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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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⑭-08-417

⑭-08-417




翌朝ドゥムルガの街の北の駐屯地に移動した。


「すっごい人だねぇ」

「ホントね」

「ドゥムルガの人口より多いからな」

「商売してる人もチラホラ見るわね」

「まだ戦の前だからな。街も近いし」


賑わってる陣中を眺めつつセーラちゃんの所に向かう。

所属はラーン直属という名の実質殿下直属扱いだったからだ。

幕下に通される。


「殿下、ただいま戻りました」

「無事で何よりです」


いつもの煩い近衛騎士は特にだが幾つか胡乱げな目線が向けられる。


「要塞に潜入していたと聞きましたが」

「はい。これが中で調べた詳細になります」


詳細を記したノートを渡した。

机に広げてみんなで眺めている。


『おぉ!』

「ベドルバクラの総大将はまぁ予想通りですな」

「バウガルディ王国もですな」

「神聖リィ=イン教国はテンプル騎士団ですか・・・」

「また厄介な」

「冒険者は『7人のサムライ』『新選組』を筆頭に何組か有名どころが居ますな」

「何れも南部から移った奴等ですな」

「御苦労でした、マコル」

「はい。あと、ドゥムルガ草原の立体模型を作ってみましたので参考にして頂ければと思いまして」

「立体模型?」

「はい。外に置いています」

「見てみましょう」


みんなで外に出る。


『おぉ!』

「これは凄い!」

「縮尺した草原周辺の模型です」

「これは現実に近いのですか?」

「えぇ。現実通りだと思って下さい」

『おぉ!』

「これを見ると草原と言っても結構凹凸が有りますね」

「広すぎて把握が難しゅう御座いますからなぁ」

「有難うマコル。参考にさせてもらうわ」

「はい。じゃぁ僕等はこれからどうしたらいいでしょう」

「君達は今迄通りラヴィアン卿の直属として働いてもらう予定だ。案内させるのでテントで待機していてくれ給え」

「分かりましたカラッハさん。それでは失礼します」


カズヒコ達が去って行った。


「この模型は凄いですね」

「はい。今回だけではなく今後も使えるでしょう」

「しかしあの広い草原をどうやって把握したのでしょう」

「彼らの索敵能力じゃろうなぁ」

「えぇ。私の護衛の時も直接の戦闘力は勿論ですが、相手より早く見付ける能力はズバ抜けていましたね」

「然様です。それで奇襲を仕掛けるのですから常に先手を取って戦っていましたね」

「であればやはり索敵諜報をメインにさせれば宜しいのでは」

「そうじゃのぉ。数で劣る故に作戦で勝る必要がある。その為には先ず情報を集めねばならんしのぉ」

「ではその方向で作戦を立てましょう」

「うむ」




少し時間が過ぎて。


「よし。セーラちゃんの周りも大分人が居なくなった」

「会議が終わったのかしら」

「そのようだ」

「会いに行くの?」

「あぁ。例の件を話す機会だ」

『例の件?』

「エウベルトの件だ」

『あぁ』




「殿下。マコル達が面会を求めておりますが如何致しましょう」

『う~ん』

「報酬の件でしょうね」

「じゃろうなぁ。どーしよー!」

「フリーエ様落ち着いて!」

「しかしおばば様、会わない訳にはいきますまい」

「そうですね。通しなさい」

「はは」


俺は幕下を再び訪れた。


「どうしましたマコル」

「実は内密にお話ししたい事が有りまして」

『内密』


フリーエ婆さんが頭を抱えている、どうしたんだろう。


「内密とは冒険者如きがおこがましいであろう!」


いつもの近衛騎士が煩い。


「構いません。皆の者、席を外して頂戴」

「しかし殿下!」

「外すのです」

「・・・・・・は」


近衛騎士らに続いてソルスキア軍の面々も席を立とうとするが、


「あ、ファーダネさん達は一緒に聞いて下さい」

「ん?そうか。分かった」


セーラとラーン、フリーエ3人衆にファーダネ3人衆だけとなった。


「実は僕達はソルスキア王国でマヤの仲間の仇を討ったのですが、それがティラミルティ帝国の諜報員だったのです」

「何じゃと!?」

「そうなのですおばば様。大盗賊団はティラミルティ帝国の策略だったのです」

「何とまぁ・・・しかし話して良かったのか?」

「今マコルに言われましたしね。ただ我が国でも上層部しか知らない事になっていますので御理解下さい」

「そうじゃな、分かった。それで」

「ソルスキアで討った諜報員を拷も・・・尋問した所、ベルバキア公国にも同様の諜報員がいる事が分かりました」

「「「「「ほぉ!」」」」」

「それで仇仲間を追ってベルバキアに向かう途中でルンバキア公国に来たのです」

「成る程、そういう事情じゃったか」

「それでルンバキア公国を通り過ぎる予定が悪魔騒動に巻き込まれまして」

「ふむふむ」

「そこで”ヨセフ”なる人物が悪魔騒動の重要関係者だと知りました」

「そうじゃったのぉ」

「「「「ヨセフ!?」」」」


セーラとファーダネさん達が驚く。


「ヨセフなる者が悪魔の血を各地にバラ撒いていたようです」

「そうだったのですか!」

「はい、殿下。しかしヨセフの行方は杳として知れず。今も行方不明のままです」

「ではまた悪魔が出る可能性も?」

「残念ながら」

『うーむ』

「それで僕等は当初の予定通りベルバキア公国に向かい、公国内でブラックドッグを討伐しました」

「そうじゃったなぁ」

「結果、そのブラックドッグは人間が変身したものでした」

『!?』

「・・・何!それは本当か!?」

「はい、クルトさん。昼は人間、しかし夜に黒犬に変身していました」

「・・・何たる事だ!それで古来より討伐が難しかったのか!昼間は人間だと!?通常の生活が出来るのか!?」

「旅人だったのではっきりした事は分かりません」

「・・・そうか」

「しかしこの情報を得たのは大きいぞ、クルト」

「・・・然様ですな。今後、ブラックドッグが出たとしても討伐だけではなく捜索も出来ますな」

「昼に任意で変身出来るかは判明しませんでしたが」

「・・・そうか。いやこれだけの情報でも今後の対策に十分だろう」

「そうですか。それでその痕跡を追っていく内に隠れ家を見付けました」

『隠れ家?』

「隠れ家?何の、ブラックドッグのか?」

「ヨセフのです」

『!?』

「ヨセフを見付けたのかえ!」

「はい」

「それでヨセフは!?」

「討ち果たしました」

『おぉ!』

「・・・ブラックドッグもヨセフの仕業だったという訳か」

「その通りです」

『ふーむ』

「ではもう悪魔の出現は無いのですね」

「はい。ルンバキア、ベルバキア公国で出現した悪魔及びその眷属は全て討たれたはずです」

「はい。キルフォヴァ付近に出た悪魔以来、悪魔の噂は聞いておりません」

「悪魔騒動は終わったと?」

「そう言って差し支えなかろうと存じます」

『おぉ!』

「そうかそうか、良くやってくれたねぇ!」

「いえ。家族の仇でしたから」

「家族の仇・・・という事はまさかっ!」

「はい。ヨセフはソルスキアで入手した情報である、ベルバキアに居るティラミルティ帝国の諜報員の一員でした」

『な、何だってー!?』

「くそったれめ!ティラミルティめがぁー!」

「お、おばば様落ち着いて」

「そうだ、マコル君!君を疑う訳ではない、ないんだが話が大き過ぎてね」

「マーラ君」

「はい」


サーヤ君が収納袋から2体の悪魔を出した。


『!?』

「悪魔だ!?」

「きゃっ!?」

「これが悪魔!?」

「何と!」

「これが森の隠れ家に死んで居ました」

「死んで居た!?どういう事だ?」

「どうやら仲間割れを起こしたようでして」

『仲間割れ!?』

「はい。一方は悪魔騒動を起こす急進派で、もう一方は何をしていたのか判然としないのです」

「ふーむ。資料などは?」

「急進派のが少し残っていました。しかし隠れ家が燃え落ちて資料もその時に」

「そうか。持ち出せたのは死体だけか」

「はい。急進派は保守派をティラミルティから持ち込んだ悪魔の血で悪魔にして拘束し、悪魔の血を採取していたようです」

『・・・』

「何たる事じゃ。じゃぁこの2体から採取したのじゃな」

「はい」

「・・・確かに。体液を抜き取られたからでしょう。結構時間が経ってるようですが腐敗もしていませんな」

「この2体が保守派の諜報員」

「恐らく。しかし不可解な点が有りまして」


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