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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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⑭-15-424

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「中央軍盾隊ほぼ壊滅状態!」

「何だとぉ!」


ルンバキア軍の反攻から1時間以上が過ぎていた。

徐々に戦況がルンバキアに傾いて行っている。


「総大将!左翼右翼は互角です!中央を下げて予備兵を投入しましょう!」

「下げた時に追撃を受けるぞ!」

「多少の犠牲は止むを得ません!」

「ならん!下げれば動揺して敗走になってしまう!左右翼にも波及したら最早収拾がつかん!」

「然らばどうなさる!?」

「予備兵は投入する!それで士気を盛り返せ!」




ベドルバクラ軍の後方に砂煙が上がる。

ルンバキア軍首脳陣に伝令が走り込んで来た。


「ベドルバクラ軍予備兵投入を確認!」

「来たかぁー!」

「フリーエ様ぁー!」

「敵中央軍前線は崩壊しつつある!ここが正念場ぞぉー!皆の者ぉー!押し返せぇー!」

『おおぉ!』




カズヒコ達にも彼方の砂埃が見える。


「フリーエさんの予想通り、予備兵を投入したな!」ビシッ

「我慢比べだね!」

「負けられん!」

「よぉーし!いっちょフリーエさんを助けるか!」ビシッ

「「「「え!?」」」」

「ケセラ!御者だ!」ビシッ

「え、えぇ!?」

「何をするの!?」

「俺の作品を披露してやる!」ビシッ

「作品!?」

「オフロード馬車だ!」

「ちょ!本気!?」

「全員ゴーグルとマスクと固定ベルト着用!」ビシッ

「「「「りょ、了解!」」」」

「ケセラは大ヤスデ盾で自分を守れ!」

「わ、分かった!」

「3人は俺が護る!思う存分撃って撃って撃ち尽くせ!」

「「「えぇー!?」」」

「お前も頼むぞ!生きて帰ったら思う存分高級野菜を食わせてやるっ!」

「ブオオォ!」

「ちょ!待って!」

「舌噛むなよ!ケセラ!発進だ!」ビシッ

「りょ、りょーかい!」




ドドドドドドドドド


俺達は丘を駆け下りて行く。

ベドルバクラ中央軍と同右翼軍の間を抜けるコースだ。

とっくに味方弓兵を突っ切り右斜め前方に味方中央軍と敵中央軍の前線を視界に収める。

窪地に駆け下りた。


「右舷ベドルバクラ中央軍!ってぇー!」


シュシュシュッ


「撃て撃て撃てぇー!」

「うお!?」

「あっつ!?」

「ぎゃっ!?」


苦悶の敵兵士の顔が視界から過ぎ去ってゆく。


「おらぁあああああ!」


俺は荷車の縁に片足をかけて両手を広げ気勢を上げていた。




「なっ、何をやっとるんじゃー!?」

「フリーエ様!」

「一騎駆け、いや馬車か」

「どーしますかぁー!?」

「ほーっとけー!自分で何とかするじゃろぉー!」

「畏まりましたぁー!」

「いよいよ頭がオカシイのぉ」




「殿下ぁー!マコル達がぁー!」

「ラーン!あれは何をしようとしてるのぉー!?」

「分かりませーん!」

「単なる馬鹿だー!」

「馬鹿ですー!」




ドドドドドドドドド


苦悶の表情が次々に右に流れ去ってゆく。

今は後方に居た弓兵を相手にしていた。

当然相手からのおもてなしも厚い。

次々に槍で叩き落とす。

ラドニウスにも矢が当たるがラドニウス用の装備を作っていたので大丈夫だ。


「ブオオオォォォ!」

「はーっはっはっは!気持ち良さそうだな!」

「ブオオォォ!」

「まだまだ走らせてやるからなぁ!」

「ブオオォ!」

「ケセラ!進路を敵右翼の後方!弓兵を狙う!」

「りょ、りょーかい!」


ドドドドドドドドド




「ぐあっ」

「ぎゃっ」

「あつっ」


ブオッ


『な、何だぁ!?』


ベドルバクラ右翼軍の左側面を突風が過ぎ去った。

今まで右翼軍の弓兵は特に戦闘もせずにいた。

左の中央軍は前方に突出して居ないし、前は槍が邪魔で矢を撃てない。

そんな状態で数時間過ごしていたのだ。

少々気が緩んでいたのもあるだろう。


「な、ば、馬車!?」

「ラドニウス!?」

「撃って来る!?」

「くそっ!敵だ!」

「ルンバキアの馬車だ!撃っちまえ!」

〈うおおぉぉぉ!〉


咄嗟に矢を放つが気が緩んでいたせいか、

それに馬車の速さもあったのだろう、

通常のラドニウスの速さではないのも有って、

馬車を標的にするも矢は馬車の後方を虚しく通り過ぎて行く。

そこに返礼が届く。


「ぎゃっ」

「いつっ」

「ぐっ」

「クソったれが!」


ドドドドドドドドド


カズヒコ達はベドルバクラ右翼軍の後方を回り込んで戦場の西端まで到達し、Uターンしてまた狙いだした。


「帰って来たぞ!」

「舐めやがって!」

「撃て!」

「ブッ殺せ!」


シュシュシュシュシュシュシュシュ


弓兵隊から多くの矢が放たれる。

しかしその矢はカズヒコの馬車に当たる事無く、


「ぎゃっ!?」

「いたっ!?」

「何だ!?」

「味方の矢だ!?」


南下して来ていたベドルバクラ軍予備兵に向かっていた。


「あっ!?」

「や、止めろ!」

「味方だ!」

「味方に当たってるぞ!」

「あいつ等は撃って来やがる!」

「俺達は撃てないと知っててだ!」

「くそったれが!」




「はーっはっはっは!誤射ごしゃだな!」

「どーすんの!?」

「このまま予備兵を相手にする!」

「大丈夫!?」

「予備兵には弓兵が居ない!鴨だよ鴨!」

「だと良いけど!」

「ケセラァ!予備兵を遠巻きに射る!」

「分かったぁ!コース取りは任せろ!」

「頼んだ!」




ドドドドドドドドド


今度は苦悶の表情が左に流れて行っていた。

南下する予備兵の左側面(敵から見て)を北上していた。

相手に弓兵は居ないので矢を叩き落とす必要も無い。

戦況を眺める余裕も生まれた。


「おうおうおう!予備兵はカンカンだな!」

「それはそうだろう!手も足も出ないのだからな!」

「しばらく予備兵を相手に遊んでやるぞ!」

「「「「了解!」」」」




カズヒコ達の様子はベドルバクラ本陣からも確認されていた。


「何だぁ!あいつ等はぁー!?」

「たった1台の馬車で!」

「舐めるにも程がある!」

「奴等を殺しましょう!」

「ならーん!予備兵はそのまま中央を進ませろ!あいつ等には騎兵隊を出せぇー!」

「畏まりましたぁー!」


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