から戦争で使われて来た。恐らく弔われ損ねた兵士のなれの果てだろう」

「そう言えばルンバキアの防具だけじゃないのも混じってますね」

「見付ければ弔うようにはしておるんじゃが、どうしても漏れは出てしまうからのぉ」

「スケルトンに殺されるとスケルトンになるとか?」

「肉が付いてる時点でスケルトンじゃないでしょ」

「そうか。じゃぁスケルトンって不思議なアンデッドだな」

「肉付いてても良いじゃん、って事?」

「そう」

「まぁ生者を憎んで殺すだけなら骨だけにならなくても死体のままでも出来るしねぇ」

「むしろ肉が有った方が良さそうなものだが」

「そんな事は今はいいでしょう!退治が優先ですよ!」

「はーい、殿下」

「しかし散らばってやって来たのぉ。エリーテ、クレティアン」

「「はっ!」」

「「~~~~~~・・・」」


(ファーダネさんは《剣術》と風魔法の複合スキルだ!)

(じゃぁ例の!?)


「~~~。《サイクロン》!」


ゴォォォオオオ


ファーダネさんの剣先から暴風の渦が生まれ、どんどん大きくなってゆく。

進路上のスケルトンを巻き込み吸い込みながら進んで行く。


(((((すっげー!)))))

(すっげぇ大きさだな!)

(洗濯機みたいにグルングルン回ってるわね!)

(洗濯機が分かんないけどグルングルン回ってるね!)

(《トマトル》より大きいですわ!)



「~~~。《イマジネートウォーター、アクアウェーブ》!」


ドゥォォォオオオ


(えっ!?土の波!?)

(いや!泥水だな)

(泥水!?)

(泥水の波でスケルトンを押し流している)

(泥にする事で抵抗を増してるって訳か)

(立ってる地面が動くんですから身動き出来ませんね)

(カズ兄ぃにも出来るんじゃない?)

(水を生む事が出来ないから無理だな。元々泥だったら出来そうだが)

(なるほど)

(マヌイは出来そうね)

(そうだね!練習してみる)

(両者ともスケルトンを一カ所に纏めようとしてるな)

(というと?)

(《トマトル》は《エアロエッジ》が付随してた。《サイクロン》にも掛けようと思えば掛けられるはずだ。それをしないと言う事は・・・)


フワッ


ファーダネさんの《サイクロン》が消えてスケルトンが宙を一瞬漂ったかと思うと一斉に落ちて来た。


ガラガラガラ


クレティアンの泥の波で押し流されたスケルトンもそこに合流した。

そこに大杖を持ったフリーエさんが前に出る。


「~~~。《チェイン・カウンタラクト》!」


ババババババババ


月が出ているとはいえ眩しい!

辺り一帯に紫の明かりが明滅する。


「「「「「うおおおお!」」」」」

(凄いわね!)

(複合魔法!?)

(そうだ!回復と雷の!)


「スケルトンが崩れていく!?」

「・・・スケルトンの討伐には魔石を破壊するか抜き取るか。大まかに分けてこの2つだ」

「「へー」」

「・・・あの数の魔石を抜き取るのは難しい」

「でも今は」

「・・・回復魔法は魔石を破壊せずとも討伐出来るのだ」

「「何だってー!」」

「・・・しかし通常カウンタラクトは単体が対象。そこに複数対象雷魔法の《チェイン・ライトニング》との複合魔法で集団を一気に討伐出来るのだ」


(ちょっと!《チェイン・ライトニング》ですって!)

(カズ兄ぃ出来ないの?)

(習得してません!)

(使えねぇ!)

(菊池君!?)


「さぁ!このままドンドンやってしまうよ!」

「フリーエ様!魔導士が来ました!バッテリーを組ませ次第、討伐させます!」

「そうしておくれな!」

「マコル君!周辺はどうだい!?」

「カラッハさん!駐屯地に入る奴は見られません!」

「そうか!そのまま索敵を頼む!」

「分かりました!」


軍所属の魔導士たちがスケルトンに魔法を撃っている間、

菊池君とマヌイにも周りにバレないように魔法を使わせてる。

サーヤとケセラはその2人の護衛をしていた。


「クルトさん。スケルトンのランクって幾つなんです?」

「・・・確か”E”だ」

「E!?ゴブリンと一緒!?」

「・・・うむ。スケルトンは1匹とただ戦うだけならその程度なのだ。しかし生物を探知する能力、武器を使う事、そしてこの様に膨大な数になる事から危険な魔物なのだ」

「群れるんですか」

「・・・群れやすい。というよりも求める物が同じだからだろうな」

「生き物に、なるほど」

「・・・お互いは干渉しないからな。お陰で連携もしなくて助かるが」


そうこうする内に数もかなり減って来た。


「カラッハさん」

「何だね」

「冒険者に倒させて魔石を取らせたらどうですか?士気も上がると思いますが」

「なるほど。臨時収入になるか。良いだろう」

「それと、僕は北に向かおうと思ってます」

「北!?つまり・・・」

「はい。どうやらスケルトンは南に来たモノと北に向かったモノに分かれたみたいで」

「そうか、なるほど。しかし大丈夫かね」

「恐らく向こうも大騒ぎになってるでしょうからその隙に忍び込もうかと」

「・・・潜入が得意とはいえかなり危険だぞ」

「今日は勝ちましたけどね。次はどうなるか」

「その為に情報を。しかし」

「家族の仇です。それに危険になったら逃げて来ますよ」

「そうか・・・すまんな」

「報酬の上積み、よろしくお願いしますよ」

「ふっ、分かった」

「レイヴをマリア君に飛ばします」

「分かった。無事に帰って来いよ」

「勿論ですよ。任務に殉じるなんて兵士じゃないんですから」


カズヒコはカラッハとクルトの下を去って行った。


「ある意味兵士より兵士だがね」

「・・・全くですな」




「「「「ベドルバクラ軍に忍び込む!?」」」」


4人に相談する。


「大丈夫!?」

「多分ね。向こうもスケルトンが向かってるみたいだ」

「無理しないでね」

「勿論だよ」

「私もお供します」

「1人の方が動き易いんだ」

「命令なんだろうな」

「あぁ。留守を任せたよ」

「分かった。家族は私が護る」

「レイヴを連れて行く」

「分かったわ。レイヴ!」

「クァ」


菊池君の側の地面にレイヴは居た。

昼行性なので眠いのだろう。


「カズヒコについてお行き」

「クァ」

「じゃぁ数日は留守にすると思うから、そのつもりで」

「「「「無事に戻って来てね」」」」

「勿論だ」


カズヒコは魔法による逆光を背中に受けながら北の地平線に消えて行った。


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