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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「クァー!」

「・・・ん。飯か」

「クァ!」

「みんなー。夕飯だぞー。起きろー」

「「「「は~い」」」」


僕達は配給を受け取りテントに戻って食べる。

レイヴも燻製肉をついばんでいる。


「キルフォヴァの時よりかはマシだが疲れたな」

「馬車で揺れてたから結構疲れたわ」

「そうだねぇ」

「暑かったですし」

「マスクしていたから余計にな」

「これからどうするのかしら」

「数日は休むでしょ。流石にどっちも疲れただろ」




『勝利に乾杯!』

「はっはっは!しかしあの冒険者には驚かされましたな!」

「クレティアン殿。それはあの馬車で」

「然様然様!戦場をかっ飛ばしていましたな。はっはっは!」

「しかし命令を聞かずあのような独断専行は許されますまい」

「然様!やはりそこが冒険者と言った所ですか」

「勝手に持ち場を離れるなど言語道断ですぞ」

「しかし彼らの撹乱が有ればこそ予備兵への対処の時間が出来たのでは?」

「ウルマン殿、彼奴等が居らずとも中央は突破出来ておりました」

「その通り。中央突破は時間の問題だったのです」

「レヴィ」

「殿下。あぁいったスタンドプレーに目を奪われますな。冒険者は目立ってなんぼ、そういう輩なのです」

「バルドル将軍も同じ御考えかな」

「む。ファーダネ将軍」

「将軍は彼らのバリスタで大分助けられたのではないですかな」

「うむー」

「そう、バリスタ!奴等から召し上げたらどうですかな」

「それは良い。冒険者共が持っているよりも我々が運用した方が有用でしょう」

「いっそのこと御者ごと馬車も召し上げたら良いのでは」




「じゃぁまた偵察でもする?」

「明日はバリスタで使った鉄球を拾いに行こうぜ」

「そうだね。一杯撃ったもんね」

「鉄球は中央軍と左翼軍に撃ち込みましたね」

「結構な広さだと思うぞ」

「レイヴも手伝ってくれよ。空から見付けてくれ」

「クァ」

「ありがとよ」




「しかし功を認めない訳にはいかないのでは。バリスタで盾隊を粉砕したのは確かですし」

「ウルマン殿。依頼なのですから特に褒賞を出す必要はありますまい」

「そうですな。別にバリスタを使えと言った訳ではありませんし」

「まぁ独断専行と相殺するという事で良いのでは」

「おぉ。それで良いですな」


ソルトレイク王国青の騎士、クレティアンが盃で口元を隠しながら笑っていた。


(相変わらずな奴等だ)

(『新選組』も『7人のサムライ』も、お前等が嫌で抜けたのだ)

(特に『7人のサムライ』はな)

(この調子じゃぁあいつ等も同じ道を)

(いや、惜しい。聞けば行商人だとか)

(最初聞いた時は冗談かと思ったが公都オラキアに店も持っているなら本当なのだろう)

(であれば我々に有用だ)

(商業の盛んな我が国であれば奴等も満足するに違いない)

(何と言ったって私が平民出身なのだからな)

(これはあいつ等を持ち上げて貴族共の反感を煽った方が上手くいきそうだ)

(ウルマンの口振りからするとソルスキア王国も狙っているのだろう)

(ソルスキアには1度誘われたらしいが)

(ソルスキアに出し抜かれんようにだけは注意だな)


(相変わらずな奴等だ)

(・・・全くですな。あの手の輩はどの国にも居ります)

(北部に移った冒険者達の多くはルンバキアとベルバキアから移っていると言うのに)

(私には耳が痛いですが)

(客観的に見る事でその愚かしさが分かり易いだろう?)

(はい。利用する事しか考えない浅ましさに)

(・・・そういう輩は得てして自分が信用されない事に気が付かないものだ)

(フリーエ様も何も意見せず食べておられるだけだな)

(・・・折角の戦勝気分にケチを付けたくないのでしょう)

(苦労がしのばれます)

(セルラムディ殿下もお可哀そうに。あの様な者達に囲まれて)

(・・・しかし迎合している風には見えませんぞ)

(マコル達に護衛されてバレンダルまで来たのですよね)

(道中何か有ったか)

(私の様に、ですか)

(・・・可能性は有ります。侍女にも裏切られたとか)

(バグレスク大臣やバルドル将軍を取り込んだのも大したものだった)

(・・・彼女には信用出来る者が居ないでしょうからな)

(今回の勝利で一先ず安堵といった所か)

(・・・対北部の為にも彼らに頑張って貰いませんと)


(やれやれ。相変わらずな子達だねぇ)モシャモシャ

(クレティアンは豪快な印象を与えてその実、駆け引きを得意とする子だからねぇ)

(今も盃に口付けとるが酒なんぞ飲んでりゃせんじゃろう)

(ソルスキアの3人も、盃で口元を隠しつつ密談かぇ)

(狙いは『ワイルドキャット』かのぉ)

(折角セーラと仲良ぉなったんじゃ。離しとぉはないのぉ)

(しかし相変わらず馬鹿共じゃなぁ)

(馬鹿が死んでも、新しい馬鹿が出よる。毎日掃除しても埃は溜まっていくようにのぉ)

(ラーンは変わっていたのには驚いたがレヴィは・・・)

(北部の連中と大差ない、っちゅーんを気付かんもんかのぉ。気付かんのじゃろうのぉ)

(こーゆーのは指摘すると意固地になるからのぉ)

(はぁー。参った参った)モシャモシャ




「風呂に入りたいな」

「「「「ホントに!」」」」

「こんなに頑張って汗を掻いた日は特にね!」

「《偽装》して駐屯地抜け出して森で一っ風呂浴びるか?」

「明かりでバレちゃうんじゃない?」

「そうかー」

「明け方に入れば良いのでは?」

「寝る前に入りたいのよねー」

「「「「うーん」」」」

「まぁ、取り敢えず水浴びはしておこう。大分違うだろう」

「そうね」

「あっ」

「どうしたの?」

「バイヨ達だ。ジャック達も近くに居るぞ」

「私達を探しに?」

「多分な」


3パーティが入るには僕達のテントには狭過ぎる。

テント近くの空き地に腰を下ろした。


   「やぁ。こちらバイヨ、ティア、ママ」

エマ 「エマよ!」

   「エマ。でこちらがジャック、ダナ、コール、フイネ、ファイル」

カイル「カイルだ!」

   「カイルだ」

バイヨ「相変わらずだね。しかし今日は大活躍だったじゃないか」

   「何の事だ?」

ジャック「バリスタだよ。隠しようがないだろ」

   「あちゃー」ペシッ


と言いつつおでこを手の平で叩く。


   『いやいやいや』

   「僕達って言わないでくれよ」

バイヨ「分かってるよ」

ジャック「分かってるさ」

ティア「服は変えてるから直ぐには分かんないだろうしね」

ミキ 「だと良いんだけど」

エマ 「それにしてもスカッとしたわ!」

ダナ 「そうそう!ベドルバクラの奴等をブッ飛ばして!」

ミキ 「まぁ?仕事だったし?」

   「いやいやいや。撃ってる時、当たった時、めっちゃ興奮してましたけど」

ミキ 「ふん!」

   「ぐふぉ!?」


それからはお互いの今日の様子を聞いて過ごした。

ついでにテントに大きな水桶を用意して順番に水浴びをしながら。

そして早いがみんな疲れていたので解散となった。

その深夜―――。




「起きろ!」

「・・・んん」

「どうしたのぉ」

「感有り。魔物だ」

「「「「魔物!」」」」

「あぁ」

「でも味方は何千人と居るんだよ。大丈夫じゃない?」

「何百と居る」

「「「「!?」」」」

「どーゆー事!?」

「この感じはアンデッドだ」

「「「「アンデッド!?」」」」

「ゾンビ!?」

「いや違うな」

「ゴースト!?」

「それも違う。しかしアンデッドというのは分かる。あいつ等独特の反応だからな」

「そうね。魔物って言っても生物だけど、アンデッドはまた違う反応よね」

「生き物じゃないからか」

「あぁ」

「どうするの?」

「フリーエさんに知らせよう」




「何事だ」

「フリーエさんに面会を」

「こんな夜更けにか」

「緊急です」

「ならん!今日の勝利を導いて御疲れだ!そもそも冒険者如きがおこがましい!他の者を通して奏上せよ!」

「どーする?」

「うーん。あぁ言ってるし放っとくか」

「そうだねぇ。被害が有っても私達の所為じゃないし」

「そうですわ。被害が有ってもコイツが後で怒られるだけですわ」

「な、何だ!何の話をしている!」

『べーつにぃ』

「答えろ!」

「さっ。もう寝よーぜ」

「「「「はーい」」」」

「待て!答えろ!」

「五月蠅いのぉ」

「は!フ、フリーエ様!」

「こんな夜更けにそんな大声上げてたら起きるわい」

「も、申し訳ありません!」

「じゃから静かにせぇ」

「は、はは」

「で、マコル。何の用じゃ」

「北から魔物の群れがこちらに向かって来ているようです」

「な、何じゃと!」

「恐らくアンデッドだと思います」

「アンデッド!?ゾンビか!?」

「いえ。僕等が今まで出会った事の無い魔物の様でして。ゾンビでもゴーストでもありません」

「ふーむ。数は」

「正確には分かりませんが、凡そ数百」

「数百!?」

「はい」

「これ!急ぎみんなを叩き起こせ!」

「し、しかし本当でしょうか!?」

「起こせー!」

「は、はいー!」


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[一言] 「何事だ」「フリーエさんに面会を」「こんな夜更けにか」「緊急です」「ならん!今日の勝利を導いて御疲れだ!そもそも冒険者如きがおこがましい!他の者を通して奏上せよ!」 フリーエがマコルから…
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