⑭-02-411
⑭-02-411
ドドドドドドドドド
「カズヒコ」
「ん?」
「これからフリーエさんと合流するの?」
「うーん。ケセラ!」
「何だ!」
「ドゥムルガって街はどこら辺だ?」
「軍から貰った地図で見ると・・・ここだ!北のベドルバクラ王国との国境街の1つであり東隣のソルトレイク王国との国境街の1つでもある!」
「ん~っと、ここか。ここにベドルバクラ軍は攻めて来るのか?」
「恐らくな!昔からドゥムルガは狙われ易い街なのだ!」
「どうして!」
「北のベドルバクラ領にグデッペン要塞というのが有ってだな!」
「グデッペン、グデッペン・・・有った、ここか」
「南部を侵攻して来る時、その要塞に集結してから南下するのだ!」
『へー』
「今回もここが戦場になると!?」
「恐らくそうだろう!」
「じゃぁドゥムルガに向かって街で馬車を預けて北から来るベドルバクラ軍を探ろう」
「そうね。私達が探ってる間にドゥムルガの街にフリーエさんが来るかもしれないしね」
「じゃぁケセラ!ドゥムルガに向かってくれ!」
「分かった!」
ドドドドドドドドド
「でもカズ兄ぃ」
「ん?どした」
「この子ずっとラーン様に預かってもらってたじゃん」
「だな」
「賃貸料結構な額になってんじゃないかなぁ」
『!?』
「・・・公国に請求しよう」
「そうしましょう。依頼で預けたんだし経費よ」
「それが良いですわ」
「おっ!風が出て来たな」
「帆を張る?」
「そうしよう!」
バタバタバタ
「あれ!?帆が変わった!?」
「あぁ。飛行機の翼を研究する内に分かった事が有ってね」
「ふーん?」
「今までは風に対して直角に帆を張ってたが」
「そうね」
「斜めにした方が良いみたいだ」
「そうなんだ」
「どうだ!楽になったかー!」
「ブオオオォォォ!」
「気持ち良く走りなー!」
「ブオォ!」
ドドドドドドドドド
途中一泊野営をして御者をサーヤ君と交代したりして国境街ドゥムルガに着いた。
街の門は閉ざされていた。
白旗を振りながら近付いて行く。
壁上から声が掛かった。
「何者だ!」
「ルンバキア公国軍に雇われた冒険者だ!」
「証明書を持っているか!」
「軍から発行された証明書を持っている!」
「街壁から荷物入れを降ろす!それに証明書を入れろ!」
「分かった!」
その後は無事門を通され馬車屋にラドニウスを預け、再び同じ門に向かう。
荷車は収納袋の中だ。
「何で馬車屋に預けるの?」
「街軍でも良いんじゃない?」
「説明するのがメンド臭そう」
『・・・』
「分かるけども」
「どうせ預け代は公国に請求するし良いだろ」
「そうね」
同じ門に短時間で戻って来て外に出たいと言う僕等はさっき会ったのと同じ面子の衛兵には怪しかったのだろう、結構説明に時間は掛かったがベドルバクラ軍への斥候に出ると納得してもらって門の外に出た。
「これからどうするの?」
「街から少し離れた開けた場所に向かう」
「それで?」
「飛行機に乗る」
『!?』
「空から偵察!?」
「すごーい!あたしやりたーい!」
「私もですー!」
「私もだ!」
「残念だがいつも通りケセラにやってもらう」
「ちぇー」
「絶対《馬術》取る!」
「それにケセラにはグデッペン要塞方面も見てもらおうと思ってる」
「なるほど。ドゥムルガからグデッペン要塞までの一帯を偵察するんだな」
「あぁ。街の門が閉じられてるって事はベドルバクラ軍の情勢が伝わってるって事だろう。付近に冒険者や商人は居ないはずだ。遠慮なく飛べるだろう」
「あぁ。非常事態宣言が出てるはずだ。冒険者の出入りも制限されている。近くの村も戦争から逃れる為に避難しているはずだ」
「僕達が飛行機に乗ったら街の付近に移動して待っててくれ」
「どうして離陸した付近で待ってちゃ駄目なの?」
「相手の斥候が出てるだろう。鉢合う可能性も有る。下がった方が安全だ」
「分かったわ」
「じゃぁ避難して誰も居ない村に行けばば良いんじゃないの?」
「あったま良いな!マヌイ」
「えへへ」
「そうしよう。先ずは拠点となる村を南に見付けよう」
「北は敵の斥候が来るかもしれないからね」
「そういう事だ」
その日は南の村に向かって夜になったが無人の村を見付けてそこに泊まった。
明くる朝。
「じゃぁ気を付けてね!」
「分かってる!」
「レイヴもね!」
「クァ!」
開けた場所で牽引してもらって飛行機を離陸させた。
レイヴもコックピットに連れて来ている。
フウウウゥン
フワリと浮かび上がってしばらく上昇して旋回し北を目指す。
かなり高い。1km以上の高さだろう。
「きゃー!」
左隣に座っているケセラの興奮が治まるのを待って訊ねる。
「右後方のあの山の向こうがソルトレイク王国か?」
「そうだ。山というか、台地だ」
「台地!?たっか!?」
「あぁ。しかし頂上付近は平らで中心に塩湖が有る。それに台地は綺麗な円状になっているんだ」
「へー。そういえば頂上は地平線みたいに平らだな。塩湖に海亀が来るんだよな」
「そうだ。そういえばそろそろそんな季節だぞ」
「ホントか。戦争が無けりゃぁ見に行けるのに」
「全くだな」
フウウウゥン
「あの草原は?」
「あぁ。大体あそこで会戦が行われる。過去もそうだった」
「ふーん。あの上空を飛んでくれ」
「?分かった」
草原の上空に来た。
「《EMP》発動」
フウゥゥゥン
「なるほど。地形のデータを取ったのか」
「そういう事」
「じゃぁその周りもデータ収集するか」
「そうしよう」
しばらく草原一帯のデータを収集した。
そして北に向かう。
フウウウゥン
「そろそろベドルバクラ領に入るぞ」
「分かった。流石に国境付近ともなると森ばっかりだな」
「ホントだな」
「確かに道も狭い。というか街道ってもんじゃないな」
「あぁ。交易も殆ど無いからな」
「なるほど。地形が凸凹してきたな」
「あぁ。バルキア平原を越えた。これからはあんな地形が続く」
しばらく飛んでいると人工物が見えてきた。
「グデッペン要塞だ!」
「あれか・・・街じゃないのか」
「最低限の街の設備は有るらしいが民より軍人の数の方が多いらしい。それに過去何度も南部の攻撃を防いできた歴史が要塞の名を与えた」
「ふーん」
「これからどうする?」
「グデッペンの上空まで行ってくれ」
「分かった」
グデッペン要塞上空に来て《EMP》を発動した。
「うーん。それ程人数は居ないな」
「という事はまだ集結していないのだろう」
「来そうな所を探ろう」
「分かった。道を辿れば見つかるだろう」
程なくして軍勢が南下して来るのが見えた。




