⑭-16-425
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ドドドドドドドドド
「おっと!騎兵隊の到着だ!約30騎!」
「どーすんの!?」
「勿論逃げる!ケセラァ!」
「分かったぁ!」
俺達は東に転進する。
北から騎兵隊が俺達を追って来た。
南東に向かい駆け抜ける。
ヒュヒュヒュン
追い掛けて来る騎兵隊に向かって射掛ける。
「くそっ!撃ち返せ!」
《おおぉ!》
シュシュシュシュ
バシバシバシバシ
「なーっはっはっは!腰が入っとらんよ!腰が!」
「くそっ!」
「ブッ殺す!」
「なーっはっはっは!そんなヒョロヒョロ矢じゃー、一生かかっても無理だな!」
「貴様!」
「待ちやがれ!」
「だーっはっはっは!待つ奴が居んのかよ!馬鹿じゃねーの!」
「絶対に殺すぅー!」
「はーっはっはっは!待ってますよー!ここ迄おいでー!おしーりペーンペーン!」
『うおおおぉぉぉ!』
「おうおう!殺る気に満ち溢れておるわ!」
「このままで良いの!?」
「あぁ!このまま歓迎のもてなしを続けてくれ!」
ドドドドドドドドド
「・・・ファーダネ様!あれはマコル達では!?」
「ん!?」
ファーダネは率いるソルスキア王国軍を先頭にして右翼を受け持っていた。
視界の左端からベドルバクラ左翼軍の背後を猛烈な勢いで馬車が1台疾走して来る。
「なっ!?何で奴が!?しかも一騎駆け!?」
「後ろにベドルバクラ騎兵多数確認!」
「追われているのか!?」
「・・・と言うより誘き寄せた!?」
「!?右側の弓兵を集結させーい!」
「・・・ははっ!」
俺は相変わらず迫り来る矢を叩いては隙を見て尻を叩いていた。
「あれ!?ここって敵左翼軍!?」
「そうだ!」
「カズヒコ!どーすんのっ!」
「うーん。よぉーし!流石ファーダネさんだな!このまま突っ込むぞ!」
「了解!」
ドドドドドドドドド
「構えぇー!」
カズヒコ達がベドルバクラ左翼軍を後方から斜めに走って抜き去る。
当然そのまま突き進むとルンバキア右翼軍の側面が見えるようになり、
「撃てぇー!」
「なっ!?しまった!深入りし過ぎた!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ
ドドォッ
ルンバキア右翼軍の弓兵隊に走っている側面を射られ次々に馬から落ちていく騎兵たち。
「ケセラァ!取舵ぃ!」
「取舵ぃ!」
「隊長ぉ!奴等北に向かいます!」
「ぬうぅ!許さん!ここまで来たからには奴等だけでも討つのだぁ!」
『うおおおぉぉぉ!』
俺達は取舵を取り左に急旋回してUターン。
ギャギャギャッ
右側の車輪が宙に浮いて空回りする。
転進して北西に向かう。
騎兵たちも尾いて来る。
「ケセラ!速度を落とせ!」
「えっ!追いつかれるぞ!?」
「構わん!やれぇ!」
「隊長!奴等速度が落ちて来ました!」
「流石に速過ぎてスタミナが切れたんだ!一気に詰めて始末する!」
『うおおおぉぉぉ!』
「カズヒコ!来るわ!」
「どうだぁ!追いついたぞぉ!」
「皆殺しにしてやる!」
「ブッ殺す!」
「おうおうおう!済まんな!君等はもう舞台から降りる番なんだよ!」
「何を言ってる!」
「《土想造》」
馬の足元が陥没した。
馬達は足を取られコケていく。
ドドォ
更にコケた馬にぶつかって後続もコケていく。
ドドドドドォ
巻き込まれまいと後続は馬を急停止させる。
「面舵ぃ!」
「面舵!」
馬車をまたUターン。
ギャギャギャッ
今度は左側の車輪が浮いて空回り。
「撃て撃て撃てぇー!」
速度を緩めて遠巻きに、停まって的になった騎兵を次々仕留めていく。
「・・・ファ、ファーダネ閣下!敵騎兵隊壊滅です!」
「・・・・・・よぉーし!前面に集中せよぉ!」
『うおおおぉぉぉ!』
俺達は馬車を停めて少し休憩していた。
ラドニウスにもスタミナポーションを飲ませる。
「よーしよしよし!良くやってくれた!飲んでくれ!また一っ走りしてもらうからな!」
「ブルゥオオオ!」
「君等もスタミナポーション飲んでおけよ!」
「「「「はーい!」」」」
「流石に疲れたわね!」
「ずっと撃ち続けたからねぇ!」
「敵地の真っただ中ですけど案外安全ですね!」
「ほぼ全戦力投入しただろうからな!エアポケットになってるんだろう!」
「敵本陣を急襲するか!」
「いや!流石に魔力が強い奴等がゴロゴロ居る!危ない目に遭いたくない!」
「今までも十分危なかったけど!」
「どーするのぉ!?」
「敵中央は崩れかかってる!援軍の予備兵を撹乱する!」
「撹乱してる間に味方が押してくれるのを祈るばかりね!」
「フ、フリーエ様!敵騎兵隊壊滅です!」
「まぁーったく!西の端から東の端まで突っ切ったぞい!」
「あんな早い馬車見た事有りませんな!」
「食料調達もあの馬車だったのでしょう!」
「これで更なる敵騎兵による横撃は大丈夫じゃろう!あ奴等が標的になるじゃろうからのぉ!」
「では!」
「うむ!予備兵を展開される前に崩すんじゃぁ!」
『おおぉ!』
ドドドドドドドドド
「カズヒコ!どーなってんの!?」
「予備兵が中央軍の背後に達して展開しだした!」
「不味いの!?」
「あぁ!味方中央軍を包みこむつもりだ!」
「でも弓兵が撃ってるんでしょ!」
「数が違う!味方が崩れる方が速いかもしれん!」
「どーしましょ!」




