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HappyHunting♡  作者: 六郎
第14章 ドゥムルガ戦役 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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⑭-05-414

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「フンフンフフーン」


俺は部屋の掃除をしていた。

掃除は嫌いではない。

普段あまりしないがする時キッチリするタイプだ。

この時も情報収集を忘・・・頭の片隅に置いて掃除に集中していた。

そこにまた歓声が聞こえてきた。

おっと、こうしてはおられんな。

外に出て入城して来る軍を見る。


「何だありゃぁ」

「お前テンプル騎士団を見るのは初めてか」

「テンプル騎士団?」

「神聖リィ=イン教国の神の軍勢だ」

「へー。あれが」

「騎士は顔にも面を着けてるだろ。あれが特徴だ」

「おっかないですね」

「神の罰を体現する騎士団なんだと」

「えぇー」

「分かるよ。噂もあるしな」

「噂?」

「何でもかんでも神の名の下に処罰しちまうから手に負えねぇんだと」

「手に負えねぇ!」

「自分らの欲の為って分かる程に派手にやってるってさ」

「神聖って名が泣きますね」

「リィ=イン教国の連中は少しばかりネジが緩んでんのさ」

「何でそんな連中に援軍を」

「それ程今回に賭けてんだろうなぁ」

「バウガルディ王国みたいに冒険者は連れて来ていないんですか」

「あの国に冒険者なんぞ寄り付かねぇよ。おっ!本命が来るぜ!」

「本命?」

「ティラミルティ帝国だ」

「!?」


騎馬隊を先頭に今までの兵装よりも金が掛かってそうな軍勢が入城して来た。

歓声も一際大きい。


「あれがティラミルティ帝国・・・」

「お前はホントに田舎もんだな」

「えぇ」

「北部南端国が南下する時には必ずって言って良い程援軍出してくれてただろ」

「今まで下っ端だったもんで」

「そうか。今回も1000を連れて来てるんだと」

「1000!?」

「あぁ。リィ=イン教国が500だろ。バウガルディ王国も500。つまり、え~っと・・・」

「7000?」

「そう!7000だな。それに元々要塞に居た奴も合わせると8000近くになるんじゃねーかな」

「8000!?」

「全員南下する訳じゃねーだろうけどもよ」

「そうですね」

「おっ、どこに行くんだ?」

「トイレに」




「8000!?」

「殿下!」

「兵8000ですか・・・」

「しかし要塞内に8000ですので南下する時には減るでしょう」

「それでも7000以上は居るでしょう」

「・・・は」

「・・・取り敢えずフリーエとの合流を急ぎましょう!」

「そう致しましょう!」




ドゥムルガの街の街主の屋敷の部屋でフリーエとミキ達が会談していた。


「丁度良い具合に合流出来たねぇ」

「はい。お久しぶりで御座います」

「うんうん。よかよか」


ソファーに座って足を交互にブンブンしているフリーエ。

その後ろに何時もの如く立つ2人。

その内の男の方が口を開く。

カラッハだ。


「依頼を達成してくれて感謝している」

「うんうん」

「大変でしたけどね」

「やり遂げてくれた」

「何とかなりました」

「マコ兄ぃは怒ってましたけど。騙されたーって」

「ヒェッヒェッヒェッ。そうじゃろーなー」

「報酬は弾むから勘弁してもらおう」

「お願いしますね」

「ルンバキア公国の未来が掛かっていたのだ。君達は見事、成し遂げてくれた。未来に希望を繋げたのだ」

「大袈裟な」

「そうでもないぞぇ。聞けばベドルバクラと通じておったと言うではないか」

「公弟ですね」

「うむうむ。不戦協定なんぞ守る訳ない。やがて取り込まれておったじゃろぅ」

「お役に立てたなら幸いですわ」

「うんうん」


「そのマコル君は偵察に出ていると聞いたが」

「はい。要塞内に潜入しています」

「「「グデッペン要塞に!?」」」

「はい」

「・・・何とまぁ・・・」

「それで情報は?」

「ヴォーレ殿下に渡っています」

「そうか・・・って、殿下が来とるのかえ!?」

「はい」

「「何だと!?」」

「マコルも止めたんですけど・・・」

「責任感が強いとは思っておったが・・・」

「公都の守りは誰が?」

「バグレスク大臣が」

「そうか・・・ワシらも誤解をしていたようじゃな」

「「はい」」

「会って詫びねばなるまい」

「然様ですな」

「何でも自決しようとしたのをマコルが止めたとか」

「えぇ。1発殴って止めました」

「・・・1発か?」

「・・・2発だったかしら」

「・・・」

「・・・3・・・もう昔の事で忘れてしまいましたわ、おほほほ」

『・・・』

「そ、そういえばまた食料を調達して来ています」

「おぉ!それは助かる」

「代金は頂きますわ」

「勿論じゃ、と言うて今まで払っておらんのぉ。すまんのぉ」

「戦争後でよろしいですよ。ですので勝って下さいね」

「ヒェッヒェッヒェッ。勿論じゃとも」


「ソルスキア王国から援軍が来ると聞いているが」

「はい。先ず当初来た1500の内、700が殿下と帯同しています。追加で500来るらしいので後日300が合流する手筈の様です」

「ソルトレイク王国からもじゃな」

「はい。500来るらしいです」

「ベルバキア公国からは来ないのか?」

「はい。返信も無いらしくて」

「むぅ。どうなっておるのか」




俺は部屋で耳を壁に当てていた。


「これはこれは、ティラミルティ帝国からようこそ参られました。将軍閣下」

「痛み入る。ただ今回はベドルバクラ王国への援軍ゆえに総大将は勿論其処許がやるのが宜しかろう」

「御丁寧に。では総大将はベドルバクラ王国軍筆頭将軍の私めが引き受け申す」

『異議無し』

「ではこれからの予定であるが、決戦は古来からの戦場、ドゥムルガ草原で行おうかと思っております」

『異議無し』

「他に大軍がぶつかる場所もありませんしな」

「ルンバキア公国軍が草原に来ないのであれば直接ドゥムルガの街に向かっても良いのでしょうが」

「それはありませんでしょうしな」

「然様然様」

「では要塞の守備に1000を残し7000で草原へ向けて進軍する予定」

『異議無し』




俺は静かに部屋を出た。

外がそろそろ落ち着いてきてこの建物も人が増えて来たからだ。

怪しまれる前にトンズラだ。

廊下で2人の兵士とすれ違う。


「おい、聞いたか」

「何だ?」

「ワイバーンが出たんだってよ」

(ぶふっ)

「マジかよ」

「あぁ。一部で噂になってるぜ」

「戦に影響なきゃ良いけどな」

「全くだ」


さてと、という所で4つの強い魔力反応。

《魔力探知》のパッシブ最大範囲は約1km。

それだけの範囲をカヴァーすると散漫としてしまうので、人に見つからないようにするための緊張感のある潜入にはこの建物を最大範囲とするまでに縮めた方が良かった。

なので今まで感知出来ていなかったのだ。

建物の正面出口から出て行こうとするとその魔力反応の主から声を掛けられた。


「おい!お前!指令室に案内しろ!」

「えっ・・・私・・・ですか?」

「そうだ!早くしろ!」

「は、はぁ」


俺はその4人をさっきの部屋に案内する事になった。

兵士の格好じゃない。冒険者だな。

こいつらも『フォー・キングス』や『新選組』と同じ黒髪に東洋的な面。

転生者だろうか。

同じ東洋的民族はこちらの世界にも見たが、『フォー・キングス』はまだ分からないとしても『新選組』という名前は決まりだろう。

こいつらの二つ名も調べて行くか。

さっきの部屋の前まで来た。

ドアの両隣りには守衛が立っている。


「何だ!」

「失礼します。お客を連れて参りました」

「誰だ!」

「・・・あのぉ。どちら様で」

「お前俺達を知らんのか!」

「田舎者でして」

「ちっ!『7人の侍だ』」

「ぶふー!」

「うわっ!何をする!貴様!」

「す、すいません。『7人の侍』の方々です」


守衛の1人がドアをノックして入室した。

事情を話す。


「おぉ!待っておったぞ!通せ!」

「はっ!」


俺は1歩下がって守衛に引き継がせた。

首脳陣らにあまり顔を見られたくないからだ。

俺の前を『7人の侍』が部屋に入って行く。

開け放たれたドアから部屋を覗く。

幹部達の顔を見ていった。

守衛が部屋から出て来てドアが閉められた。


「失礼します」

「うむ」


建物を出て裏通りに移動し笛を吹いた。


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